『「本をつくる」という仕事』

2017.04.09 (日)

「一冊の本には書き手や編集者だけではなく、様々な “ 本をつくる人々 ” がかかわっている。」と述べて、カバーや本文をデザインする装幀家、書体をつくる人、製本の会社、製紙工場、原稿の誤りを正す校閲者など、「本」にかかわって日々を生きる人々の仕事に込められた想いを描いた書があります。

 

 

本日紹介するのは、ノンフィクション作家、ライター稲泉進さんが書いた、こちらの新刊書籍です。

 

 

稲泉進『「本をつくる」という仕事』(筑摩書房)

 

 

この本は、ノンフィクション作家の稲泉さんが、東日本大震災で被災した書店を訪ねて回った際に、書き手や編集者以外に、様々な「本をつくる人々」がかかわっていることをほとんど知らないことに気づいたことから、本が出来上がるまでの、さまざまな「プロの仕事」について調べて、記録することにしたものです。

 

 

 

本書は以下の8部構成から成っています。

 

 

1.活字は本の声である

 

2.ドイツで学んだ製本の技

 

3.六畳の活版印刷屋

 

4.校閲はゲラで語る

 

 

5.すべての本は紙だった

 

6.装幀は細部に宿る

 

7.海外の本の架け橋

 

8.子供の本を大人が書く

 

 

本書の冒頭で著者は、普段はあまり見かけないが、一冊の本や本の世界を形作る上で欠かせないものとして、以下のような仕事を紹介しています。

 

 

◆ カバーや本文をデザインする装幀家

 

◆ 装幀家によって選ばれる書体をつくる人

 

◆ もとはばらばらだった頁をまとめ、それを一冊の形ある商品へと変える製本の会社

 

◆ 少し赤みがかった紙を製造する製紙工場で働く技術者

 

◆ 原稿の誤りを正す校閲者

 

 

この本では、「本づくり」に欠かせない、一つひとつの工程におけるプロの仕事について、その歴史的な経緯や、プロとしての「こだわり」、その後の時代の変化に伴う変遷を、丁寧な取材やインタビューをもとに紹介しています。

 

 

とくに、活字については、大日本印刷の「秀英体」という書体に関して、7年にわたる「平成の大改刻」と呼ばれる事業を、伊藤正樹さんの話をもとに、「秀英体」の歴史と共に解説していて、参考になります。

 

 

また、製本に関しては、ドイツにある世界的な総合メディア企業であるベルテルスマンが運営する専門学校「ゲゼレ」について紹介しています。そこでは製本の職工を養成していて、当時日本人では唯一、製本マイスターという国家資格を取得した、松岳社(青木製本所)の四代目社長・青木英一さんの話を記しています。

 

 

同様に、活版印刷機にまつわる渓山丈介さんの話、校閲のプロである矢彦孝彦さんの話、「紙」については三菱製紙の中川工場・八戸工場の話を紹介していて、それぞれの歴史に驚かされます。

 

 

さらに、装幀については、本のデザインをするブックデザイナー・日下潤一さんの話が、心を打ちます。背表紙の丸みをはじめ、本の細部に様々な工夫が施され、つくり手たちが本という「もの」の隅々にまで丁寧に目配りして、一冊の本をつくり上げていることが伝わってくるのです。

 

 

本書の終盤に出てくる海外の本との架け橋については、ドイツのフランクフルトで毎年開催されるブックフェアの様子が、タトル・モリ玉置真波さんの話をもとに描かれ、世界の出版界の動きが分かります。

 

 

日本と異なり、欧米では「リテレリーエージェント」と呼ばれる人たちが、作家の発掘、出版社への企画の売り込み、原稿料の交渉までを担当し、有望な著者とは2作目以降のキャリア設計をともに行っていく仕組みがある、ということです。

 

 

私も、日本ではまだまだ珍しい「エージェント」の方々からサポートいただいていることに関して、その先進性に敬意を表すると同時に、改めて感謝の気持ちを確認しました。

 

 

そして本書は最後に、子供向けの「物語」という仕事を通して、読み、書くということの「本質」を、作家の角野栄子さんの言葉によって、私たちに伝えてくれます。

 

 

著者の稲泉連さんが「あとがき」でも述べている通り、私も「著者」という、「ものを書くこと」を通して「本をつくるという仕事」にかかわる一人として、自分自身の役割を決して疎かにしてはならない、という思いを強くしました。

 

 

この本は、著者をはじめ「本をつくる」という仕事に関わるすべての人々に、ぜひとも読んでいただきたい良書として、心から推薦いたします。

 

 

最後に、著者が述べている次の言葉を、私も生涯現役で書き続ける限り、決して忘れてはならないと、固く決意した次第です。

 

 

「一冊の本の背後にある、これだけの人たちの思いがある。だからこそ自分の役割に対して、これまで以上に真摯に向き合わなければならない」

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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