「土地について思いを馳せ、語ろうとするとき、目には見えないけれど、ぼくたちと地域を結ぶ思考の回路がジュンとつながる。その回路を太くするのが、その土地のうまいものや地酒だ。」と述べて、複雑で多様であいまいな「地方」をめぐるモヤモヤを書き綴った本があります。
本日紹介するのは、1979年、福島県いわき市小名浜生まれ、地元の商店街でオルタナティブベース「UDOK」を主宰しつつ、食、医療福祉、文化芸術などの分野でさまざまな企画、情報発信に携わるローカルアクティビストの小松理敬さんが書いた、こちらの書籍です。
小松理敬『新地方論 都市と地方の間で考える』(光文社新書)
この本は、光文社新書の note に連載された「あいまいな地方の私」をもとに、だれかの語る「都市か、地方か」に乗っかるのではなく、著者が自分なりのローカルな暮らしをつくることが大事だと考え、自分なりに思考し、実践してきたことを書いた記事を書籍化したものです。
本書は以下の10部構成から成っています。
1.観光ー受け入れる側として捉えるとき
2.居場所ー「いる」と「やる」の間に生まれるもの
3.政治ー「強さ」でなく「弱さ」をキーワードとして
4.メディアーローカルを再定義して見えてきたもの
5.アートー想像力を持って「出来事化」する
6.スポーツーそれは「わたしたちのもの」でもあるのだから
7.食ー「大量生産」をあえてポジティブに考える
8.子育てー「わたし」に吹く風を、もっと大切にできたら
9.死ー不確実さをおもしろがってみる
10.書店ー地方に都市をつくるサードプレイス
この本の冒頭で著者は、人口約33万人、長い間にわたって「面積日本一の市」であった福島県いわき市に住んでいることを紹介しています。
本書の前半では、「観光ー受け入れる側として捉えるとき」および「居場所ー”いる” と ”やる” の間に生まれるもの」について、以下のポイントを説明しています。
◆ コペンハーゲン市の「観光の終焉」の宣言
◆ 観光は、地元と観光客が共につくるもの
◆ 観光客と「一時的な市民」として接する
◆ 市民の生活こそが観光資源
◆「いる」と「やる」とのギャップ
◆ 地方で都市を起動する(U・Iターンしてきた若い世代)
◆ 何かを「やる」なら地方がいい(①自然が多い、②食や福祉に関わる人と近い)
◆「いる」と「やる」の間にある居場所を
この本の中盤では、「政治ー ”強さ” でなく ”弱さ” をキーワードとして」「メディアーローカルを再定義して見えてきたもの」「アートー想像力を持って ”出来事化” する」および「スポーツーそれは ”わたしたちのもの” でもあるのだから」について解説しています。主なポイントは次の通り。
◆ 自立とは相互依存
◆「弱い連携」を
◆ 自分ごと化するローカルメディア
◆ ただ、そこにいる「半取材」
◆ 身軽だからこそ生まれるコミュニティ
◆ 芸術家たちの、時空を飛び越える目
◆ 福祉とアートの親和性
◆ スタジアムというコミュニティ
◆ 地域活動団体としてのサッカークラブ
本書の後半では、「食ー ”大量生産” をあえてポジティブに考える」「子育てー ”わたし” に吹く風を、もっと大切にできたら」「死ー不確実さをおもしろがってみる」および「書店ー地方に都市をつくるサードプレイス」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 食を通じて「間」で考える
◆ 魅力ある地方で子育てする
◆ 神のいる、地方
◆ 気まぐれな自然
◆ 店主と2時間おしゃべりできるマンションの一室にある書店
◆ 書店は大事な居場所、「都市」を起動する場所
◆ コミュニティから生まれた「古本市」のアイデア
◆「まちの小さな本屋」が消えていく
◆「都市」と「農村」のいいとこ取り
◆「閉鎖性」と「開放性」の両方を持つ
◆「狭い書店」と「広い活動」
◆「WILL BE YOUR THIRD PLACE」(あなたのサードプレイスになる)
この本の締めくくりとして著者は、この本のテーマは「自分がいま暮らす地域で、幸せに生きるにはどうすればいいか」ということだったのではないか、と述べています。
あなたも本書を読んで、あなたなりの「地方論」を考え、都市と地方の間にある居場所を見つけてみませんか。
ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。
では、今日もハッピーな1日を!【3041日目】