書評ブログ

『政府はもう嘘をつけない』

「お金の流れで世界を見抜け!今だけ、金だけ、自分だけでいいんですか?」と問題提起をしている書があります。

 

 

本日紹介したいのは、国際ジャーナリスト堤未果さんが書いた、こちらの新刊新書です。

 

 

堤未果『政府はもう嘘をつけない』(角川新書)

 

 

この本は、パナマ文書の公開で、「タックスヘイブン(租税回避地)」を活用して、本来納めるはずの税金を回避している「1%の超富裕層」の実態を明らかにするところから始まっています。

 

 

そして、大統領選、憲法改正、監視社会、保育・介護・教育・医療など、すべてがビジネスにされて、超資本主義とも言うべき強欲マネーゲームが、パナマ文書のチラ見せで最終章に入ったと指摘しています。

 

 

時代の大きなターニングポイントである2016年の今、政府の嘘を見破り、未来を取り戻す秘策を気鋭のジャーナリストが明かしたのがこの本です。

 

 

 

本書は以下の6部構成から成っています。

 

 

1.パナマ文書の何が悪い?~慌てるアホウに笑うアホウ~

 

2.金の流れで「アメリカ大統領選」が見える!

 

3.日本に忍び寄る「ファシズムの甘い香り」

 

4.違和感だらけの海外ニュースも「金の流れ」で腑に落ちる

 

5.「脳内世界地図」をアップデートせよ!

 

6.18歳選挙~どんな未来にしたいですか?~

 

 

本書では、前作の『政府は必ず嘘をつく 増補版』(角川新書)の続編として、アメリカを中心とする多国籍大企業を「強欲資本主義の1%超富裕層」として、厳しく非難しています。

 

 

その深慮遠謀の解説を読むと、帝国主義時代の植民地支配と何ら変わることのない、アメリカをはじめ先進国の多国籍企業のやり方に驚かされます。

 

 

まさに「1%の超富裕層」「その他99%の貧困層」から搾取して、貧富の格差が決定的に拡大する構図になっています。

 

 

2016年7月現在、佳境に入っているアメリカ大統領選挙で、共和党ではトランプが大統領候補に指名されたり、民主党ではバーニー・サンダース議員が最後まで善戦して本命のヒラリー・クリントン候補に食い下がって健闘したことは、偶然ではないと分かります。

 

 

実は、共和・民主といった政党間での政策の違いよりも、「1%の超富裕層」から政治献金を受けずに、「99%の利益」を代弁するトランプサンダースが事前の予測に反して健闘しているのは、偶然ではないと著者は言います。

 

 

アメリカでは今、あまりにも広がり過ぎた「1%の超富裕層」と「99%の貧困層」との格差に、多くの国民が気が付き、ほんとうの「変化」を求めているのかも知れません。

 

 

本書では、TTPの真の狙いや、TTIP(戦略的環太西洋投資貿易連携協定)TISAサービス協定(公共サービスを民営化する協定)について、詳しく解説されています。

 

 

TTPはその内容が殆ど公開されておらず、とくにISDS条項(投資家や企業が、投資先の国内法によって損害を被るか、将来得られるはずの利益が得られなかった場合に国家を訴える権利を持つ条項)は、絶対に阻止しなければならない危険な条項だと、警鐘を鳴らしています。

 

 

確かに、ISDS裁判は既存の裁判所ではなく、大企業法廷で行われ、中立の裁判官は歴代アメリカ人が務める世界銀行総裁が任命するため、アメリカ企業は一度も負けたことがない、という裁判です。

 

 

脱原発を宣言したドイツ政府は、スウェーデンのエネルギー企業バッテンフォール社が提訴する60億ドルの損害賠償を求める「脱原発ISDS裁判」で負ける可能性が濃厚だ、ということです。

 

 

おそらく今後、どの国の政府も「脱原発政策」を実施することは事実上、不可能になるのではないか、と本書では指摘します。それほど、ISDA条項によって守られる、原発利権を持つ多国籍企業の権利は強いということです。

 

 

あなたも本書を読んで、「1%の超富裕層」が狙う自由貿易体制というルール資本主義社会の行きつく先をしっかりと見極めてみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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