首都圏在住者への大規模調査とフィールドワークを通じてわかった「これから本当に伸びる街」について、まったく忖度なしの徹底予測を提示している本があります。
本日紹介するのは、1958年新潟県生まれ、一橋大学社会学部を卒業、パルコ株式会社、三菱総合研究所を経て、カルチャースタディーズ研究所を設立、消費社会、家族、若者、階層、都市、郊外などの研究を踏まえ、新しい時代を予測し、社会デザインを提案している三浦展さんが書いた、こちらの書籍です。
三浦展『首都圏大予測』(光文社新書)
この本は、首都圏でこれから伸びる街を、その特徴や背景とともに明らかにしている書です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.埼玉と「東京北側」の逆襲
2.これからまだ成長する郊外はどこだ!?
3.23区から人口を奪えるのはどこか?
4.台頭する新しい拠点
5.仕事が選べる街に住みたい
6.「趣都圏」の誕生
7.クリテイティブ・サバーブの時代
この本の冒頭には、未婚男性・未婚女性が多く住む首都圏マップを掲載しています。また、働く女性や専業主婦の住む地域など、女性の属性ごとに好む街の傾向がわかるマップを提示しています。
続いて、23区に隣接する「東京北側」が成長し、とくに23区に近い地域の埼玉県が成長すると指摘しています。
実際に埼玉県は東京から人口を奪いつつあり、以下のような特徴を挙げています。
◆ 外国人が転入超過
◆ 30~40代も子どもも埼玉県に転入
◆ 真性団塊ジュニア(1975~79年生まれ)が埼玉に戻ってきた
◆ 就職、結婚などで都内に転入した団塊ジュニアが出産などを機に埼玉県にUターン
さらに、「東京北側」の地価が上昇していると説明していて、足立区、荒川区の動向を紹介、とくに北千住、日暮里の人気を指摘しています。
埼玉県については、「無印良県」と呼び、マンガ『翔んで埼玉』の効果も挙げています。
本書の中盤では、23区から人口を奪って今後も成長する郊外として、以下の街を挙げています。
◆ 武蔵野線沿線・東北部
◆ 子どもが増えるつくばエクスプレス沿線
◆ 財政が豊かな南武線沿線
次に、23区から人口を奪える地域の仮説として、以下のシナリオを提示しています。
◆ 女性が好きな横浜市青葉区、川崎市中原区
◆ 住みたいけど住めない国立市、武蔵野市、三鷹市、大宮区
◆ すぐ住める取手、座間
◆ 23区民が戻りたい調布、狛江、和光、草加、所沢
この本の後半では、これから成長する郊外の街それぞれについて、具体的にその特徴を紹介しています。
それぞれの街に関する詳細な記載については、ぜひ本書を手に取ってお読みください。
この本の終盤では、「趣都圏」の誕生として、消費と娯楽の観点から、各街の特徴を解説しています。主な事例は次の通り。
◆ 読書と美術が好きな三多摩中央線
◆ ギャンブル好きな船橋、柏、越谷、松戸
◆ カラオケが趣味の春日部、田園都市線
◆ ジョギング、サイクリングのさいたま市
◆ ゴルフの田園都市線
◆ ドライブの千葉市
この本の最後で著者は、「これから伸びるのはクリエイティブ・サバーブだ!」と提唱しています。
クリエイティブ・サバーブとは、「ワーカブル」で「夜の娯楽」があり、多様なスキルと物と場所の「シェア」ができ、そこで生まれる多様な人間関係の中から新しいものがクリエイトされる郊外、と定義しています。
このコンセプトは、「新しい生き方をつくる」という意味でのクリエイティブです。そして、クリエイティブ・サバーブは郊外の下町にできやすい、と著者は述べています。
ポイントは以下の項目です。
◆ 多様性への寛容度と文化度
◆ 空き家・空き店舗の活用による地域再生
◆ 下町的商工住混在地域や学生街
そして、クリエイティブ・サバーブが生まれやすい地域として、ニューダウンタウン多摩川を軸として横浜中心部、武蔵野、調布、国立方面を上げています。
あなたも本書を読んで、住む街による今後の消費や娯楽などライフスタイルの変化について考えてみませんか。
2020年3月13日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第32回】首都圏はどう変わるのか?、にて紹介いたしました。
毎日1冊、ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。
では、今日もハッピーな1日を!