書評ブログ

『第4版 10分でわかる 得する年金のもらい方』

「年金制度は常に変化しており、少しでも有利に受給するには、これらの動きに注意し、打てる手があればすべて打つことが大事です。」と述べている本があります。

 

 

本日紹介するのは、1948年東京生まれ、社会保険関係の対策を真剣にとらえ、有利な活用を学んでほしいとセミナーやテレビ・ラジオ・執筆などで活躍、とくに年金関係では40年以上のコンサルタント実績を誇る年金評論家田中章二さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

田中章二『第4版 10分でわかる 得する年金のもらい方』(WAVE出版)

 

 

この本は、年金の賢い有利なもらい方や不利益を被らない注意点を記した画期的な内容になっており、著者が年金研究にかけた人生の集大成となる書です。

 

 

本書は以下の6部構成から成っています。

 

1.年金は令和三年にこう変わった

2.老齢年金をもらうには

3.65歳からのもらい方で損得がでる

4.共済年金は統合でこうなった

5.遺族年金の仕組みと得するもらい方

6.障害年金の仕組みと得するもらい方

 

 

この本の冒頭で著者は、「令和3年に年金はこう変わった」として、年金額の変更について説明しています。全国消費者物価指数を基に算出した「賃金変動率」がマイナス0.1%となったため、年金額も0.1%引き下げになりました。

 

 

老齢基礎年金を比較すると、以下の通りです。

 

◆ 令和2年4月~ 年額781,700円(月額65,141円)

◆ 令和3年4月~ 年額780,900円(月額65,075円)

 

 

また、障害基礎年金(1級・2級)、遺族基礎年金、厚生年金についても同様に引き下げになっています。

 

 

さらに、年金制度についても令和3年4月以降に次の変更がなされることが解説されています。

 

◆ 国民年金保険料の変更(令和3年4月から保険料改定率0.977)

◆ 在職老齢年金制度見直し(令和4年4月より支給停止の基準額28万円から47万円へ)

◆ 繰り下げ受給の上限年齢を75歳まで引き上げ(令和4年4月より)

◆ 繰り上げ受給の減額率を0.5%から0.4%へ縮小(令和4年4月より)

◆ 被用者保険の運用拡大(令和4年10月より企業規模を500人超から100人超へ)

 

 

本書の前半では、老齢基礎年金の得するもらい方について分かりやすく説明されています。著者が挙げている主なポイントは以下の通りです。

 

◆ 10年以上の納付等で年金が受給できる

◆ 受給するには年金請求書で手続きする

◆ 厚生年金には特別支給がある

◆ 受給の繰り上げによる減額支給は一生続く

 

◆ 妻や18歳未満の子がいると、要件を満たせば加給年金がつく

◆ 年金は5年を超えると時効

◆ 働くと年金額が調整されるが、満額もらう工夫はできる

◆ 厚生年金の定額部分、国民年金は40年が加入年数の上限

 

 

この本の中盤では、「65歳からのもらい方で損得がでる」ことについて考察しています。主なポイントは次の通り。

 

◆ 厚生年金は「定額部分」+「報酬比例部分」+「加給年金」

◆ 老齢基礎年金を満額もらうには、60歳から65歳の間に任意加入して40年をクリアする

◆ 受給を繰り下げると受給率アップが終身続く

◆ 繰り下げても振替加算、加給年金は増額しない

◆ 障害年金、遺族年金の受給権者は繰り下げできない

 

 

本書の後半では、共済年金の統合、遺族年金・障害年金の仕組みと得するもらい方について記されています。ポイントは以下の通り。

 

◆ 厚生年金へ統合後も共済年金の受給額は2割高いままで本質は変わらない

◆ 遺族厚生年金の額は、報酬比例の年金額 × 3/4

◆ 障害年金は、年金加入中の疾病等で障害が残れば受給できる

◆ 障害年金は初診日・診断日・障害認定日が重要、5年で時効になる

 

 

この本では、著者の田中章二さんが年金コンサルタントを43年の長きにわたって務め、様々な相談を受けるとともに、セミナーなどを開催して、年金を受給する際の有利な方法や注意点を発信してきたエッセンスを、1項目「10分でわかる」ように編集していて、複雑な年金の仕組みを実践的に理解できるのでお薦めです。

 

 

また、私 大杉潤の「年金制度変更の予測」や「年金戦略」を知りたい方はぜひ、新刊の拙著『定年ひとり起業』(自由国民社)を併せてお読みいただければ理解が深まります。

 

 

 

あなたも本書を読んで、人生100年時代を豊かに生きるために、「得する年金のもらい方」を学び実践してみませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2546日目】