書評ブログ

片桐実央『「シニア起業」で成功する人・しない人』(講談社+アルファ文庫)

片桐実央氏は、花王の法務・コンプライアンス部門に勤務した後、独立を展望して大和証券SMBCにて引受審査部でIPO支援業務を経験した。

 

2008年7月、銀座セカンドライフ株式会社を設立して起業、定年前後での起業支援に特化したサービスを開始した。今や、定年前後に起業する人は急増していて「定年起業」「熟年起業」「シニア起業」と呼ばれるブームとなっている。

 

50~60代で起業する場合に最も大切なのは、以下の3つが重なる分野で起業することだという。

 

1.好きなこと、やりたいこと
2.得意なこと、できること
3.お金になること、市場性があること

 

また、本書では50代以上の起業として「ゆる起業」という概念を提案し、著者のコンサルティングでは勧めているという。 「ゆる起業」とは、以下の5原則を備えた起業法だ。

 

1.楽しいと思える
2.やりがいを感じる
3.経験を活かす
4.利益を追求しない
5.健康が一番

 

つまり、自分の好きな仕事を、自分にできる分だけこなし、適度な収入を得る、という起業のやり方だ。利益よりも楽しさややりがいを大事にし、健康に気を付け、無理をしない働き方だ。

 

本書では、起業準備のポイントとなる 「事業計画書」 の作成および名刺・ホームページの作成について、具体的なアドバイスが述べられていて、実戦的なガイドとして役に立つ。

 

最後の部分では、退職前の準備で大切なことや、助成金などの行政制度についても紹介されていて、50~60代でのシニア起業を考えている人には得るところが大きいだろう。

 

起業を志す50~60代のビジネスパーソンにはぜひ読んでほしい一冊だ。