書評ブログ

『真説・国防論』

「戦後半世紀以上に及ぶ平和ボケで、日本人の中に “ 戦争行為とは何であるか?” 、“ 国防とは何を意味しているのか?” といった世界の常識が、ぽっかりと欠落してしまっている」と指摘している本があります。

 

 

本日紹介するのは、認知科学者計算機科学者で、カーネギーメロン大学博士・CyLab兼任フェロー苫米地英人さんが書いた、こちらの新刊書籍です。

 

 

苫米地英人『真説・国防論』(TAC出版)

 

 

この本は、北朝鮮の脅威が高まるとともに、憲法9条を巡る論議が激しさを増す中で、日本は「戦争ができない」国であることの問題点と、国連憲章の第53条、第77条および第107条に規定されている「敵国条項」リスクを分かりやすく説明しています。

 

 

「敵国条項」とは、「国際連合の母体である連合国に敵対していた枢軸国(日本、ドイツ、イタリア)が、将来、再度侵略行為を行うか、またはその兆しを見せた場合、国際安全保障理事会を通さず、軍事的制裁を行うことが出来る」というものです。

 

 

つまり、日本に完全な外交権は存在しない日本は完全な主権国家ではない、と著者は述べています。

 

 

 

本書は以下の8部構成から成っています。

 

 

1.“ 平和ボケ ” という日本人の罪

 

2.真の「国防」とは何か?

 

3.日本の「国防」とは?

 

4.「ニューワールドオーダー」-冷戦後の世界情勢

 

 

5.世界の軍事の現状を考える

 

6.未来の戦争における「国防」とは?

 

7.日本人の選択

 

8.【特別寄稿】北朝鮮情勢を巡って

 

 

 

この本の冒頭で著者は、真の「国防(=Defence)」の意味とは、「外敵の侵略から国土を守る」ことではなく、「外敵から国民を守る」「国民の生活を守る」ことを意味する、と解説しています。

 

 

次に中国による南シナ海進出アフリカ進出についても、覇権国家を目指しているわけではなく、国防、すなわち経済活動の一環である、と本書では解説しています。

 

 

中国の経済活動は太平洋沿岸地域に依存していますし、アフリカは中国の経済成長を支える最重要市場なのです。

 

 

つまり、「中国の安全を守る」イコール「中国の商圏を守る」ということです。

 

 

 

また、日本における米国の軍事基地についても、本書ではズバリと本質を指摘しています。沖縄は、アメリカ本土外における最大の米軍基地であり、世界最強の太平洋艦隊に属する第七艦隊が駐留しています。

 

 

そして横須賀海軍施設を母校とする揚陸指揮艦ブルーリッジが旗艦として存在しています。こうした事実を考えれば、日本を攻撃することはすなわち、アメリカを攻撃することになり、日本が攻撃される可能性はきわめて低いと言える、ということです。

 

 

こうした客観的事実を踏まえたうえで、本書では、日本の「国防」はどうあるべきかを論じています。

 

 

さらに、世界秩序世界の軍事の現状、および未来の戦争における「国防」について考察が記されています。詳細についてはぜひ、本書を手に取ってお読みください。

 

 

 

この本の最後には、「日本人の選択」として、自衛隊の現状専守防衛について、集団的自衛権個別的自衛権についての議論が紹介されています。

 

 

著者が強調しているのは、アメリカにとって戦争は明確にビジネスであり、それが世界の常識にもなっている、ということです。

 

 

そういう観点から見れば、日本経済が復活して、中国やロシアにとって日本が重要なビジネスパートナーになることが、最良の安全保障政策になるかも知れません。

 

 

また、対アメリカということで注意すべきは、自衛隊をアメリカの都合のいい傭兵に仕立て上げようという意図についてです。

 

 

アメリカのための安全保障なのか、日本のための安全保障なのかをよく考える必要がある、というのが本書の指摘です。

 

 

著者の結論として、この本の最後に、未来の国防「哲学輸出国」となることが提言されています。

 

 

究極の国防プランである「哲学輸出国」とは、相手との関係性を重視し、尊重し合うことを前提とした「縁起の哲学」を広めることです。

 

 

縁起の哲学を取り入れ、日本の真に誇るべき平和主義を世界に広めていくことこそが、未来の国防の切り札になる、と著者は提唱しています。

 

 

巻末には、特別寄稿として、「北朝鮮情勢をめぐって」という考察が記されています。ここで衝撃的なのは、「高高度電磁パルス」(HEMP)攻撃についての解説です。

 

 

「高高度電磁パルス」(HEMP)攻撃とは、核弾頭が小さく、それでいて相手国に甚大なダメージを与えられる非常にコストパフォーマンスに優れた攻撃方法のことです。

 

 

高高度で爆発させるために、大気圏突入技術正確かつ繊細な着弾技術を必要としません。北朝鮮のような技術が未熟な途上国でも扱いやすく成功確率も高いのです。

 

 

広範囲に電磁波の影響をもたらすために高高度で爆発させるので、迎撃する手段が限られ、攻撃された側は、通信・放送インフラが完全破壊され、電力供給もされなくなります。

 

 

水、食糧供給網、保健衛生、医療、物流、通信の破壊など、全国で大規模な人名被害が起こるとシミュレーションで出ています。

 

 

銀行、証券、為替システムも破壊され、行政、警察の治安維持など、社会機能まで喪失してしまうのです。

 

 

 

アメリカでも対策を取り始めていて、日本でも早急な対策が求められる、としています。

 

 

あなたも本書を読んで、「国防」について、改めて正確な知識をもって考え直してみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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