「農業問題は農家の問題である以上に、消費者の問題なのである。この事実をいまこそ認識しなければならない。まさに、『農業問題は自分ごと』なのである。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、東京大学農学部卒業、農林水産省に15年ほど勤務した後、学会へ転じて、九州大学農学部助教授、九州大学大学院農学研究院教授などを経て、コーネル大学客員教授、東京大学大学院農学生命科学研究科教授、「食料安全保障推進財団」理事長の鈴木宣弘さんと、東京大学経済学部卒業、日本専売公社(現在のJT)に入社、現在は経済アナリスト、獨協大学経済学部教授の森永卓郎さんが共著として書いた、こちらの書籍です。
鈴木宣弘・森永卓郎『国民は知らない「食糧危機」と「財務省」の不適切な関係』(講談社+α新書)
この本は、「安全保障の要は国産の食料を確保すること」であり、少々コストが高くても、国内でがんばっている農家をみんなで支えることを提唱している書です。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.世界経済はあと数年で崩壊する
2.絶対に知ってはいけない「農政の闇」
3.アメリカの「日本搾取」に加担する財務省
4.最後に生き残るためにすべきこと
この本の冒頭で著者は、「生産者と消費者の一体化、森永さんの言う『自産自消』的な取り組みによって、地域循環的な自給圏が各地に構築され、拡大していくはずだ。」と述べています。
本書の前半では、「世界経済はあと数年で崩壊する」ついて、以下のポイントを説明しています。
◆ 日本の食料自給率は37%、台湾有事で日本人は飢える
◆ 世界のどこかで核戦争が起これば日本人は飢え死に
◆ ビル・ゲイツの「デジタル農業」で東京がスラム化
◆ オムロン・立石一真のSINIC(サイニック)理論で2025年に「自律社会」
◆ 国民負担率47%という「五公五民」の社会に
この本の中盤では、「絶対に知ってはいけない農政の闇および「アメリカの日本搾取に加担する財務省」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 農業政策はお友達企業に牛耳られている
◆「エブリシング・バブル」は崩壊する
◆「世界大恐慌の再来」の可能性もある
◆ 絶対に「FIRE」を目指してはいけない
◆ 米は日本に一番合う作物
◆ 東京は異常気象でもう住めない
◆ 中国はツケを世界に回そうとしている
◆ 一見安い食料ほど実は危ない
◆ 遺伝子組み換え作物を一番食べているのは日本人
◆ 農業予算はどんどん削られてる
本書の後半では、「最後に生き残るためにすべきこと」について考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 最初に飢えるには東京と大阪
◆ 酪農家を追い込む「七重苦」、倒産・廃業が相次いでいる
◆「牛乳不足」と「牛乳余り」を繰り返す
◆「鶏卵不足」に「米不足」が追い打ち
◆ フードテックは株価対策でしかない
この本の締めくくりとして著者は、150年前にマルクスが予言していた「資本主義がいずれ行き詰まる主な理由4つ」を次の通り紹介しています。
◆ 許容できないほどの格差の拡大
◆ 地球環境の破壊
◆ 仕事の楽しさの喪失
◆ 少子化の進展
まさに、いまの日本という感じです。
さらに、「資本主義からの転換を図るために、必要なことは、『人と地球を大切にする』ということに尽きるのだ。そしてその中心に位置づけられるのは、農業だ。」と述べています。
あなたも本書を読んで、金を稼ぐための農業ではなく、自分や家族や子どもたちが食べ、地域の仲間たちが食べる農業を応援していきませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3351日目】