「善意の国際協力は、本当に人びとを幸せにしているのか?」と問いかけている本があります。世界の貧困問題や開発援助について、私たちは「支援すればよい」という単純な構図で理解しがちです。しかし現場では、より複雑な現実が広がっています。

本日紹介するのは、1977年大分県生まれ、2001年カリフォルニア大学バークレー校政治学部卒業、2003~05年西アフリカ・ブルキナファソの環境生活省でJICA協力隊活動、国際農業研究協議グループ・ICRAFナイロビ本部にて訪問研究、2015年東京大学大学院博士課程修了、博士(農学)、プリンストン大学歴史学部ポスドクフェロー、愛知大学国際コミュニケーション学部准教授などを経て現在は、法政大学経済学部教授で、経済人類学・国際協力学を専門とする研究者友松夕香さんが書いた、こちらの書籍です。

友松夕香『グローバル格差を生きる人びと ─「国際協力」のディストピア』(岩波新書)

本書は以下の9部構成から成っています。

1.グローバル格差の感情

2.請い、与えられる者の日常

3.農村の国際詐欺師たち

4.ゴリアテに立ち向かうダビデ

5.陰謀論に共感する

6.「俺たちは腹が減っている」

7.自分たちの農法を忘れた人びと

8.過重労働をこなす女性たち

9.国際協力の再構築

 

本書の前半では、グローバル格差が人々の感情にどのような影響を与えているかが描かれます。スマートフォンの普及によって、アフリカの農村でも世界の豊かな生活が可視化されるようになり、それが格差への強い意識を生んでいると著者は指摘します。主なポイントは以下の通りです。

◆ SNSや衛星放送で見える「豊かな世界」

◆ 先進国への羨望と不信の同時存在

◆ 国際援助に対する複雑な感情

◆ 若者の大量失業という現実

◆ 農村社会の変化

 

この本の中盤では、グローバル経済の中で生まれる新しい社会現象が紹介されます。こうした現象を単なる犯罪や迷信として片付けるのではなく、グローバル格差の構造から理解する必要があると論じています。主なポイントは次の通り。

◆ オンライン詐欺の拡大

◆ 格差が生む拝金主義

◆ 欧米への不信感

◆ 国際政治と資源をめぐる対立

◆ 陰謀論の広がり

 

本書の後半では、開発援助の問題点と今後の方向性が考察されます。善意の援助が必ずしも望ましい結果を生むわけではなく、時には新たな格差や依存関係を生むこともあるという現実が浮かび上がります。主なポイントは以下の通りです。

◆ 農業技術の喪失という副作用

◆ 援助による格差の拡大

◆ 女性支援政策の意外な影響

◆ 食料危機の国際構造

◆ 新しい国際協力のあり方

 

国際協力を「支援する側」の視点ではなく、「現地で生きる人びと」の視点から考えることの重要性を教えてくれる一冊です。

グローバル化が進む現代では、世界の格差や社会構造を理解する視点がますます重要になっています。世界の現実を深く考えるきっかけを与えてくれる良書でした。

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では、今日もハッピーな1日を!【4028日目】