書評ブログ

『等身大の定年後 お金・働き方・生きがい』

「定年後の働き方については、経済的事情や本人の定年後就労に対する考え方、価値観など、目的も動機も人それぞれだ。誰もが満足できるモデルケースなど存在しない。」と述べている本があります。

 

本日紹介するのは、京都市生まれ、元読売新聞記者、米ニューヨーク大学文理大学院修士課程修了、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程単位取得退学、近畿大学教授、ジャーナリスト、博士(政策・メディア)奥田祥子さんが書いた、こちらの書籍です。

 

奥田祥子『等身大の定年後 お金・働き方・生きがい』(光文社新書)

 

この本は、定年後の働き方が収入面や生きがい創出に及ぼす影響を含め、人生のセカンドステージどのようにかたちづくるかを探るため、次の5つに分類して考察している書です。

◆ 同じ会社で継続雇用される再雇用

◆ 転職

◆ フリーランス(個人事業主)

◆ NPOなどの社会貢献活動

◆ ロールモデルに乏しい女性の定年後

 

本書は以下の6部構成から成っています。

 

1.再雇用は「価値観の転換点」

2.転職で「再チャレンジ」

3.フリーに懸ける――雇われない働き方

4.「人のため」をやりがいに――稼がない働き方

5.「均等法第一世代」女性の光と影

6.シニア人材戦力化に向けて

 

この本の冒頭で著者は、「本書の特徴は、最長で二十数年にわたり、同じ取材対象者に継続的にインタビューを行ってきた点だ。」と述べています。

 

本書の前半では、「再雇用は価値観の転換点および「転職で再チャレンジ」について以下のポイントを説明しています。

◆ 再雇用にプライドの壁と小さな仕事に見つけた「やりがい」

◆ ”負け組” の底力で「最後のあがき」と私生活の充実で「気楽に」

◆ リカレント教育で65最後の準に準備と息子の縁でボランティア

◆ 再雇用を「前向きなモラトリアム」に

 

◆ 転職阻む頑固なこだわり、「復讐」のための転職

◆ 熱血部長の挑戦、配送員バイトを経て海外現地法人副社長に

◆ 専門性を磨いて税理士資格とスタートアップのCEOに

◆ ポータブルスキルと専門性を磨く

この本の中盤では、「フリーに懸ける―雇われない働き方および「人のためをやりがいに―稼がない働き方」について解説しています。主なポイントは次の通りです。

◆ ”リベンジ” 起業の落とし穴

◆ 定年前から副業フリーランスに

◆「ジョブ型」が道を開き、ITのプロ技能を活かす

◆ フリーランスの5割が50~74歳、安心して働ける環境整備を

 

◆ 無報酬で自己喪失、退職後ボランティアで「自分をなくした」

◆「役職定年」を機に二足のわらじ、週末に若者の就労支援

◆ 定年後こそ、「役立つ」仕事、リスキリングで不安解消、

◆ 企業がパラレルキャリアや社会貢献活動を支援する時代に

 

本書の後半では、「均等法第一世代 女性の光と影および「シニア人材戦力化に向けて」ついて説明しています。とくに共感できるポイントは以下の通りです。

◆「仕事ひと筋」燃え尽き症候群、最後の最後に会社に見捨てられた

◆「道なき道」行く定年女性

◆「共感」でつながる女性の輪、定年女性を支援

◆ ロールモデル不在からの挑戦

 

◆ シニアに不可欠なポータブルスキル

◆ リスキリングと「ジョブ型」雇用

◆ 内発的動機づけへの価値観の転換を

◆ ポストシニアや若者層にも好影響の「シニア人材戦力化」

 

この本の締めくくりとして著者は、「この『失われた30年』の間、景気動向だけでなく、さまざまな社会構造の変化の波にのまれ、価値観の転換に迫られながらも懸命に歩を進め、今セカンドキャリアを切り拓こうとされている方々に、同じ世代として、心揺さぶられずにはいられません。」と述べています。

 

あなたも本書を読んで、長期取材から浮かび上がったお金・働き方・生きがいなど「等身大の定年後」を知り、自らの「定年後」について考えてみませんか。

 

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では、今日もハッピーな1日を!【3455日目】