書評ブログ

『<ひとり死> 時代の死生観』

「家族がいても、死ぬのは結局ひとり」——そんな現実を直視し、現代日本における死生観の変化を多角的に考察した一冊があります。

 

本日ご紹介するのは、1969年大阪生まれ、奈良女子大学大学院修了、第一生命経済研究所主席研究員を経て、30年以上にわたり死生学を研究し、2019年よりシニア生活文化研究所代表理事で、「終活」講演でも知られる小谷みどりさんが著した、こちらの書籍です。

 

小谷みどり『〈ひとり死〉時代の死生観 ー「一人称の死」とどう向き合うか』(朝日新聞出版)

この本は、少子高齢化、家族関係の希薄化、葬送儀礼の簡素化といった社会の変化を背景に、「ひとり死」「一人称の死」といったテーマを通じて、現代人が直面する死の問題を多角的に掘り下げています。

 

本書は以下の5部構成から成っています。

1.急速に進んだ「死」をめぐる社会の変化

2.〈ひとり死〉時代と健康長寿の先

3.死を考える4つの観点と死後のイメージ

4.二人称の死 身近な人の死をどう受け入れるか

5.一人称の死と〈ひとり死〉不安の軽減

 

この本の冒頭で著者は、「死は誰にとっても一人称の体験であり、他人事ではない」と述べています。

 

本書の前半では、「急速に進んだ死をめぐる社会の変化」について、以下のポイントを解説しています。

 高齢化と家族の変化により、介護や看取りの形が大きく変わったこと

 葬儀の簡素化や無縁墓の増加など、葬送儀礼の変化

「ひとり死」や「孤立死」の現状とその背景

健康長寿が目的化し、死を遠ざける社会の風潮著者自身の夫の急逝体験から得た気づき

 死別を体験した人が抱える課題とグリーフワークの必要性

 

本書の中盤では、「〈ひとり死〉時代と健康長寿の先」および「死を考える4つの観点と死後のイメージ」について説明しています。主なポイントは次の通りです。

◆ 死を生物学的、法律的、文化的、社会的な観点から捉えることの重要性

◆ 日本人が抱く死後の世界の多様なイメージ

◆ 身近な人の死(「二人称の死」)をどう受け入れるか

◆ 配偶者と死別した人たちの生き方や支援の取り組み

◆ 死別を体験した人が抱える課題とグリーフワークの必要性

 

本書の後半では、「二人称の死 身近な人の死をどう受け入れるか」および「一人称の死と〈ひとり死〉不安の軽減」について考察しています。主なポイントは以下の通り。

◆ 死が社会から隠蔽され、実感しにくくなっている現状

◆ 余命を周囲に知らせることの意義と課題

◆「死ぬまでにやりたいことリスト(バケットリスト)」の活用

◆ 死の恐怖にある8つの次元とその軽減方法

◆ 家族がいなくても死ねる「死の社会化」の必要性

 

この本の締めくくりとして著者は、「死を意識することは、より良く生きることにつながる」と述べています。

 

あなたも本書を読んで、自分自身の死生観を見つめ直し、これからの生き方を考えてみませんか?

 

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では、今日もハッピーな1日を!【3746日目】