「自営業などを除けば誰もがいつか迎える定年。第二の人生をどう充実させたらよいか。」と呼び掛け、シニア社員、定年退職者、地域で活動する人たちへの取材を通じて、定年後に待ち受ける「現実」を明らかにし、真に豊かに生きるためのヒントを提示してくれる本があります。
本日紹介するのは、京都大学法学部を卒業後、大手生命保険会社に入社し、人事・労務関係を中心に勤務した後、現在は定年退職してフリーになり、「働く意味」をテーマに取材・執筆・講演に取り組んでいる楠木新さんが書いた、こちらの新刊新書です。
楠木新『定年後-50歳からの生き方、終わり方』(中公新書)
この本は、誰もが気がつき始めた、これまでより長い人生を展望して、「人生は後半戦が勝負」、「定年後をいかに充実させるか」という問題意識に、具体的な事例を提示して、「50歳からの生き方、終わり方」を提言している書です。
本書は以下の8部構成から成っています。
1.人生は後半戦が勝負
2.全員が合格点
3.イキイキした人は2割未満?
4.亭主元気で留守がいい
5.「黄金の15年」を輝かせるために
6.社会とどうつながるか
7.居場所を探す
8.「死」から逆算してみる
本書の冒頭で著者は、「定年退職日は一大イベント」だとして、自らの定年退職日の様子も紹介しています。確かに、物理的な年齢だけで、強制的に決められた「定年退職日」を境に、会社員だった人の生活や環境は一変します。
2013年の改正高齢者雇用安定法の施行により、企業は次の3つのうちのどれかを選択しなければならなくなりました。
◆ 定年の引き上げ
◆ 継続雇用制度の導入
◆ 定年の定めの廃止
大半の企業は、上記2番目の「継続雇用制度の導入」で対応していて、それが「定年再雇用」と呼ばれる制度です。
一般的には、雇用期間を1年毎の更新制にして、①賃金条件を大幅にダウンさせる、②仕事の範囲を大幅に狭める(部下を持たない)、③いつでも首を切れるし、条件も変えられる1年契約にする、といった再雇用条件を提示しています。
そこには、これまで長年、企業に貢献してきた畜積への評価や配慮などは微塵もありません。そこで、多くの定年退職者がショックを受け、嘆き、悩むことになるのです。
あまりにも「冷たい」会社の仕打ちに、うつ病になる退職者もいる、と言います。
この本では、そうした定年退職者へのインタビュー取材や、参考文献での記載も織り交ぜながら、著者なりの「結論」を提示しています。
詳細はぜひ、本書をお読みいただきたいのですが、ポイントを以下に紹介しておきます。
◆ 人生は後半戦が勝負
◆ 定年後は、自由にできる時間が8万時間(=現役時代の全勤務時間)もある
◆ 60歳から75歳までの15年間が「黄金の15年」
◆ 経済優先から人生優先へ転換
◆ 現役時の役職と定年後の活躍度は相関しない
◆ 会社員人生は40歳を境に「成長・自立の前半」と「定年後を見据えた準備の後半」の2つに分かれる
◆ 定年後は、60歳~74歳の前期高齢者、75歳以上の後期高齢者、最期の準備期間の3つに分かれる
◆ 会社の仕事以外のものを手にするためには3年が区切り
◆ 小さい頃に得意だったこと、好きで好きで仕方なかったことが、次のステップのカギを握る
◆ 居場所を探すことが大切
◆ 学びは最高のレジャーだ
◆ 定年後は「死」から逆算した生き方を
◆ 挫折と思えるような経験から、イキイキとした働き方、生き方を見出している人が多い
◆ 死を想うエネルギーがリスクに立ち向かう度胸を養う
◆ 死を意識することは、自分の人生の持ち時間を把握する究極の形
◆ 50代から「定年後」を検討することが妥当
◆ 自分の内面的な価値観にあった行動をしているから「いい顔」になる
◆ 人生が80年になり、多くの人がいかに生きるか、いかに死ぬかについて考えざるを得なくなった
◆ 死ぬ1ヶ月前に食べる昼食をランキングする
◆ 目的地へ向かうコースを自ら選択して、周囲の人の助けを借りながら進む
また、本書の巻末では、定年後を考えるための「参考文献」が整理・紹介されています。私も読んだり、ぜひ読みたい良書をピックアップして記しておきます。
あなたも本書を読んで、「定年後」に向けた50歳からの生き方、終わり方を学んでみませんか。
2020年6月10日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第121回】50歳から考える「定年後」にて紹介しています。
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では、今日もハッピーな1日を