書評ブログ

『会社も役所も銀行もまともに教えてくれない 定年後ずっと困らないお金の話』

「人生100年時代といわれる今、60歳で定年退職して、あとはのんびりなどと考えているとしたら正直見通しが甘すぎます。」と述べている本があります。

 

 

本日紹介するのは、慶応義塾大学経済学部卒業後、アメリカンファミリー生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に6年間従事、2015年に株式会社Money&Youを創業し、現在は株式会社Money&You代表取締役、中央大学客員講師頼藤太希さんが書いた、こちらの書籍です。

 

頼藤太希『会社も役所も銀行もまともに教えてくれない 定年後ずっと困らないお金の話』(だいわ文庫)

 

 

この本は、定年前後のお金の手続きを年齢別・期間別に分けて、するべきこと、したほうがいいこと、考えておくべきことをまとめた書です。

 

 

本書は以下の4部構成から成っています。

 

1.50代の決断が老後のお金に直結する

2.「退職金と年金」で絶対損しない方法

3.定年後の人生のための賢い選択

4.65歳からの資産寿命を延ばす「正解」

 

 

この本の冒頭で著者は、「特に資産運用の出口戦略については、今回力を入れて執筆しました。」「本書では出口戦略、築いた資産の取り崩し方についてもしっかり解説。お金のことで将来困ることがないように案内しています。」と述べています。

 

 

本書の前半では、「50代の決断が老後のお金に直結する」について、著者の見解を説明しています。主なポイントは次の通りです。

 

◆ 仕事を生きがいにする人が増えてくる

◆ 60歳退職後、ブランクのある方の働き口は少ない

◆ できれば70歳かその先まで働く準備をしておく

◆ 自分の年金額を「ねんきん定期便」で把握する

 

◆ 定年後にかかる「生活費」を試算する

◆「資産と負債」のバランスシートを作る

◆「節税できる投資」の iDeCo や NISA がお勧め

◆「長期」「積立」「分散」投資を小額から始められる

 

 

この本の中盤では、「退職金と年金で絶対損しない方法」および定年後の人生のための賢い選択」について、以下のポイントを解説しています。

 

◆「役職定年」で年収が下がると年金額も減少する

◆ 退職金の受け取り方は「退職所得控除」を活用するのが有利

◆ 退職してから驚く「住民税」の金額

◆ 開業する前から使える「開業費」の領収書をしっかり保存する

 

◆ 退職翌年の「確定申告」でお金が戻ってくる

◆ 退職金を減らす可能性がある投資に注意(不動産投資、毎月分配型投資信託、仕組債、退職金運用プラン、外貨建て保険、投資詐欺)

◆「業務委託契約」での働き方もある

◆ 公共職業訓練を受けるメリットは豊富

 

◆「青色申告」にはメリットがたくさん

◆ 個人事業主と法人化はメリット・デメリットがそれぞれある

◆ 小規模企業共済や経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の加入を

◆ 年金の繰り上げ、繰り下げには注意ポイントがある

 

◆ 一般的により長生きする「妻の基礎年金」を繰り下げておく

◆ 配偶者が先に亡くなった場合、遺族厚生年金の受給権が発生し、自分の厚生年金は繰下げができなくなる

◆「加給年金」が加算されると年間約40万円もプラスに

◆ 相続税の申告期限は相続開始から10カ月以内(特例制度が使えなくなる)

 

 

本書の後半では、65歳からの資産寿命を延ばす正解」について説明しています。主なポイントは以下の通り。

 

◆ 65歳以降は「高年齢求職者給付金」の受け取りが可能に

◆ 年金は請求手続きをして初めて受け取れる、時効は5年

◆ 2023年4月からは70歳の誕生日から80歳の誕生日の前々日の間に一括で受け取ることを選択した場合に、「5年前に繰下げ請求があった」とみなす(一括受取りをしても時効による損がなくなる)

◆ 基本は繰下げ受給で年金増額を狙いつつ、万一の時は一括で受給する

 

◆ 資産の取り崩し、前半は「低率」、後半は「定額」で

◆ 定額取り崩しと定率取り崩しを組み合わせる方法も

◆ 資産運用を続けながら取り崩すことで、長期的にはお金を増やせる

◆ つみたてNISAの投資期間が終了した後も課税口座で運用を続ける

 

◆「高額療養費制度」は老後に頼りになる制度

◆ 世帯分離は介護費用の削減に役立つが、高額介護サービス費の「世帯合算」ができないデメリットも

◆「高額医療・高額介護合算制度」を知っておく

◆ 最終的に自宅をどうするか「不動産の出口戦略」を考える

◆ 移住支援制度、三世代同居・近居支援事業をチェック

 

 

本書は新刊拙著『定年ひとり起業 マネー編』(自由国民社)および『定年ひとり起業』(自由国民社)にて私が提唱している「自分の年金の現状把握」「繰り下げ需給の戦略」「長期・分散・積立投資の考え方」など共通する部分が多く、共感できます。

 

 

 

この本の締めくくりとして著者は、「人生の終焉に向けて『お金をいかに使い切って死ぬか』も考えることが大切だ」と述べています。

 

 

さらに、年齢が上がるにつれて得られる経験が少なくなるという問題があり、「タイムバケット」というツールを用いて、人生のどこで何をやるのか、「見える化」してみてください、と著者は言います。

 

 

あなたも本書を読んで、会社も役所も銀行もまともに教えてくれない「定年後ずっと困らないお金の話」を学び、人生設計に活かしてみませんか。

 

 

2022年7月3日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第240回】定年後ずっと困らないお金の話にて紹介しています。

 

 

 

ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。

 

 

では、今日もハッピーな1日を!【2799日目】