『AI vs. 民主主義 高度化する世論調査の深層』

2020.04.19 (日)

AIというテクノロジーは民主主義を成熟させるのか、形骸化させるのかを問い、2016年のアメリカ大統領選、2018年の中間選挙で起きたことを分析して、高度化する世論操作に対抗して、民主主義を守る取り組みが各国で始まっていることを指摘している本があります。

 

 

本日紹介するのは、NHK報道局国際部、社会番組部の記者・ディレクターを中心に結成されたチーム「NHK取材班」取材記録としてまとめた、こちらの書籍です。

 

 

NHK取材班『AI vs. 民主主義 高度化する世論調査の深層』(NHK出版新書)

 

 

この本は、SNSの政治広告の実態を取材し、その政治広告がどこまで人々の意見を変えることができるのかを考察、またマイクロターゲティング研究の最先端をゆく計量心理学者にも話を聞き、2020年11月に行われる米大統領選において、共和・民主両党がどのようなデジタル選挙戦略を構想しているかを展望している書です。

 

 

 

本書は以下の7部構成から成っています。

 

 

1.AIは誘導する

 

2.激変する情報環境-データ独占・フィルターバブル・ディープフェイク

 

3.恐るべき告発-トランプ当選の黒幕、天才データアナリスト

 

4.偏向情報が拡散するメカニズム-SNSの政治広告の実態

 

5.世論操作の効果と影響-人はどこまで操られるのか

 

6.デジタル選挙戦略の最前線-2020年アメリカ大統領選を読む

 

7.私たちは民主主義を守れるか-個人データの保護は「基本的人権」

 

 

 

この本の冒頭で著者は、イギリスに本社を置くケンブリッジ・アナリティカ(CA)という会社が、フェイスブックが保有する8700万人分の個人データを入手し、2016年アメリカ大統領選挙に利用した、という指摘を紹介しています、

 

 

 

そして、CAが米大統領選に活用した「マイクロターゲティング」という個人データをAIに解析・学習させ、有権者個々の政治的傾向をかなりの精度で割り出したうえで、個々の有権者にカスタマイズする形で政治広告を制作する、という手法を解説しています。

 

 

 

またSNS戦略の専門家の指摘として、「SNSに表示される広告は、本人も気づかないうちに怒りや不安が醸成され、投票行動に影響を与えてしまう」怖さを紹介しています。

 

 

 

つまり、「民主主義とは何か」といいう根本的な問いがなされています。

 

 

 

本書の前半では、GAFAを中心とする巨大IT企業による個人データ独占という現代の情報環境を説明しています。ポイントは以下の通り。

 

 

◆ 予測エンジンに支配され、個別化していくニュース(=フィルターバブル)

 

◆ 情報がAIによって個別に仕分け・操作されることもより、人々は分断され対話が成立しない状況に

 

◆ フェイクニュースの高度化(=ディープフェイク)

 

◆ AIによる世論操作、選挙への影響

 

 

 

続いて、2016年米大統領選のトランプ当選に関わったとされるCAの創業期に大統領選のSNS戦略基盤を構築したキーマンである天才データアナリスト、クリストファー・ワイリーへのインタビューを記しています。主な論点は以下の通りです。

 

 

◆ AIによるプロファイリング(テロリスト割り出しから有権者の特性まで)

 

◆ トランプ誕生の黒幕スティーヴン・バノン

 

◆ 文化の中で戦争をする武器は「情報」(=文化戦争)

 

◆ 性格の五因子モデル「OCEAN」

 

◆ 投票抑制作戦

 

 

この中で、人の性格特性OCEANとは、次の5つです。

 

 

◆ Openness(開放性、知的好奇心の強さ)

 

◆ Conscientiousness(誠実性、自己統制力やまじめさなど)

 

◆ Extraversion(外向性、社交性や活動性など)

 

◆ Agreeableness(協調性、他人のことをどれだけ考えられるか)

 

◆ Neuroticism(神経症的傾向、ストレスに対する耐性)

 

 

 

これら5つの性格特性に合わせた映像広告の狙いが定められており、この本の巻末にそのURLが掲載されています。

 

 

 

本書の偏向情報が拡散するメカニズムおよび、世論操作の効果と影響について考察されています。詳細はぜひ、この本を手に取ってお読みください。

 

 

 

後半では、デジタル選挙戦略の最前線として、2020年アメリカ大統領選の展望を予測しています。

 

 

 

さらに、「私たちは民主主義を守れるか」という問いに対し、以下のようなポイントを提示しています。

 

 

◆ 個人データの保護は「基本的人権」

 

◆ GDPR(一般データ保護規則)は21世紀の人権宣言

 

◆ 個人データを守る「情報銀行」の取り組み

 

◆ ソーシャルメディアの陰の部分

 

 

 

あなたも本書を読んで、AIに捕捉され、丸裸にされる私たちを守るために、高度化する世論操作の深層を知ることにより、AIと民主主義の関係を改めて考察してみませんか。

 

 

 

2020年5月31日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第111回】AIにより高度化する世論操作とは?にて紹介しています。

 

 

 

 

 

毎日1冊、ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。

 

 

 

 

では、今日もハッピーな1日を!

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