「定年後のキャリアは『優秀か、優秀でないか』ではなく、『事前にどれだけ準備をしたか』で決まります。『意志あるキャリア選択と躊躇なき行動』により、『働けるうちはいつまでも働きつづける』人生が実現できます。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、日産自動車に入社後、人事畑を25年間歩み続け、その後関連会社へ転籍、さらに独立して、現在は中高年専門ライフデザイン・アドバイザー(ビューティフル・エイジング協会認定)、電気通信大学特任講師、行政書士、人事総務インディペンデント・コントラクター、心理相談員の木村勝さんが書いた、こちらの新刊書籍です。
木村勝『知らないと後悔する定年後の働き方』(フォレスト新書)
この本は、人生100年時代を迎え、「働けるうちは働くためには具体的に何をすればいいのか?」という課題に対して、より具体的で実践的な処方箋を提供することを目的として書かれた書です。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.国も企業もあなたの面倒を最後まで見てくれません!
2.定年後の生活レベルは60歳までのすごし方ですべてが決まる
3.「働けるうちは働く」ためのセルフ意識改革
4.「働けるうちは働く」になるためのキャリアデザイン術
5.あなたのキャリ&スキルをお金に変えるための具体的な方法
この本の冒頭で著者は、終身雇用制がなくなる動き、年金支給開始年齢の引き上げ、さらに日本の高齢者の9割が「下流老人」化するという、藤田孝典さんの次の書籍を紹介しています。
藤田氏の定義では、下流老人とは「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」としています。そして若者にもその恐れが及ぶとしており、その判断基準は以下の3点です。
◆ 高齢期の収入が著しく少ない
◆ 十分な貯蓄がない
◆ 周囲に頼れる人間がいない(社会的孤立)
続けて本書では、人生100年時代、60歳以降の長いキャリアを展望した「個人としてのキャリアの成長戦略」が必要な背景として、以下のような動きを解説しています。
◆ 次々に発表されるシニアのリストラはすべて45歳以上が対象
◆ 定年延長は世代間の意識の溝がある
◆ 不遇な時ほど実はチャンス
◆ シニア期に入ったらマインドセットを切り替える
そうした中で、著者が提唱する「働けるうちは働く人」になるために必要なポイントは以下の通りです。
◆ 自分のキャリアは自分で決める=定年の時期は自分で決める
◆ 自分の得意技(専門性)を未知の分野で活かす
◆「生涯現役」に欠かせない「一気通貫実務スキル」
◆「6現主義」(=現場・現物・現実+原理・原則・原点)で仕事を極める
◆ 自分のOS(ポータブルスキル)を「見える化」しておく
◆ キャリアを「アナロジー思考」で考える
◆ 70歳定年延長に伴う会社の追加選択施策(再就職支援・フリーランスへの資金提供・起業支援・NPO活動への資金提供)を活用する
◆ 副業・兼業の解禁に合わせIC(インディペンデント・コントラクター)を目指す
この本の終盤で著者は、キャリアデザインにおける5つのポイントを以下の通り挙げています。
1.6現主義(超実務力)
2.複合スキル(自分独自の専門性)
3.ポータブルスキル
4.寄り添い力(傾聴力・人柄)
5.人脈
そして最後に、サラリーマン時代にマネタイズの予行演習として、次の通り「シニアの働き方5原則」を提唱しています。
1.収入は細く長く面積で考える
2.経験こそ商品
3.キャリアは複線化する
4.雇用にはこだわらない
5.気持ちは個人事業主
この本は、新書としては異例の情報量および中味が充実していて、定年後の働き方について多くの示唆が得られ、ぜひ読むべき一冊として推薦します。
また、人生100年時代の定年後の働き方については、昨年2018年4月に出版した拙著『定年後不安 人生100年時代の生き方』(角川新書)を併せて読まれると、さらに理解が深まるのでお薦めです。
あなたも本書を読んで、人生100年時代の自律的なキャリアを考え、定年後も「働けるうちは働く人」になることを目指してみませんか。
2020年4月29日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のYouTubeビジネススクール』【第79回】知らないと後悔する「定年後の働き方」にて紹介しています。
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では、今日もハッピーな1日を!