「大人の男女にとって最大のリスクは “ 結婚相手 ” である。婚姻届に判を押すのは借金の連帯保証人になるより恐ろしい。」と説明している本があります。
本日紹介するのは、理論物理学研究者で、外資系金融機関を経て現在は作家の藤沢数希さんが書いた、こちらの書籍です。
藤沢数希『損する結婚 儲かる離婚』(新潮新書)
この本は、世間には驚くほど正確な情報が伝わっていない、「結婚や離婚で実際にどう金が動くのか」ということについて、弁護士が話す建前とは異なる、ほんとうの実例を通した事実を解説しています。
結婚相手は株式投資と同じで、夫婦は「ゼロサムゲーム」、つまり食うか食われるかの関係にある、と著者は言います。
そんな身も蓋もない男女のマネーゲームの真相と、適切な結婚相手の選び方を、具体的なケースをもとに、この本では解き明かしています。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.金融商品の取引としての結婚
2.離婚裁判の実際
3.有名人の結婚と離婚に関するケーススタディ
4.結婚相手の選び方は株式投資と同じ
5.時代遅れの法律と社会規範
6.古くて新しい家族のあり方を考える
本書の冒頭で著者は、「結婚と離婚で動く金は、基本的には、慰謝料、財産分与、婚姻費用(=「コンピ」と呼ばれる)の3つである。」と解説しています。
この中で、一般的に知られる「慰謝料」については、実は日本ではせいぜい、100万円か200万円くらいのレベルで、アメリカの離婚裁判などで見られるような莫大な金額になることはない、と記されています。
日本では実際の離婚調停や裁判で動くお金としては、「婚姻費用」のウエイトが大きく、とくに妻に比べて相対的に所得が多い夫側の方が、裁判が長期化して、「コンピ地獄」と言われる状態に陥り、全財産を上回る支出を余儀なくされるケースもある、ということです。
こうした状況を考慮して、著者の藤沢さんは、結婚とは「所得連動型の債券」という金融商品と捉えています。つまり、妻の側(通常の所得が少ない側)から見ると、結婚という金融商品は、毎月、「婚姻費用」というクーポンが貰えて、離婚成立時(満期)には財産の半分が手に入る債券そのものなのです。
すなわち、「結婚債券」の価値は、次の式から計算できる、ということです。
結婚債券の価値 = 離婚成立までの婚姻費用の総額 + 離婚時の財産分与額 + 慰謝料
この本の「結婚や離婚で動くお金」の解説を読んでいて、驚かされるポイントは次の2点です。
1.フローの所得が多い側にとっては、所得格差の半分を相手方に毎月、「婚姻費用」として払い続けなければならず、それは男女平等だし、離婚原因(不貞、浮気など)がどちらにあるかを問わない
2.離婚原因が問題になるのは、離婚できるかどうかという判断についてであって、慰謝料は大きな金額にならない
以上のことから、真面目な安定収入のある仕事をしている会社員や公務員は、たとえ妻の浮気が原因で離婚に向けた話し合いになっても、婚姻費用を支払うのは夫の側で、しかも妻が専業主婦で収入が無ければ、所得の半分も持っていかれてしまうのです。
これを「コンピ地獄」と呼んでいて、これで苦しんでいる会社員は多い、と言います。さらに、夫の側に離婚の原因がある「有責配偶者」という立場になったら最後、離婚すらできず、婚姻費用をずっと払い続けることになるそうです。
さすがに最近は、別居状態が長く続き、修復の見込みがないと判定されれば、実質的に夫婦関係が破綻していると見なされ、離婚が成立する「破綻主義」に傾きつつあるようです。
それから、財産分与については、結婚前や親が持っている財産は、夫婦の共有財産には含まれず、財産分与の計算に入りません。
あくまでも、結婚後に築いた財産を、どちらが稼いだものであっても、いわゆる「内助の功」を認めて、財産は折半するのが原則になっています。
よく株式を公開して創業者利潤を得て大金持ちになる起業家は、結婚するなら公開して財産を築いてから婚姻届を出した方がよいとされ、Facebook 創業者のマーク・ザッカーバーグは実際にそのようにしたそうです。
ほかにも本書では、芸能人やスポーツ選手など有名人の結婚・離婚に関するお金の動きを解説していて、とても興味深く読めます。詳しくは書きませんので、興味ある方はぜひ、この本をお読みください。ほんとうに面白いです。
あなたも本書を読んで、「損する結婚、儲かる離婚」の実態について、しっかりと知識を身につけ、理論武装をしてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を