「自己開発をしながら手にした自分の得意な能力を活用して、社会貢献に尽くすことが、私たち一生の生きる目的なのです」と訴えている書があります。
本日紹介するのは、社会講演家の田中真澄さんが書いた、こちらの書です。
田中真澄『田中真澄のいきいき人生戦略』(モラロジー研究所)
この本は、人生100年時代の生き方を、「経営戦略」の個人版として、「人生戦略」と呼んで提唱しているものです。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.人生をいきいき生きるための生き方ガイド
2.これからの人生設計をどう考えていけばいいのか
3.人生を生き抜くには、次々と目標を設定し、怠惰にならない環境を作れ
4.いつの時代でも「勤勉」は人生における最強の切り札
5.良き習慣の奴隷になろう
6.人生を日々好転させていくための心の姿勢
本書の冒頭で著者がまず指摘しているのは、アメリカではジェロントロジーという「高齢者はどのような生き方をすればよいか」を研究する学問の講座が500を超える大学にある、という事実です。
我が国のジェロントロジー研究は大きく立ち遅れており、東京大学でようやく研究を進めているが、広がりはまだまだです。
高齢社会の先進国である北欧のスウェーデンでは、「幸福とは、次々と目標を設定しながら、懸命に働き続けること」と定義しています。
そうした中で著者の田中さんは、経営戦略をベースにした「人生戦略」として、以下の3つの柱を提唱しています。
1.人生理念(=生きる目的)を常に自覚し続ける
2.目的を実現するための具体的な自己目標を設定する
3.目標達成のための自己資源(時間・言葉・心)の有効活用を心がける
以上の三つを明確にすれば、日々の考え方と行動の指針が決まってくる、ということです。
上記の「目的」と「目標」の違いですが、著者は「目的は原則として不変のもの、目標は常に変わるもの」と説明しています。
つまり、目的は目標に比べ抽象的で長期にわたる目当てであり、内容に重点を置いて使うのに対して、目標は目指す地点・数値・数量などに重点があり具体的です。目標はある程度、短期間のもので常に変わるものということです。
本書の中で私が新た学んだこととして、「アニマルウェルフェア」研究の成果があります。日本における第一人者は東北大学大学院教授だった佐藤衆介さんです。
その著書『アニマルウェルフェア-動物の幸せについての科学と倫理』(東京大学出版会)の冒頭で、「動物の幸せを考える中から、私たちにとって幸せとは何か、・・・(中略)・・・・、私たちはどう生きるかを問い直す絶好の機会である」と述べています。
動物は家畜として室内で飼育される場合よりも、自然界の中で苦労の多い生活を送ることによって、幸せのレベルはぐんと上がる、ということです。
それは動物の行動や、体温・血液・ホルモン・ストレスなどの検査を通して分かったというのです。
また、哲学者カール・ヒルティが著書『幸福論』(岩波文庫)で、「健康はただ仕事によってのみ与えられる」と言っていて、それとも合致します。
人間も、終身現役で仕事を続けてこそ、健康な人生を送ることができる、と田中さんは提唱しています。また、能力開発についても年齢は一切関係ない、と主張しています。
もうひとつ、私が感銘を受けたのは、アメリカのフィリップ・マフェトン博士が提唱した「マフェトン理論」についてです。この理論は主にスポーツのトレーニングについて提唱されています。
トレーニングの最中に健康を損ねて選手生命を短くしてしまう人が続出する中で、マフェトン理論では、心拍数の比較的低い有酸素運動(エアロビックトレーニング)を続けていくと、年齢に関係なく、その範囲でスピードが向上し、からだ全体の機能が健康な状態になることがわかりました。
この「継続は力なり」の経験法則を、能力開発の面で、もっと本格的に活用すれば、いつまでも若々しく生きがいのある日々を送ることができます。
アメリカではジェロントロジー研究が進んでいて、デイナ財団理事長のデヴィッド・マホニーさんはラトガー大学の卒業式スピーチで、「100歳まで生きる卒業生諸君へ」というテーマでメッセージを送ったそうです。
マホニーさんの講演記録は、『後世につたえる言葉』(小学館)に収録されています。
あなたも本書を読んで、定年後を見据えた「人生戦略」を考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を