「お金は貯めたい。人生も楽しみたい。この二つを両立させるためにはどうしたらいいでしょうか?そのために、どんなことを考えてみたらいいでしょうか?現代人にとってお金って何なんでしょうか?」と問いかけて、人生100年時代のお金としあわせの距離を測っている本があります。
本日紹介するのは、1961年東京都生まれ、慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了、JPモルガン、チェースマンハッタン銀行に勤務、さらに国連ボランティア、企業コンサルタント、放送作家を経て、現在は経済評論家、ジャーナリストの佐藤治彦さんが書いた、こちらの書籍です。
佐藤治彦『しあわせとお金の距離について』(晶文社)
この本は、しあわせで心地よい人生にするために、いい距離でお金と付き合い、そして、うまく使いこなすことが必要だという問題意識のもとで、ジャンルにこだわらずお金と人生のことを綴っている書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.不安とともに人生を過ごさない。その考え方と生活の技術
2.しあわせとお金の程よい距離を測る
3.終の棲家の考え方
4.健康と保険の健全な関係
5.終活をはじめる前に
6.50代からの賢い買い物指南
この本の冒頭で著者は、「自分の人生はあと2年だ。この人との関係はあと1年で終わる。そう時間を決めて行動してみてください。きっと充実したものになります。」と述べています。
先延ばしにするのをやめて行動すれば、きっと新しい扉が開かれ、人生の次のステージに行くことができる、と著者は言います。「終わりがあるから頑張れる」のです。
本書の前半では、「人生の考え方と生活の技術」および「しあわせとお金の程よい距離」について考察しています。著者が提示する主なポイントは以下の通り。
◆ 年金や健康保険制度に関する極端な見方を盲信しない
◆ 資産運用は知恵を縛って増やすべき
◆ しあせになるためにお金を使う、使わないものにお金を使わない
◆ しあわせな人間関係は財布にもやさしい
この本の中盤で著者は、「終の棲家の考え方」および「健康と保険の健全な関係」について、次のポイントを説明しています。
◆ 住宅ローンや二世代住宅は「終の棲家」の選択肢を狭めてしまう
◆ いまの自分だけで判断せず、年齢を重ね身体が不自由になった将来を想像して判断する
◆ 家の売却のデッドラインは65歳までが理想
◆ リバースモーゲージ制度とリースバック方式は対照的な仕組み
◆ 災害大国日本では資産が急に奪われる可能性がある
◆ 北欧のコレクティブハウスは参考になる
◆ 思い出の品は画像に残し、現物はお金に換える
◆ 定年したら運転免許は返納する
◆ 日本人の生命保険世帯加入率89%、年間保険料38.2万円は高額
◆ 高齢者向け保険はお守りの役割
◆ 介護の物理的なものはプロに任せ、家族は心のケアを中心に
◆ 元気で若いうちに、他人に身を任せる経験を(温泉、オイルマッサージ)
◆ 医療保険よりも人間ドックや健康診断を
本書の後半では、「終活をはじめる前」および「50代からの賢い買い物」について解説しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 課題の解決には、「健康」と「理不尽に耐える力」
◆ 生きがい探しよりも、「日々の生活力」(掃除・洗濯・調理)をつけること
◆ 副業は現役のうちから始めて準備する
◆ 海外旅行、ひとり旅はいますぐにやっておく
◆ 墓や葬式よりも生きている間に有効にお金を使うことを考える
◆ パソコン、スマホは若い人と同じものを買って教えてもらう
◆ 毎日使う茶碗、食器類はいいものを買って長く使う方が安くなる
◆ 60歳を過ぎたら信頼する人に装いをコーディネートしてもらう
著者のお金に対する考え方の中で、繰り返し強調されているのが、「いくら割安で買ったものでも使わないままになればゴミにお金を払ったことになり高くつく」というもので、断捨離がブームになるゆえんでもあり、共感します。
また、「60歳を過ぎたら信頼できる人に装いをコーディネートしてもらう」という考え方も同感で、研修講師として登壇する際に必要なオーダースーツを私は必ず信頼できる方に任せて新調しています。
また、先日ブログで紹介した著者の最新刊『急に仕事を失っても、1年間は困らない貯蓄術』(亜紀書房)を併せて読むとさらに理解が深まります。
あなたも本書を読んで、人生100年時代における「しあわせとお金の距離」について考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2547日目】