『「幸せな人生」は老人ホームで決まる! 70代の選択、80代の決断』
「老人ホーム選びは、建物選びではなく “家族選び” である。」― 高級な設備や有名企業のブランドだけで選んでも、自分に合った暮らしができるとは限りません。本書は、人生のハーベストタイム(収穫期)を安心して、自分らしく過ごすために、老人ホーム選びの現実と判断基準を具体的に教えてくれる一冊です。
本日紹介するのは、不動産会社勤務を経て日本シルバーサービスに入社し、介護職員、施設長、施設開発業務に従事、2006年に株式会社ASFON TRUST NETWORKの設立に参加し、現在は合同会社KoJM&カンパニー代表、株式会社メドレーグループ業務アドバイザーとして活躍する、老人ホームコンサルタントの小嶋勝利さんが書いたこちらの書籍です。
小嶋勝利『「幸せな人生」は老人ホームで決まる! 70代の選択、80代の決断』(WAC)
本書は、老人ホームを単なる介護施設ではなく、人生後半を豊かに過ごすための「生活の場」として捉え、自分に合った施設を見極めるための実践的な指南書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.良い有料老人ホームの選び方―事前の情報収集と見学時のポイントとは?
2.あなたに合う老人ホームはここを見ればわかる
3.知っておきたい老人ホームの裏事情
4.有料老人ホームは何が必要で何が要らないか
5.転ホームのススメ―老人ホームは終の棲家ではない
6.14の失敗事例から学ぶ「有料老人ホーム選び」の極意
本書の前半では、良い老人ホームを見極めるための情報収集と、施設見学のポイントが示されます。主なポイントは以下の通りです。
◆ 老人ホーム選びは、建物ではなく一緒に暮らす人やスタッフを選ぶ「家族選び」である
◆ パンフレットや知名度だけで判断せず、必ず現地を見学する
◆ 食事の質は生活満足度を大きく左右するため、見学時には試食をする
◆ 常に待機者がいて満室のホームには、選ばれ続ける理由がある
◆ 豪華な設備より、日常生活の安心感と居心地を重視する
この本の中盤では、自分に合う施設の見分け方と、老人ホーム業界の裏事情が具体的に解説されます。主なポイントは次の通り。
◆ 高級ホームだから必ずしも幸せに暮らせるとは限らない
◆ 入居者の生活スタイルと施設の雰囲気が合うかを確認する
◆ 大手企業の運営でも、経営目的やサービス方針を冷静に見極める
◆ 入居一時金の返還条件や償却方法を契約前に確認する
◆ 経営状態や職員の定着率から、倒産・サービス低下のリスクを判断する
本書の後半では、入居後のミスマッチや転居の選択、失敗事例から学ぶ注意点が紹介されます。主なポイントは以下の通りです。
◆ 老人ホームを一度入ったら出られない「終の棲家」と考えない
◆ 暮らしてみて合わなければ、転ホームも現実的な選択肢になる
◆ 本人の希望を無視して家族だけで施設を決めない
◆ 元気なうちに複数の施設を比較し、準備を始める
◆ 費用、介護、医療、人間関係、自由度を総合して判断する
本書で最も印象的なのは、「老人ホーム選びは家族選び」という考え方です。
施設の外観や居室、温泉、ジムなどの設備は、見学すればすぐに確認できます。しかし、入居後の生活を本当に左右するのは、毎日接するスタッフや他の入居者、食事、施設内の人間関係です。
どれほど豪華な建物でも、職員が頻繁に入れ替わり、食事が口に合わず、入居者同士の雰囲気になじめなければ、幸せな暮らしにはなりません。
反対に、設備は質素でも、スタッフが親切で、食事がおいしく、気の合う人との交流があれば、安心して暮らせる可能性があります。
著者は、夫を亡くした女性は一人暮らしを続けながらじっくり考える余地がある一方、妻を亡くした男性は、食事や家事、健康管理、人間関係が急速に崩れやすいため、早めに施設入居を検討したほうがよいと指摘します。
また、「転ホームのススメ」という考え方にも注目したいと思います。これまで老人ホームは、一度入居したら最期まで住み続ける「終の棲家」と考えられてきました。
しかし、健康状態や介護度、経済状況、本人の希望は時間とともに変わります。入居時には合っていた施設でも、数年後には暮らしにくくなる場合があります。
そのときに我慢を続けるのではなく、より自分に合った場所へ移るという柔軟性を持つことが大切です。人生100年時代には、住まいも一度決めれば終わりではありません。
元気な70代では、自立した生活を楽しめる住まいを選び、介護が必要になった80代では、医療や介護体制が充実した施設へ移るという段階的な住み替えも考えられます。
私自身は、ライフスタイルは「住む場所」「付き合う人」「時間配分」の三つで決まると考えています。老人ホームは、この三つを同時に大きく変える選択です。
だからこそ、家族や施設側の都合だけではなく、本人がどのような暮らしを望んでいるのかを中心に選ばなければなりません。
老人ホームを選ぶ際には、料金表や設備だけでなく、実際の食事、職員の表情、入居者の様子、館内のにおいや清潔感、外出の自由度、医療・介護体制、経営の安定性まで確認する必要があります。
可能であれば体験入居をし、朝から夜までどのような生活になるのかを確かめるのがよいでしょう。
本書は、これから自分の老後の住まいを考えたい方、親の老人ホーム選びを始める方、すでに入居した施設に違和感を持っている方にとって、失敗を避けるための具体的な判断材料を与えてくれる一冊です。
YouTubeチャンネル「大杉潤のYouTubeビジネススクール」でも、人生後半戦の生き方、定年後キャリア、資産形成、健康、介護、住まいなどについて発信しています。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。
https://www.youtube.com/channel/UCIwJA0CZFgYK1BXrJ7fuKMQ
では、今日もハッピーな1日を!【4177日目】








