書評ブログ

『国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか』

「これからの日本」の方向性を明確にし、政策、制度、そして物事の考え方など、国家の全体像(=グランドデザイン)を皆さんと一緒に考えていきたい、と提唱している本があります。

 

 

本日紹介するのは、1965年イギリス生まれゴールドマンサックスなどを経て、日本の不良債権の実態を暴くレポートを発表、その後日本の裏千家に入門するなど日本の伝統文化に親しみ、現在は小西美術工藝社社長デービッド・アトキンソンさんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

 

デービッド・アトキンソン『国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか』(講談社+α文庫)

 

 

この本は、「人口減少」と「生産性の低さ」という日本が直面する大きな変化と問題に対して、著者のアナリストとしての長年の研究と分析の成果として、「新しい時代に向けての国家のグランドデザイン」を描いて提示するために書かれた書です。

 

 

 

本書は以下の8部構成から成っています。

 

 

1.「低成長のワナ」からいかにして抜け出すか

 

2.日本経済の最大の問題は中小企業

 

3.この国をおかしくした1964年問題

 

4.崩壊しはじめた1964年体制

 

 

5.人口減少・高齢化で「国益」が変わった

 

6.国益と中小企業経営者の利益

 

7.中小企業 護送船団方式の終焉

 

8.中国の属国になるという最悪の未来と再生への道

 

 

 

この本の冒頭で著者は、世界有数の「人材力」を誇る日本が、➀先進国の中で唯一、経済成長していない②デフレからいつまでたっても脱却できない、のは何故か、と問いかけています。

 

 

 

それは、日本が他の先進国と比べものにならないスピードで「人口減少」が起きているからです。2015年から2060年までの45年間で、日本の総人口は31.5%減り、さらに生産年齢人口(15歳~64歳の人口)は42.5%も減少するからです。

 

 

 

これだけの人口減少は、経済学の研究対象になったこともなく、これまでの常識は当てはまらない、と著者は言います。

 

 

 

これまで日本が、先進国の中でアメリカに次いで2位の経済規模を誇っていたのは、1億2000万人という人口規模が先進国で2位だったからにほかなりません。

 

 

 

日本が先進国の中で唯一、経済成長してこなかったのは、経済成長が「人口増加」と「生産性向上」という2つの要因から構成されている中で、日本は「人口減少」だけでなく、一人当たりGDP、すなわち生産性も低迷しているからです。

 

 

 

デフレについては、人口減少による需要の縮小、とくに不動産の価格下落(空き家率上昇)の影響が大きく、少子高齢化もデフレと関係があることがIMFなど最新の研究・分析で明らかになってきました。

 

 

 

続いて、本書の分析の核心である「なぜ、日本の生産性は低いのか」という問いについて、著者のアトキンソンさんは、以下の論理を展開しています。

 

 

◆ 生産性が低いのは、賃金の低い労働者(生産の付加価値が低いため)の数が多いため

 

◆ 大企業に比べて、従業員20人以下の中小企業の労働者は賃金が低く、生産性が低い

 

◆ 世界で、大企業で働く労働者数の比率が高い国ほど生産性が高く、中小企業で働く労働者の比率が高い国ほど生鮮性が低い

 

◆ 日本の生産性が低いのは「小規模企業で働く労働者の割合」が高いから

 

 

 

◆ 日本で中小企業の数が急激に増えたのは1964年からで、東京オリンピックではなく、資本自由化と中小企業優遇策(1963年の中小企業基本法)が契機となっている

 

◆ 中小企業、小規模事業者のままでいると税制面の優遇が大きく、大企業に成長するインセンティブが湧かない

 

◆ さらに中小企業をつぶさない護送船団方式

 

◆ 人口増加、高度成長の中で中小企業の非効率経営は目立たなかった

 

 

 

但し、急激な人口減少が起きている現在、現在の中小企業360万社は2060年に向けて200万社くらい消えて160万社程度になってもおかしくない、と著者は述べています。

 

 

 

それは、偏差値の高い東京大学に昔なら入れなかった学生が、人口減少によって入れるようになるのと同じで、賃金の高い大企業に入れるようになって、中小企業には人が集まらなくなるためです。

 

 

 

「中小企業は日本の宝」と持ち上げられ、『下町ロケット』のように日本の中小企業の技術力を称賛する風潮がありますが、それは全くの誤解で、生産性の低い小規模な企業の数が日本には多すぎる、そのために日本全体が低い生産性のままになってしまう、ということです。

 

 

 

本書の後半後には、「国益」が変わったことが記されていて、「最低賃金引き上げが国益」と著者は提唱しています。

 

 

 

そして最後には、日本が中国の属国になるという「最悪シナリオ」も紹介されています。

 

 

 

あなたも本書を読んで、日本の将来のグランドデザインを真剣に考えてみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!