「投資にリスクはつきものだ。だが、投資しないのはもっとリスクだ。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1977年カナダ生まれ、カナダの大手新聞ラ・プレスの経済記者、同紙初の米西海岸特派員として活動し、全国新聞賞など各賞を受賞、カリフォルニア州ロサンゼルス在住の金融ジャーナリストのニコラ・ベルベさんが書いた、こちらの書籍です。
ニコラ・ベルベ『年1時間で億になる 投資の正解』(新潮新書)
この本は、世界でかつてないほどの人々が株式市場に投資するようになった今、多くの投資家が自分は何か大切なことを見落としているのではないかと感じているため、その疑問に答えるために書かれた本です。
本書は以下の10部構成から成っています。
1.なぜ皆「アメリカ経済は崩壊する」などと言うのか?
2.バブルは崩壊し、市場は収縮するものなのか?
3.じゃあ、「レアな真珠」を探せばいい?
4.個別銘柄かインデックスか?
5.どうして株式と債券なのか?
6.手っ取り早く金持ちになれるものか?
7.「情報」は収集すべきか?
8.市場の「調整」にどう対処する?
9.どうしてお金が増えないのか?
10.けっきょく資産を増やすには?
この本の冒頭で著者は、「投資はシンプルな営みなのに、自らの存在を正当化しようとする業界がよってたかって難しくしている。」と述べています。
本書の前半では、「なぜ皆アメリカ経済は崩壊するなどと言うのか?」「バブルは崩壊し、市場は収縮するものなのか?」および「じゃあ、レアな真珠を探せばいい?」について以下のポイントを説明しています。
◆ アメリカのトップ1%の富裕層は、総資産の40%を株式や投資信託に投資
◆ 株式市場は投資家の資産を増やす仕組みとして人類史上最も有効だがウソが溢れている
◆ 投資のノウハウを持って生まれてくる人はいない、身につけてから世を去る人はわずか
◆ 市場に潜む無限のトラップを避けることが重要
◆ 世界の株式市場の時価総額に占めるアメリカの株式市場の割合は56%(2021年現在)
◆「レアな真珠の神話」を信じても実現しない
◆ 大多数のファンドが数年でクローズ(終了)するという事実
◆ S&P500に勝つのは難しい
この本の中盤では、「個別銘柄かインデックスか?」「どうして株式と債券なのか?」「手っ取り早く金持ちになれるものか?」および「情報は収集すべきか?」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ インデックスファンドとETFの利点は、経費率が極めて低いこと
◆ パッシブ投資は「アメリカらしくない」という批判
◆ こと投資の世界においては、安かろう悪かろうは当てはまらない
◆ 金融業界から搾取されている客
◆ パッシブ投資(インデックスファンド・ETF)はアメリカの運用資産の50%
◆「運用資産は石鹸のようなもの。触る回数が増えるほど、どんどん小さくなる。」
◆ 債券投資の役割は、株式投資のボラティリティ(変動性)を下げること
◆「株式を買うのはうまいものを食べるため、債券を買うのはぐっすり眠るため」
◆ 資産運用で難しいのは、感情をコントロールすること
◆ 65歳を迎えたら投資家人生が終わるわけではない
◆ 投資を始めて10年から15年経つと驚くべきことが起こり始める、それは複利効果だ
◆ 複利効果は私たちが投資家として成功を築く基礎になる
◆ 複利効果の威力を直感的に理解するのが難しいのは、実人生では時間が味方するケースが少ないからだ(モノの劣化や価値減少、身体の衰えなど)
◆ テレビを消し、スマホの通知をオフにせよ
◆ 最も悪影響を及ぼすのが「予測記事」
◆ とにかく投資し続けること
本書の後半では、「市場の調整にどう対処する?」「どうしてお金が増えないのか?」および「けっきょく資産を増やすには?」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 暴落はありふれたこと、避けられないこと、そして必要なこと
◆ 市場の調整がこれほどつらいのは、市場に参加する「入場料」だから
◆ 市場を幅広くカバーする、鉄雨量の低いインデックスファンドなら一喜一憂しない
◆ 米国の株式相場の上昇は、30年(7,500取引日)のうち90日、全体の1%の取引日
◆ 相場は前触れなく回復する(市場に居続ける、投資し続けることが重要)
◆ 人間は危機が起きた時にのんびり構えていられないから生き残ったため、暴落で動揺しないことは難しい
◆ 誰も市場をコントロールできる立場にないが、行動をコントロールすることはできる
◆ 投資の選択肢は3つ:➀低コストの証券会社で投資家自身が投資、②ロボ・アドバイザーを使って投資、③プロのサービスを利用して投資
◆ 投資はマラソンと同じ、「ぐずぐず考えず、とっととやる」
本書で提唱しているインデックスファンドやETFへの投資は、拙著『定年ひとり起業マネー編』および『1日1テーマ読むだけでやりたくなる 定年ひとり起業』(いずれも自由国民社)にて勧めている「長期・分散・積立」による外貨建てインデックス投資信託への投資と同じコンセプトで、強く共感しました。
この本の締めくくりとして著者は、「未来が見える水晶玉を持っている投資家はいない。」と述べています。(Google創業者の二人も、75万ドルで会社をエキサイトに売ろうとしたが、断られたエピソードがある)
また、「サメ」タイプのリスク(市場の暴落、機会を逃す、次の景気後退)はわかりやすいため敏感に反応し、「ウシ」タイプのリスク(必ず儲かると言われて株を買う、投資を始めるのを先送りする、株が暴落すると予想して売却する、高い経費率の商品を買う)には無頓着だ、と説明しています。(サメに殺されるのは世界で年に5人、牛に殺されるのは世界で年に22人)
さらに巻末(P214)には、「投資の10カ条」が掲載されていて、本書の復習として効果的です。
あなたもこの本を読んで、「投資の正解」を学び、今すぐ行動を起こしてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3552日目】