書評ブログ

『在宅医療のエキスパートが教える 年をとったら食べなさい』

「太っているお年寄りほど健康。これが、多くに高齢者を見続けてきた私が考える結論です。」と述べている本があります。

 

 

本日紹介するのは、1973年京都市生まれ、筑波大学医学専門学群を卒業後、社会福祉法人三井記念病院内科研修医として入職、消化器内科に進み、2004年東京大学大学院医学系研究科博士課程に進学、在宅医療に出会って、2006年在宅医療支援診療所を開設、現在は医療法人社団悠翔会理事長・診察部長佐々木淳さんが書いた、こちらの書籍です。

 

佐々木淳『在宅医療のエキスパートが教える 年をとったら食べなさい』(飛鳥新社)

 

 

この本は、いままで知られていた情報をアップデートし、高齢の方向けに得られた新たな健康常識を、最新の医学データで示すことを目指した書です。

 

 

本書は以下の7部構成から成っています。

 

1.はじめに 世界のご長寿は「質」より「量」? 「なんでも」「もりもり」食べている

2.年をとったら健康常識を「180度」変えよう

3.気をつけて! 「やせ過ぎ」の人は危険です!

4.血圧や血糖を気にするより、とにかく食べなさい!

5.しっかり食べて健康になる! シニア版「最強の食事術」

6.食べられる体、動ける体を 「運動」で守り抜く!

7.あとがき 食べることは、生きること

 

 

この本の冒頭で著者は、「日本人の約8割の高齢者がつらい死に方をしている」と述べ、人生のラストを「つらいもの」にしないために必要なこととして、「しっかり食べること」を挙げています。

 

 

本書の前半では、「世界のご長寿は質より量? なんでも、もりもり食べている」、「気をつけて! やせ過ぎの人は危険です!」および年をとったら健康常識を180度変えよう」をテーマに著者の考え方を説明しています。主なポイントは以下の通り。

 

◆ 世界の元気なお年寄りはなんでも、もりもり食べている

◆ 体重を増やすことで、高齢者ならではのリスクを減らすことができる

◆ 高齢者には「低栄養」と「虚弱(フレイル)」が大きなリスク

◆ 太っているお年寄りほど健康

 

◆ 高齢者の場合、やせていると要介護や死亡リスクが大きく高まる

◆ 高齢になったら、これまでの健康常識を180度ひっくり返す

◆ しっかり食べて、血圧や血糖を下げすぎない、薬を飲みすぎない

◆「食べること」は「生きること」

 

◆「食事量の低下」こそが、高齢者に衰えの悪循環を呼び起こす

◆ 食事量低下⇒低栄養⇒筋量減少⇒運動機能低下⇒心身の機能低下⇒食事量低下

◆ 日本人の80%は介護や寝たきりの状態で最期を迎える

◆ 高齢者の衰えを加速させる二大要因は「肺炎」と「骨折」

 

◆ 低栄養で筋肉がやせてくると転倒、骨折のリスクが高まる

◆ 誤嚥性肺炎の発生には筋肉量の減少が大きく関与

◆ 年をとるごとに太っていくのが正しい健康管理

◆ 入院による「リロケーションダメージ」と「医療性サルコペニア」

 

◆ サルコペニアとは、筋肉量が減少することで全身の筋力低下が起こること

◆ 人は30歳以降、1年に1%ずつ筋肉量が減少

◆ 入院すると、1日で1年分(1%)の筋肉が失われてしまう

◆ ちゃんと薬を飲むことよりも、ちゃんと食べること

 

 

この本の中盤では、「血圧や血糖を気にするより、とにかく食べなさい!」ということについて、次のポイントを解説しています。

 

◆ 動脈硬化による脳血管疾患や心疾患は年をとってからは防げない

◆ 年をとってのいちばんのリスクは「小食」と「衰弱」

◆ 高齢期のリスクは動脈硬化・メタボではなく、低栄養・サルコペニア・フレイル

◆ 中高年向け健康習慣から高齢者向け健康習慣へのギアチェンジを

 

◆ ギアチェンジのタイミングは、ペットボトルのフタや「指輪っかテスト」

◆ 高齢者は血圧が高い方が死亡リスクは低くなる

◆ 薬で血糖値を下げ過ぎると認知症リスクが高まる

◆ 血糖値の下げ過ぎは、脳卒中や心筋梗塞のリスクも高まる

 

 

本書の後半では、「しっかり食べて健康になる! シニア版最強の食事術」および食べられる体、動ける体を 運動で守り抜く!」について、解説しています。主なポイントは以下の通りです。

 

◆「1にカロリー、2にたんぱく」を合言葉に

◆ マクドナルドや吉野家は理想的な食事

◆ 宅配ピザ、フライドチキン、餃子などファーストフードがいい

◆ サバ缶、卵、チーズ、オリーブオイル、カップラーメンがお勧め

 

◆ 間食もOK、コンビニスイーツはお勧め

◆ 食欲がない時は、チョコレートやアイスクリームを

◆ 食品添加物や無農薬にこだわる必要はない

◆ 高齢者にとって、カロリーとたんぱく質をできるだけ食べるのが健康にいい食事

 

◆ 自分らしく生きるのに大切なのは「食べること」と「動くこと」

◆ 人生のラストステージを幸せに生きるのは「どれだけしっかり食べたか」で決まる

◆「社会的な孤独」は死亡リスクを大幅に高める

◆ 高齢者が大切にすべき二本柱は「食事」と「運動」

 

◆ 活動度を引き上げるには、意識して用事をつくり、外出の機会を増やす

◆ 人間の筋肉は、70%が足腰など下半身に集中

◆ 1日トータル8000歩を目指す

◆ 片足立ち、つかまりスクワットなど簡単筋トレで筋肉を守る

 

 

この本の締めくくりとして著者は、「食べることは、生きること」という五島朋幸先生の言葉を紹介しながら、次の3点を提案しています。

 

1.食事はおいしく楽しくが基本

2.薬や食事療法について、まずは主治医の先生に相談

3.食べたいときに、食べたいものを、食べられるだけ

 

 

あなたも本書を読んで、在宅医療のエキスパートが語る、高齢者にとって大切な健康管理を実践して、生涯現役で自分らしく幸せな人生を送っていきませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2686日目】