『会社AIの「やってはいけない」』
「AIは、会社経営を変え、仕事の仕方を変え、組織を変えます。」― AIを仕事で使うことが当たり前になりつつある一方、社員がそれぞれ我流で使い、経営者や上司が実態を把握していない会社も少なくありません。情報漏洩や誤った回答の利用など、問題が起きてから慌てるのでは遅い。中小企業がAIを安全かつ効果的に活用するための「やってはいけない」を具体的に解説した一冊があります。
本日紹介するのは、横浜市立大学商学部経営学科卒業後、経営コンサルティング会社を経て1991年に株式会社NIコンサルティングを設立し、1万7千社を超える企業に導入されたITツール「可視化経営システム」や、2012年からAI秘書「Sales Force Assistant」を提供してきた同社代表取締役、中小企業診断士の長尾一洋(ながお・かずひろ)さんと、獨協大学経済学部卒業後、2006年にNIコンサルティングへ入社し、管理部長として経理・財務・法務・知財管理などを担当、非エンジニアの立場からAIによる業務改善を実践してきたAIコンサルタント、横田顕(よこた・あきら)さんが著した、こちらの書籍です。
長尾一洋・横田顕『会社AIの「やってはいけない」』(明日香出版社)
ChatGPTをはじめとする生成AIが急速に普及し、企業でもAI活用が広がっています。
経営者の中には、「うちもAIを導入しなければ取り残される」と焦りを感じている人も多いでしょう。
しかし、会社としてルールを決めないまま社員が自由にAIを使えば、顧客情報や社内情報を入力してしまう危険があります。
逆に、リスクを恐れるあまりAI利用を全面禁止すれば、生産性向上の大きな機会を失います。
「やってはいけない」を明確にすることで、安心してAIを使える環境をつくることです。
現場、営業、調達、製造、流通、総務、経理など、中小企業の具体的な仕事を想定しながら、NG例とOK例を示し、個人利用から組織的なAI活用まで段階的に解説しています。
巻末には、そのまま活用できる社内ガイドラインも収録されています。
本書は以下の11部構成から成っています。
1.「やってはいけない」は、AIを止める言葉ではない
2.無許可・無ルールのAI利用は危ない
3.AIに「いい感じに」と頼んではいけない
4.AIの答えを、仕事の品質まで仕上げずに使ってはいけない
5.日常業務のAI活用を、文章作成だけで終わらせてはいけない
6.部署別・業務別のAI活用を、同じ使い方で進めてはいけない
7.AIを、チャット画面の中だけで使ってはいけない
8.反復する業務を、ゼロからAIに頼まない
9.AIを入れたのに、人が全部やる形にしてはいけない
10.社長のAI やってはいけない
11.AIを使う会社から、AIで強くなる会社へ
本書の前半では、会社でAIを安全に使うための基本ルールについて、以下のポイントを説明しています。
◆ AI活用では、禁止することより「安全に使えるルール」を決めることが重要になる
◆ 社員任せの無許可・無ルール利用は、機密情報や顧客情報の漏洩リスクを高める
◆ AIへの指示を「いい感じに」で済ませず、目的や条件を具体的に伝える
◆ AIの回答をそのまま使わず、人間が確認して仕事の品質まで仕上げる
◆ 誤情報や判断ミスを防ぐ最終責任は、AIではなく利用する人間にある
この本の中盤では、AIを日常業務へ本格的に組み込む方法について解説しています。主なポイントは次の通り。
◆ AI活用を文章作成だけで終わらせず、幅広い業務の改善につなげる
◆ 営業、製造、総務、経理など、部署ごとに適したAI活用方法を考える
◆ チャット画面だけでなく、既存の業務システムやデータとの連携を検討する
◆ 繰り返す業務では、毎回ゼロから指示せず、プロンプトや手順を標準化する
◆ AI導入後も人が従来作業を続けるのではなく、業務プロセス自体を見直す
本書の後半では、経営者がAIを会社の競争力へ変えるためのポイントを提言しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ AI活用を社員任せにせず、経営者自身が基本を理解する
◆ AI導入そのものを目的にせず、解決したい経営課題から考える
◆ 個人の便利な使い方を、会社全体で再現できる仕組みに変える
◆ AIに任せる仕事と、人が判断する仕事を明確に分ける
◆ 「AIを使う会社」から「AIで強くなる会社」への進化を目指す
本書を読んで最も重要だと感じるのは、AI活用を個人のスキルで終わらせず、「会社の仕組み」にすることです。
一部の社員だけが我流でAIを使う状態では、生産性向上も限定的ですし、情報漏洩などのリスクも高まります。
必要なのは、何を入力してよいのか、AIの回答を誰が確認するのか、どの業務に使うのかという最低限のルールです。
そのうえで、効果の高い使い方を社内で共有し、標準化していく。また、AI導入の目的は「AIを使うこと」ではありません。営業を速くする、資料作成を効率化する、問い合わせ対応を改善するなど、経営課題を解決するためにAIを使うという順番が大切です。
AI時代には、社員一人ひとりがAIを使えることに加えて、経営者が「どこをAIに任せ、どこを人間が担うのか」を設計する力が問われます。AIで最も重要なのは、使う技術以上に「使う仕組み」をつくること。
AIを導入したい中小企業の経営者、社内ルールづくりに悩む管理職、AIを業務改善や生産性向上につなげたい人に、ぜひ読んでほしい一冊です。
YouTubeチャンネル「大杉潤のYouTubeビジネススクール」でも、人生100年時代の働き方、定年後キャリア、ひとり起業、資産形成やライフスタイルなど、仕事と人生を豊かにする情報を発信しています。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。
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では、今日もハッピーな1日を!【4221日目】








