書評ブログ

『世界のニュースを日本人は何も知らない』

「情報化時代においても海外のニュースは日本にほとんど入ってきません。」、「日本人は時刻が世界からどのように評価されているかということすら知りません。」と述べて、危機的な状況に置かれている日本人に警鐘を鳴らしている本があります。

 

 

本日紹介するのは、シラキュース大学大学院にて国際関係論および情報管理学修士を取得ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在は著述家として活動している谷本真由美さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

谷本真由美『世界のニュースを日本人は何も知らない』(ワニブックスPLUS新書)

 

 

この本は、事実を直視せず重要なことを見逃している日本が、「ぬるま湯のゆでガエル」にならないよう、日本の外からの視点を提供し、さまざまな気付きのヒントを得てもらうための指南書です。

 

 

 

本書は以下の8部構成から成っています。

 

 

1.日本人はなぜ世界のニュースを知らないのか

 

2.世界の「政治」を日本人は何も知らない

 

3.世界の「常識」を日本人は何も知らない

 

4.世界の「社会状況」を日本人は何も知らない

 

 

 

5.世界の「最新状況」を日本人は何も知らない

 

6.世界の「教養」を日本人は何も知らない

 

7.世界の「国民性」を日本人は何も知らない

 

8.世界の重大ニュースを知る方法

 

 

 

この本の冒頭で著者は、日本の「トップニュース」に外国人は驚いている、と述べて、日本人がいかに国際的なニュースやトピックに関心がなくて知らないかと指摘しています。

 

 

 

日本のニュース国内のトピックがメインで、しかもゴシップ的なトピックと重大ニュースが混在している、と著者は言います。

 

 

 

先進国でありG7メンバーであるのに、なぜ日本のニュース報道だけが大きく偏っているのか。それは国内市場がある程度大きく、日本は「隔離」された島国であるから、ということです。

 

 

 

しかし、日本は「すでに経済成長が終わり、世界で最も早く高齢化と少子化という問題に直面する大変厳しい状況に置かれた先進国」という認識で、世界から見られているのです。

 

 

 

続いて、日本人は世界の「政治」「常識」「社会状況」「最新情報」「教養」「国民性」をいかに知らないか、ということを、国連職員を経験し、イギリスに住み、多くの国で仕事をしてきた著者から見て、様々な事例を挙げて解説しています。

 

 

 

まず、世界の「政治」について、私が感銘を受けた主なポイントは以下の通り。

 

 

◆ アメリカは映画を通して「ソフトパワー」(=文化や価値の提供を通じて影響力を行使する力)を駆使

 

◆ 本当は豊かだが権益を独占する支配者と国民の巨大な格差

 

◆ 中央政府を顧客にして、新興国で人権侵害に加担する「黒いビジネス」をする大手コンサルティング会社・マッキンゼー

 

◆ 所得格差が激しくなり、ほとんどが貧困層のアメリカ

 

 

 

リーマンショック後のアメリカのワーキングプアを描いた、アメリカ人ジャーナリストのジェシカ・ブルーダ著の書籍は、大きな反響を呼んでいます。

 

 

 

 

次に、世界の「常識」について、主なポイントは以下の通りです。

 

 

◆ 国連は、ドブ掃除で揉める町内会と同じ構造(構成員の常識・文化がバラバラ、お金が足りない、仕切りたがりがいる等)

 

◆ EUは修羅場の町内会(アメリカに対抗できず)

 

◆ 日本は世界一治安が良いので住宅が激安

 

◆ 国を豊かにするのは「高学歴移民」、移民が創造性をもたらす

 

 

 

本書の中盤では、日本人が知らない世界の「社会状況」「最新状況」が紹介され、次のような考察がなされています。

 

 

◆ 移民の増加で逆差別を受ける白人が声を上げる欧州

 

◆ 新聞と雑誌に未来はなく、デジタル革命による仕事の変化や革新は雇用を生まない

 

◆ 富裕層は特定の都市に集積し、様々な交流でアイデアを交換して富を生み出す

 

◆ 意思決定を左右するのは「感情」

 

◆ 世界の富裕層は現代アートを購入(バスキア・ドイク・スティンゲルがトップ3)

 

 

 

さらに、私が最も興味深く注目したのは、疲労の回復および生産性・創造性を上げる効果的な方法として、身体のエネルギーのもとになるATPという細胞を回復させるために、以下の原理原則的な4つが提示されていることです。

 

 

1.良質なプロテインや果物をこまめに摂る(一気にドカ食いせず、少量の食事を細かく分けて摂取してエネルギーを補給)

 

2.水分を男性は1日3.7リットル、女性は2.7リットル、少量ずつ摂る(お茶やコーヒーではなく「水」)

 

3.よく寝ること(睡眠時間の確保、1日7時間以上)

 

4.定期的な軽い運動

 

 

 

この本の後半では、世界の「教養」や「国民性」について、次のようなポイントを紹介しています。

 

 

◆ 日本のパスポートは世界最強(189ヵ国にビザなしで入国)

 

◆ 成功に重要なのは非認知能力で、「共感力」や「感性」

 

◆ 幸福を決めるのは、仕事における「自己決定権」

 

◆ アメリカ人の信仰心の強さは途上国に近い

 

◆ イギリス人の借金消費、オランダ人のドケチ、ドイツ人の風俗店

 

 

 

本書の最後で著者は、「世界の重大ニュースを知る方法」として、以下のポイントを挙げています。

 

 

◆ 信用できる情報ソースにアクセスする

 

◆ 情報を迅速に取捨選択

 

◆ 本を大量に読む

 

◆ クリティカルシンキング(疑問を持ちながら情報を整理)を身につける

 

 

 

あなたも本書を読んで、日本のメディア報道では分からない、世界の真実に迫る情報を収集する方法を身につけてみませんか。

 

 

 

2020年7月7日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第148回】国際派ブロガーが説く「世界のニュースを知らない日本人」にて紹介しています。

 

 

 

 

 

毎日1冊、ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。

 

 

 

 

では、今日もハッピーな1日を!【2409日目】