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「ポジティブ心理学」を提唱するハーバードの人気講座

米ハーバード大学で2002年に学生8名から始まったタル・ベン・シャハーの「ポジティブ心理学」のクラスは、2006年には855名の学生が申し込み、同大学で人気ナンバーワン授業となりました。

 

多くのメディアでも採り上げられたこの講義は「多くの学生の人生を変えた」と言われ、「伝説の授業」となっています。そこで今日は、その講義が一冊の本にまとめられた書です。

 

タル・ベン・シャハー『ハーバードの人生を変える授業』(だいわ文庫)

 

この本は、各週1テーマの講義を52週分、収録する形になっています。著者のタル・ベン・シャハーさんが心理学専攻の大学生だった時に、人生に大きな影響を与えた授業はどれも学んだことを実践に生かすことを勧めるものだったと言います。

 

そうした自らの経験を踏まえて、授業中に教えてもらったことを実際に行動に移すことで、理論を自分のものとして吸収する方法を講義に多く採り入れました。これを著者は「リフラクション」(=反映させて行動する)と名付けています。

 

著者はこれまでの著作の中でも「ポジティブ心理学」の理論を説いてきており、この本で紹介するワークを毎日、実践することで大きな収穫が得られると述べています。

 

これらのワークはパートナーと一緒に取り組んだり、読書会やセミナー、職場のグループでも一緒にすることができます。また、ワークを実践することで、ハーバード大学のデイヴィッド・パーキンス教授のいう「生産的知識」を育むことができます。

 

「生産的知識」とは「単なる知識ではなく、自分たちをとりまく世界をよく理解して、状況にうまく対処するための知識」のことです。この本のワークを行うと、経験を増やし自己の成長を助け記憶力理解力を高めることができます。

 

それでは52週にわたるテーマの中で、主なものを以下に紹介します。

 

1.感謝する
2.習慣化する
3.運動をする
4.仕事への考え方を変える
5.困難から学ぶ

 

6.すべてをシンプルにする
7.解釈を変える
8.いいところを探す
9.「ありがとう」を言う
10.自分の感情を理解する

 

11.可能性を信じる
12.人を伸ばす
13.バランスをとる
14.本当の目標を知る
15.天職を見つける

 

これらのテーマの中で、私が重視することやこの本での記述に感銘を受けたのは上記2の「習慣化する」です。ジム・レーヤーとトニー・シュワルツは『成功と幸せのための4つのエネルギー管理術』の中で、「変化する必要なのは自制心を養うことではなく、習慣を取り入れること」としています。

 

また習慣をつくるには、確固たる価値観に基づいて求められた行動を特定の時間に行うことが必要である、としています。ワークとしては、習慣にすることを決めたらスケジュール帳に書いて実行してください。

 

アリストテレスはこう言っています。「繰り返し行われることが我々の本質である。さすれば卓越するということは行動ではなく、習慣にあらわれるものでる。」

 

もうひとつ、この本から学んだのは上記7の「解釈を変える」です。もし認知の歪みがあることが分かったら、その出来事に対する考え方を変え、違ったように感じればよい、ということです。

 

心をかき乱すような不安な感情に対処するのに役立つ方法のひとつとして、PRP法があります。PRP法とは、自分自身が人間であることを許すこと(=Permission)、状況を再構築すること(=Reconstruction)、そしてより広い視野から見ること(=Perspective)の3段階を踏む方法です。

 

その他にも、この本で紹介されているハーバード大学の人気講義には、人生を幸せに過ごすためのヒント、具体的にはポジティブ心理学に基づいた考え方が満載です。

 

私も共感する教えが多く、「自分が主役の人生」をめざす人々には必読の内容と言えるでしょう。

 

では、今日もハッピーな1日を!