「この1冊で大学講師のなり方がわかる」と提唱している本があります。
本日紹介するのは、多くの大学で講師を務める二人、石川和男さんと千葉善春さんが書いた、こちらの書です。
石川和男・千葉善春『一生モノの副業 この1冊でわかる大学講師のなり方』(左右社)
この本は、「一生モノの副業」として、大学講師になることを薦めている書です。
また現代の高等教育機関では「実務より」の講義が求められていることを指摘し、すぐに役立つ実践的な知識を教えてほしいと思っている学生のニーズを紹介しています。
著者は決してアカデミックな知識(=実務的でない学術的な知識)の有用性を否定しているわけではありません。
むしろ、あくまで学問のベースはアカデミズムにあり、長い人生を送るうえで必要となる知識や教養を提供するのが大学の本分である、と述べています。
ただ一方で、現代の社会的要請が「実学」にある以上、そのニーズを満たすために、提供する授業の中に実学の要素を採り入れていくことも大学の責務になってきている、ということです。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.一生モノの大学講師
2.専門家であれば大学で登壇するチャンスは誰にもある
3.これであなたも大学で登壇できる①-<タイブA>「大学」非常勤講師ルート
4.これであなたも大学で登壇できる②-<タイブB>「正規授業外講座」担当講師ルート
5.大学以外の高等教育機関講師の道-<タイプC>「専門学校」非常勤講師ルート
6.現代の大学講師に求められる能力
本書の冒頭で著者は、2015年現在で大学779校、短大346校、専門学校2823校、計3948校(文部科学省「学校基本調査」)と紹介しています。
1校あたり平均100人だとして、394,800人に登壇するチャンスがある、と言います。「1校100人平均は多い」と感じる方に対して、早稲田大学1校だけで教員数が5,406人もいることを述べています。
こうした中で本書では、登壇できる方のイメージとして、次のような方々を挙げています。
◆ 弁護士という法律の専門家の立場で、トラブル回避方法を教えたい
◆ 税理士の知識を活かし、税金の使い道や種類について伝えたい
◆ 行政書士として開業している、会社設立や許可申請のノウハウを教えたい
◆ 経営コンサルタントとして会社組織について伝えたい
◆ 人事コンサルタントとして就職活動のアドバイスをしたい
◆ ファイナンシャルプランナーの知識を活かし、生活設計について話したい
◆ 営業一筋、営業の真髄を伝えたい
◆ 総務、人事、庶務を渡り歩き、会社法、民法などの法律に詳しい
◆ 今年で退職するが、いままで経験してきた実学を伝えたい
ほかにも、社会保険労務士、弁理士、マナーコンサルタント、セミナー講師、経理部、企画部、出版編集者、元キャリアウーマンなど職種や仕事内容は問わない、ということです。
共通のキーワードは「実学について伝えたいことがある」、これが登壇できる条件だ、と著者は言います。
本書の中心になるのは、上記の構成にある「講師になるための3つのルート」(=A・B・Cの3タイプ)についての解説です。
つねに「登壇できるための準備」を怠らないこと、人の繋がり・紹介が最強のルートであることを強調しています。
本書の最後では、著者の講師経験から得た、「講義に必要な三つの要素」について披露されています。
1.驚き
2.感動
3.笑い
この中でとくに「笑い」が、学生による授業評価においては重要だ、ということです。
学生の目を覚まさせるための話として、著者は「おおいたでばかにあう(=大分でバカに会う)」をつねに意識して話に盛り込んでいるということです。
「お」: 恐ろしい話(=怖い話)
「お」: おもしろい話
「い」: 痛い話
「た」: 楽しい話
「で」: デタラメの話(=ジョーク)
「ば」: バカ話
「か」: 感激した話
「に」: 人気者(人気商品)の話
「あ」: 新しい話(ニュース)
「う」: 嬉しい話
最後に、人気講師はつねに自らの知識やスキルをブラッシュアップしている、と指摘して、著者の次のような方法を紹介していて参考になります。
◆ 講義に関する一般書を読む
◆ 最新の学術論文を読む(月に10本程度)
◆ 新聞、雑誌、ネットなどで気になったニュース、話題、雑学を仕入れ、講義ノートに記入する(週2~3回)
◆ 学会の研究会や講演会に参加する(月2~3回)
◆ 同業の講師の講義、セミナー、講演を聴講する(月2~3回)
◆ 講師仲間と交流し、情報交換を行う(月1回)
正直、これだけの活動をつねに行っていれば、人気講師として登壇の機会が増えていくのも理解できます。
あなたも本書を読んで、「一生モノの副業」である「大学講師」になることを目指してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を