広島県が湯崎知事のもとで、試行錯誤して進めてきた “ 成果志向の行政経営 ” に向けた取組を、体系的に、実際の具体的な事例を交えながら、わかりやすく解説している本があります。
本日紹介するのは、広島県マネジメント研究会が編集し、広島県知事の湯崎英彦さんが監修した、こちらの書籍です。
広島県マネジメント研究会 編・湯崎英彦 監修『しごとの「強化」書 成果志向の行政経営』(ぎょうせい)
この本は、通商産業省(現・経済産業省)出身でベンチャー企業経営の経験もある広島県知事の湯崎英彦さんが、2009年11月に知事就任以来、取り組んできた広島県の行政変革(成果志向の行政経営)への挑戦について、体系的にまとめたものです。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.成果志向の行政経営
2.ミッション・バリューとビジョン
3.戦略の策定
4.組織マネジメント
5.人材マネジメント
6.財務マネジメント
7.広報とコミュニケーション
この本の冒頭で、民間企業の目的が「顧客価値の創造」であることを参考に、行政の目的を「社会的価値の創出」として、民間企業で行われている、ミッション・バリューやビジョンを明確にして職員が共有し、戦略を策定して、「成果志向の行政経営」を行ってきたことを紹介しています。
広島県では、職員の行動理念として、ミッション(私たちの使命)、バリュー(価値観と行動指針)および「3つの視座」「3つの心掛け」を、以下の通り定めています。
◆ ミッション: 私たちの使命は、県民の信頼と負託をすべての出発点とし、社会を構成する様々な主体と連携しつつ、地域社会全体の価値を高め、発展させ、将来にわたって、広島に生まれ、育ち、住み、働いてよかったと心から思える広島県を実現していくことです。
◆ 私たちの価値観と行動指針:
・私たちは、広島県を愛し、誇りを持ちます。
・私たちは、県民のために存在します。
・私たちは、高い志と責任感を持って誠実に行動します。
・私たちは、率直かつ積極的に対話します。
・私たちは、現実を直視し、変化に対応します。
・私たちは、変革を追求し続けます。私たちは、成果にこだわり続けます。
また、「3つの視座」は、「真の県民起点の徹底」「現場主義」「予算志向から成果志向への転換」であり、「3つの心掛け」は、「卓越」「スピード」「リーダーシップ」で、仕事を進めていくうえでの価値観(=バリュー)を示しています。
これらの作成には、民間企業の事例が参考にされていて、有名なリッツカールトンの「クレド」をはじめ、東京ディズニーリゾートの「おもてなし経営」やGEの研修方針など、民間企業の優れた手法を採り入れていることがよく分かります。
続いて、広島県のビジョンとして、基本理念と目指す姿を以下のように掲げています。
◆ 基本理念: 将来にわたって、「広島に生まれ、育ち、住み、働いて良かった」と心から思える広島県の実現
◆ 目指す姿: 仕事でチャレンジ! 暮らしをエンジョイ! 活気あふれる広島県 ~仕事も暮らしも。欲張りなライフスタイルの実現~
このあと、戦略の策定について説明されており、主要な戦略理論やフレームワークが紹介・解説されていて、広島県でも取り入れていることが理解できます。
さらに、組織マネジメント、人材マネジメント、財務マネジメントが紹介され、最後に広島県のユニークな広報・コミュニケーションについて事例紹介がなされています。
とくに人材マネジメントのところで、広島県の人材育成では、リーダーシップを全ての階層で必要なコンピテンシーとして重視していることが印象的です。
詳細について興味ある方は、ぜひこの本を手に取ってお読みください。
あなたも本書を読んで、民間企業の優れた経営手法を積極的に行政に採り入れ、成果を上げている広島県の「成果志向の行政経営」を学び、仕事に活かしてみませんか。
とくに、地方自治体の政治や行政にかかわる方に、ぜひとも読んでいただきたい一冊です。
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では、今日もハッピーな1日を!