書評ブログ

『ザイム真理教と霞が関の真実 余命8年の元官僚が命を賭ける日本再生の処方箋』

「財務省批判は本当に正しいのか?」――世間で広がる “ザイム真理教” 論争に、内部から切り込んだ一冊があります。

本日紹介するのは、1962年東京都生まれ、一橋大学経済学部卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。コロンビア大学経営大学院でMBAを取得し、資源エネルギー庁長官官房国際資源課などを経て、2001年に小泉内閣の経済財政政策担当大臣・竹中平蔵氏の大臣補佐官を務めた後、経済産業省を退官。以降はテレビや講演など多方面で活躍する経済評論家岸博幸(きし・ひろゆき)さんが書いたこちらの書籍です。

岸博幸『ザイム真理教と霞が関の真実 余命8年の元官僚が命を賭ける日本再生の処方箋』(宝島社)

本書は以下の6部構成から成っています。

1.ザイム真理教の真偽

2.霞が関に巣食う真理教

3.霞が関の問題点

4.ザイム真理教と消費税減税

5.政治のこと

6.人生と仕事

 

この本の冒頭で著者は、森永卓郎氏『ザイム真理教』高橋洋一氏『財務省亡国論』などから始まった財務省批判が世間に広がり、最近では財務省前で連日のデモまで行われる事態になっていると述べています。そして、その言説は果たして本当なのか――元官僚として内部から見た現実を提示し、真相に迫る姿勢を明らかにしています。

本書の前半では、「ザイム真理教の真偽」および「霞が関に巣食う真理教」を扱い、官僚組織の特異な構造と意思決定の仕組みを解き明かしています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 財務省批判が社会に広がる背景を冷静に検証している

◆ “真理教”と揶揄されるほどの財務官僚の影響力を解説している

◆ 内部に巣食う閉鎖的な論理と保身構造を描き出している

◆ 政策立案の歪みがどのように生じるのかを具体的に示している

◆ 財務省批判がヒートアップする理由を歴史的経緯から分析している

 

この本の中盤では、「霞が関の問題点」および「ザイム真理教と消費税減税」を取り上げ、具体的な政策課題財政・税制の問題に切り込んでいます。主なポイントは次の通り。

◆ 官僚主導の意思決定が国益を損なう構造的欠陥を持つ

◆ 政治家と官僚の力関係のゆがみを明確にしている

◆ 消費税減税をめぐる議論に対し、財務官僚の論理を解説している

◆ 官僚批判と政策論争のズレを整理している

◆ 財政規律と国民生活のバランスを問うている

 

本書の後半では、「政治のこと」そして「人生と仕事」に至り、著者自身の体験と信念を交えて、政治と官僚の関係、さらに自らの生き方を語っています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 政治家と官僚の理想的な関係性を模索している

◆ 官僚として経験した「竹中平蔵補佐官時代」の内幕を紹介している

◆ 日本再生に必要な政治主導の姿勢を提言している

◆ 官僚を辞めた後に得た視点から人生と仕事の意味を見つめ直している

◆ 「余命8年」と宣告された著者が、命を賭して伝えたいメッセージを込めている

 

この本の締めくくりとして著者は、「自分が生きている間に少しでも日本の政治や政策が良い方向に進んでほしい。そのために、元官僚として伝えるべきことをすべて書いた」と述べています。

財務省批判が真実かどうかを超え、霞が関の構造的問題、日本政治のあり方、そして個人としての生き様を重ね合わせた、迫真のルポルタージュに仕上がっています。

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では、今日もハッピーな1日を!【3839日目】