「悪者は社会の仕組みによって生み出される」「悪者に責任はない」と述べて、悪者も被害者なのだということを発信している本があります。
本日紹介するのは、1991年生まれで、厳しい家庭環境で育ち、その経験から2016年に起業し、虐待と貧困から生き残ったグローバル社会起業家で、株式会社アメグミ代表取締役のトキワ エイスケさんが書いた、こちらの書籍です。
トキワ エイスケ『悪者図鑑-なぜ、「悪者」はいなくならないのか』(自由国民社)
この本は、「悪者」とその周辺の人々を俯瞰して仕組みを知ることで、各分野の専門家で協力しあい、少しでも社会が良い方向にすすむきっかけになればいいと思って書かれた書です。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.なぜ、悪者はいなくならないのか?
2.悪者が作られてしまう仕組みが存在していた
3.悪者のやっつけ方を間違いつづけた300年
4.今もエリートは何も知らずに間違いつづける
5.悪者も幸せになる社会を目指さなければいけない
この本の冒頭で著者は、この本で一番言いたいのは、「悪者に責任はなく、勘違いをなくして彼らに適切に接していかなければ、悪者は決していなくならないし、被害者は永遠に増え続ける」ということだと述べています。
本書の前半では、親による児童虐待、上司によるハラスメント、放火、あおり運転など社会問題は、その発生する仕組みが知られていないことが指摘されています。主な理由として次のことを挙げています。
◆ 遺伝(脳の構造、脳内の神経伝達物質)
◆ 経験による影響
◆ マルトリートメント(不適切な養育)、愛着障害
◆ 悪者になる価値観
◆ 周りの環境自体が悪者に仕立て上げる
続いて、悪者が作られてしまう仕組みとして、次の事例を挙げて説明しています。
◆ 非行少年は「地獄の無限ループ」
◆ 私たちの「傍観者効果」
◆ 道徳・倫理を持っていても使えない
◆ エリートの差別バイアス
◆ 2つの価値観の対立
この本の中盤では、悪者のやっつけ方を間違えた300年を振り返り、今も間違え続けていることを解説しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 理性(道徳・倫理、効率、論理)が弱いのに頼る社会になっている
◆ 無関心で怠慢な国民を作り上げた教育の失敗(リベラルアーツの軽視)
◆ 資本主義や民主主義の欠陥
◆ 間違った情報の方が面白い科学に基づかない「魔女狩り」
◆ グローバリズムによる仲間意識の欠如
◆ ベーシックインカムや社会貢献活動の限界
◆ イノベーションやSDGsでも社会はよくならない
◆ 多様性ある社会がいじめを生み出す
◆ AIによる仕事改革、SNSによる選挙結果コントロールが格差を拡大する
こうした間違いを踏まえ、「子どもは輝かしい将来よりも、今親に愛されたい」と述べて、愛情を与え、共感能力を養い、道徳観をしっかり持つことの重要性を説明しています。
本書の後半では、「悪者も幸せになる社会を目指さなければいけない」と提唱し、以下のポイントを挙げています。
◆ 被害者も幸せになることができる社会の仕組みに根本から変える
◆「全員基本的幸福(=Universal Basic Happiness)を目指す
◆ 全人類が貧困や少数派の人を助けようとする理性を持つようになる
◆ 国民一人ひとりが影響し合う「伝播システム」というアイデア
◆ 仲間は同じ場所ではなく、同じ目的で作る
◆ デザインだけがすべての人を幸せにする仕組みをつくれる!
この本の最後で著者は、自らが普段から意識していることや習慣にしていることを次の5点に整理して紹介しています。
1.何も知らないから量をこなそう
2.集合論と二面性で情報を整理しよう
3.目的と手段を明確にしよう
4.友達や仲間は少なくていい
5.一番大事なのは、まず自分が幸せになれるかどうか
あなたも「虐待と貧困から生き残った社会起業家の魂のノート」とも言える本書を読んで、悪者を発生させない社会の仕組みについて考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2507日目】