書評ブログ

『仕事選びのアートとサイエンス 不確実な時代の天職探し』

「仕事選びを予定調和させることはできない。自分をオープンに保ち、いろんなことを試し、しっくりくるものに落ち着くしかない。」というメッセージを発している本があります。

 

 

本日紹介するのは、慶應義塾大学文学部哲学科卒、同大学院文学研究科美術史学専攻修士課程を修了し、電通、ボストン・コンサルティング・グループ等を経て、コーン・フェリーに参画、現在は同社のシニア・パートナーである山口周さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

山口周『仕事選びのアートとサイエンス 不確実な時代の天職探し』(光文社新書)

 

 

この本は、さまざまなキャリア研究、あるいは自然科学や人文科学分野における知見を用いて、「幸福になるための仕事選び」というテーマについて考察している書です。

 

 

 

本書は以下の7部構成から成っています。

 

 

1.はじめに

 

2.転職はなすべきか? なさざるべきか?

 

3.従来のキャリア戦略の問題

 

4.「いい偶然」を呼び込むには?

 

5.「攻め」の転職と「逃げ」の転職

 

6.転職後の心の変化への対処

 

7.最後に

 

 

 

この本の冒頭で著者は、現代の社会において「仕事選び」を困難にする三つの要因を以下の通り挙げています。

 

 

◆ 人工知能の台頭

 

◆ 寿命の伸長と事業の短命化

 

◆ VUCA(=Volatility、U=Uncertainty、C=Complexity、A=Ambiguity)という問題

 

 

この中でとくに2番目の変化は本質的な変化で、「1つの職業を全うする」という生き方は今後、ほとんどあり得ないものになっていく、と著者は述べています。

 

 

会社の寿命は人の寿命よりはるかに短くなっているのに、人生のすべて会社に預ける、捧げる、というのは不可能なわけです。

 

 

 

次に、自分のキャリア設計について考えたいと思っている方は、「いい偶然」を呼び起こすための「日々の習慣」が大切なので、「長期的に行動し、短期的に考えること」が大切だ、と著者は解説しています。

 

 

 

本書の中盤では、スタンフォード大学ジョン・クランボルツ博士実証研究について、「成功者のキャリアの8割は偶然によって形成されている」ことを紹介しています。

 

 

これは、プランド・ハップンスタンンス・セオリー(=計画された偶発性理論)と呼ばれるもので、次の5つのポイントを提示しています。

 

 

1.好奇心(自分の専門分野だけではなく、いろいろな分野に視野を広げ、関心を持つことでキャリアの機会が増える)

 

2.粘り強さ(最初はうまくいかなくても粘り強く続けることで、偶然の出来事、出会いが起こり、新たな展開の可能性が増える)

 

3.柔軟性(状況は常に変化する、一度決めたことでも状況に応して柔軟に対応することでチャンスを掴むことができる)

 

4.楽観性(意に染まない異動や逆境なども、自分が成長する機会になるかもしれないとポジティブに捉えることでキャリアを広げられる)

 

5.リスクテーク(未知なことへのチャレンジには、失敗やうまくいかないことが起きるのは当たり前、積極的にリスクをとることでチャンスを得られる)

 

 

 

 

さらに「いい偶然」「機会を増やす」だけではなく、その機会を掴むための能力を培っておくことも重要です。細菌学者・パスツールが言うように「幸運は準備のできている人にだけ訪れる」のです。

 

 

 

つまり、「いい偶然」を拡大するには、「人脈力」と「信用力」の掛け算に、「機会を掴む」には、「プロセッシングスキル」と「ストックスキル」の掛け算になる、と著者は解説しています。

 

 

前者の「機会の拡大」は、「人脈の広さ」と「信用の深さ」の掛け算で、クランボルツ「キャリアの転機につながる縁は、親戚や友人等の親しい間柄ではなく、むしろそれほど親しくない関係の人からもたらされることが多い」と指摘しています。

 

 

つまり、米国の社会学者マーク・グラノヴェッターが1973年に発表した論文「ウィーク・タイズの力」で提唱していることです。

 

 

 

後者の「機会を掴む」ことについては、「プロセッシング」「入力された情報を何らかの形で処理して出力する能力」なので、ロジカル・シンキングになります。

 

 

また、「ストック」については、経営のケース・スタディですが、それは「読書が大変重要な役割を果たす」と著者は述べています。

 

 

それは「学びの大きい本をいかに選ぶか」と、「いかに効率的に読むか」二つに収斂します。

 

 

読書のコツとして著者は、①眠い時に読まない、②関連分野の固め打ちの2点を挙げていて、私もそのまま実践しています。

 

 

 

最後に、「世界三大幸福論」に触れ、ラッセル、アラン、ヒルティの『幸福論』について、その共通点として、幸福になるための要件として「仕事をすることが大事」という点を指摘しています。

 

 

 

 

 

 

これは、『幸福の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)で紹介されているギャラップ社幸福に関する調査で、「仕事の幸福」がすべての幸福の基盤となる最も大切な要素、という分析と合致しています。

 

 

 

 

最後に著者は、「転職後の心の変化」についても考察を記していて参考になります。

 

 

 

あなたも本書を読んで、不確実な時代の天職探しについて、学んでみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!