「定年後、年金だけで本当に暮らしていけるのか?」人生100年時代、長くなる老後を安心して生きるためには、資産を増やすことばかりに目を向けるのではなく、年金+αの収入を確保し、持っている資産を守りながら上手に活かし、健康寿命を延ばして賢くお金を使っていくことが大切です。

本日紹介するのは、1954年長野県生まれ、大学卒業後に経済事務所勤務を経て、1982年にフリーのジャーナリストとして独立、難解な経済とお金の仕組みをわかりやすく解説する家計経済の第一人者として長年活躍している経済ジャーナリスト荻原博子(おぎわら ひろこ)さんが、定年後のお金、仕事、健康、暮らしを総合的に捉え、人生後半を安心して生きるための実践法を指南した、こちらの書籍です。

荻原博子『定年後のお金の悩み、解決します』(河出新書)

定年後のお金を考える時、多くの人がまず心配するのは「老後資金はいくら必要なのか」という問題でしょう。しかし、人生100年時代の定年後を考える際には、金融資産の残高だけを見ても十分ではありません。

「仕事・お金・健康・人間関係・生きがい」を一体として設計していくことが、定年後のお金の不安を減らすことにつながります。

本書は以下の6部構成から成っています。

1.定年廃人にならないために

2.50代からやるべきスキルの棚卸し

3.定年後に活きる「稼ぐ力」の鍛え方

4.定年後の生活を守る「資産戦略」

5.定年後を健康で自由に生きるライフデザイン

6.定年達人になるための20のヒント

 

本書の前半では、定年後に陥りやすい「定年廃人」の問題と、50代から始めるべきスキルの棚卸しについて、以下のポイントを説明しています。

◆ 定年後の最大のリスクは、お金が足りなくなることだけではなく、会社という居場所、肩書き、仕事、人間関係、毎日の生活リズムを一気に失い、何をしていいのかわからなくなることである

◆ 現役時代から「会社員としての自分」と「一人の人間としての自分」を切り分け、会社の肩書きがなくなった後に何ができるのかを考えておくことが重要になる

◆ 50代になったら、これまでの仕事で身につけた知識、経験、人脈、資格、得意分野を棚卸しし、「自分には何ができるのか」を言語化しておく

◆ 定年後に必要なのは現役時代と同じ高収入を得ることではなく、年金に加えて毎月一定額を稼げる仕組みをつくり、資産の取り崩しをできるだけ緩やかにすることである

◆ 定年前から仕事以外の居場所、趣味、地域活動、友人関係などを少しずつ育て、「会社だけが人生」という状態から脱しておくことが、豊かな定年後につながる

 

この本の中盤では、定年後に活きる「稼ぐ力」と生活を守るための「資産戦略」について解説しています。主なポイントは次の通り。

◆ 定年後の仕事は、現役時代の役職や給与水準にこだわるのではなく、自分の経験や得意分野を活かして無理なく長く働ける仕事を選ぶこと

◆ 年金+αの収入を得られれば、金融資産から取り崩す金額を減らすことができ、結果として「資産寿命」を大きく延ばすことにつながる

◆ 老後のお金を守るためには、「大きく増やそう」と無理な投資をするよりも、家計を把握し、固定費や不要な支出を見直し、資産を減らしにくい生活構造をつくることが先決

◆ 定年後は現役時代のように給与収入で損失を取り戻すことが難しくなるため、自分が理解できない金融商品や、過度なリスクを取る投資には慎重に

◆ 資産運用だけを切り離して考えるのではなく、年金、退職金、預貯金、保険、住まい、毎月の生活費などを一つの家計として捉え、長期的な資金計画を立てる

 

本書の後半では、健康寿命を延ばしながら自由に暮らすライフデザインと、「定年達人」になるための考え方について提言しています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 老後最大の資産は金融資産だけではなく「健康」であり、健康寿命を延ばすことが医療・介護費を抑え、自由に使える時間とお金を増やすことに

◆ お金を残すことだけを目的に節約し続けるのではなく、元気なうちに旅行、趣味、学び、人との交流など、自分の幸福度を高める体験に賢くお金を使う

◆ 定年後は会社中心だった人間関係が大きく変化するため、家族、友人、地域、趣味など複数のコミュニティとの「ゆるいつながり」を持つ

◆ 「老後だから新しいことはできない」と考えるのではなく、学び直しや新しい仕事、趣味、社会活動など、小さな挑戦を続けることが生きがいと健康の維持につながる

◆ お金、仕事、健康、人間関係、生きがいを別々に考えず、「自分は残りの人生をどう生きたいのか」というライフデザインから逆算して組み立てることが大切

 

本書を読んで私が改めて感じたのは、定年後のお金の問題は、「金融資産がいくらあるか」だけでは決まらないということです。

たとえば、65歳で完全リタイアして収入が年金だけになる場合と、70歳、75歳まで自分のペースで働き、毎月10万円でも収入を得る場合では、老後資金の持ち方は大きく変わります。

私は人生100年時代の定年後キャリアでは、「年金+月10~30万円の仕事収入」を長く確保することが、非常に有効な人生設計になると考えています。

こうした複数の小さな収入源を組み合わせれば、会社員時代とは違った自由度の高い働き方が可能になります。

人生の最後に金融資産を最大化することが目的ではなく、資産を使って人生の幸福度を最大化することが、本来のお金の役割ではないでしょうか。

そのためには、「貯める」「増やす」「守る」に加えて、「稼ぐ」「使う」「取り崩す」という視点まで含めた総合的な老後戦略が必要です。

つまり、定年後のお金を考えることは、定年後の生き方そのものを考えることなのです。

50代からスキルを棚卸しし、「稼ぐ力」を育て、資産を守り、健康を維持しながら、やりたいことにはしっかりお金を使う。そうして「定年廃人」ではなく「定年達人」を目指していく。

定年が近づいて老後のお金に不安を感じている人はもちろん、人生後半の働き方や暮らし方を早めに設計しておきたい40代・50代のビジネスパーソンにも、ぜひ読んでほしい一冊です。

YouTubeチャンネル「大杉潤のYouTubeビジネススクール」でも、人生100年時代の働き方、定年後キャリア、ひとり起業、資産形成やライフスタイルなど、仕事と人生を豊かにする情報を発信しています。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。

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では、今日もハッピーな1日を!【4205日目】