「台湾を知ることは、日本の未来を考えることでもある。」半導体、AI、ロボット、歴史、建築、文化、そして安全保障。日本と深い関係を持ちながら、米中対立の最前線にも立つ台湾を、単なる「親日」のイメージだけで捉えることはできません。本特集は、台湾の実像を多面的に掘り下げ、これからの日台関係を考えるための視座を提示した一冊です。

本日紹介するのは、政治、経済、産業、国際情勢、社会課題などを幅広く取り上げ、日本の未来を考えるための情報を発信しているJR東海グループ株式会社ウェッジが発行する月刊誌『Wedge』2026年8月号のこちらの特集記事です。

『Wedge(ウェッジ)2026年8月号:台湾「麗しの島」の実像』(株式会社ウェッジ)

この特集は、「台湾は親日的で、日本と近い国・地域」という表面的な理解を超えて、産業競争力、歴史、文化、人材、日台関係、安全保障という複数の角度から台湾の現在地を描いています。

 

本特集は以下の9部構成から成っています。

1.孤立と分断に直面する台湾 日本人ができる「報恩」とは
――野嶋剛

2.アジア最大のICT見本市で見た〝覇者〟の戦略と新潮流
――土方細秩子

3.TSMCを知り尽くす2人に聞く 台湾半導体成功の秘訣
――野嶋剛

4.台湾版シリコンバレーで見た人材エコシステムの核心
――編集部

5.台湾で映し出される「日本」 建築・産業遺産から紐解く
――片倉佳史

6.日本統治時代の台湾でかつての日本人が残したこと
――編集部

7.激動の時代、複雑な思い…… 日本語世代が伝えたいこと
――編集部

8.台湾人の暮らしに浸透するニッポンブランド
――編集部

9.静かなる米中の軍事的緊張 日本が台湾に学ぶべきこと
――小谷哲男

本書の前半では、台湾が置かれている国際環境と、世界をリードするテクノロジー産業の強さについて紹介されています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 台湾が国際的な孤立や国内外の分断に直面する中で、日本が歴史的な関係を踏まえてどう向き合うべきかを考える

◆ アジア最大級のICT見本市から、AI、半導体、ロボットなど台湾テック産業の新たな潮流を読み解く

◆ 台湾発のヒューマノイドロボットなど、半導体だけにとどまらない次世代産業の可能性に注目する

◆ 世界の半導体産業を牽引するTSMCが、なぜ圧倒的な競争力を築くことができたのかを探る

◆ 台湾版シリコンバレーの現場から、企業、大学、人材、研究機関が連携する「人材エコシステム」の強さを明らかにする

 

この本の中盤では、日本と台湾の歴史的なつながりと、台湾社会の中に今も残る「日本」が描かれています。主なポイントは次の通り。

◆ 台湾各地に残る建築物や産業遺産から、日本統治時代の歴史を振り返る

◆ 日本人が台湾で残したインフラや産業、教育などの足跡を、功績だけでなく複雑な歴史として捉え直す

◆ 八田與一をはじめ、台湾の近代化に関わった日本人がどのように記憶されているかを考える

◆ 日本統治時代を経験した「日本語世代」の証言から、単純な親日・反日では整理できない複雑な感情を知る

◆ 台湾に暮らし、民俗文化や飲食などを通じて現地社会とともに生きる日本人の姿から、現在の日台交流を捉える

 

本書の後半では、台湾人の日常生活に根づく日本ブランドと、台湾海峡をめぐる安全保障環境について考察されています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 食品、家電、日用品、サービスなど、台湾人の暮らしの中に日本ブランドが深く浸透している背景を探る

◆ ブランドへの信頼だけでなく、品質、文化的親近感、長年の交流が消費行動に影響していることを読み解く

◆ 米中対立が続く中、台湾海峡では軍事的緊張が静かに高まり続けている

◆ 台湾が安全保障上どのような備えを進めているのかを知り、日本がそこから学ぶべきことを考える

◆ 日米台を「運命共同体」と捉え、日米同盟や日台協力を今後どのように発展させるべきかを問う

 

本特集で最も印象的なのは、台湾を一つの側面だけで理解してはいけないという点です。

日本では台湾というと、「親日」「グルメ」「観光」「TSMC」といった言葉が先に浮かびがちです。もちろん、それらは台湾を理解する重要な入り口です。

しかし、本特集を読むと、その背景には、長い歴史、複雑なアイデンティティ、厳しい国際政治、世界屈指の産業競争力が存在することがわかります。とくに注目したいのが、台湾の半導体産業を支えている「人材エコシステム」です。

TSMCの強さは、一企業だけの力で説明できるものではありません。大学、研究機関、サプライヤー、人材市場、政府の産業政策などが相互に結びつき、技術者が能力を発揮し続けられる環境が形成されています。

日本でも半導体産業の復活が大きなテーマになっていますが、工場を誘致するだけでは十分ではなく、人材育成や研究開発、周辺産業まで含めた長期的なエコシステムをつくる必要があることを台湾は教えてくれます。

また、台湾を考えるうえで避けて通れないのが、日本統治時代の歴史です。日本と台湾の関係には、現在の友好的な交流だけではなく、植民地統治という歴史があります。

インフラ整備や産業発展などを肯定的に評価する声がある一方で、統治された側の複雑な記憶もあります。だからこそ、台湾の「親日」を都合よく解釈するのではなく、歴史を学び、多様な声に耳を傾ける姿勢が必要でしょう。

半導体の供給網、海上交通路、南西諸島の防衛などを考えれば、「台湾有事」は遠い海外の問題ではありません。同時に、危機を煽るだけではなく、台湾が社会全体としてどのように備え、国際社会との関係を築いているのかを冷静に学ぶことが必要です。

私は、台湾には観光やグルメだけではない、人生100年時代の日本が学ぶべきテーマが数多くあると感じています。

台湾旅行を考えている方、半導体やAIなどの産業動向に関心のある方、日本と台湾の歴史を学びたい方、そして東アジアの未来や安全保障について考えたい方に、ぜひ読んでほしい特集です。

YouTubeチャンネル「大杉潤のYouTubeビジネススクール」でも、読書術、人生後半戦の生き方、定年後キャリア、資産形成、健康、AI活用、社会・経済動向などについて発信しています。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。

https://www.youtube.com/channel/UCIwJA0CZFgYK1BXrJ7fuKMQ

では、今日もハッピーな1日を!【4182日目】