米系コンサルティングファームのマッキンゼー・アンド・カンパニーが組織と人材に求め続けるものである「生産性」について、現在の「働き方改革」での議論も踏まえて、詳細に書かれた本があります。
本日紹介するのは、元マッキンゼー日本支社・人材育成マネジャーで、現在はキャリア形成コンサルタントの伊賀泰代さんが書いた、こちらの新刊書籍です。
伊賀泰代『生産性-マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの』(ダイヤモンド社)
この本では、日本企業と米国企業で、優秀な人材に求める資質や育成法の違いとして、「リーダーシップ」と「生産性」の二つを挙げているうち、とくに「生産性」について述べています。
また、本書の中で著者は、日本と米国の組織を比べた時に、リーダーシップと生産性以外には、その人材力や組織力を左右する決定的な要因は何もない、と指摘しています。
本書は以下の11部構成から成っています。
1.軽視される「生産性」
2.生産性向上のための四つのアプローチ
3.ビジネスイノベーションに不可欠な生産性の意識
4.量から質の評価へ
5.トップパフォーマーの潜在力を引き出す
6.人材を諦めない組織へ
7.管理職の使命はチームの生産性向上
8.業務の生産性向上に直結する研修
9.マッキンゼー流 資料の作り方
10.マッキンゼー流 会議の進め方
11.マクロな視点から
本書ではまず、生産性を上げるための二つの方法「成果を上げる」と「投入資源量を減らす」に対して、さらにそれぞれを達成する手段として、「改善(インプルーブメント)」と「革新(イノベーション)」という二つのアプローチを組み合わせ、四つの方法に分類しています。
マキンゼーでは、今年の投入資源を分母、今年の成果を分子にした「今年の生産性」を、「去年の生産性」で割り、「生産性の変化率」を出します。
今年の評価は、この「生産性の変化率」で行うのが、マッキンゼーのやり方ということです。
また本書では、マッキンゼーにおける「トップパフォーマーを育てる3つの方法」を以下の通り、紹介しています。
1.ストレッチゴールを与える
2.比較対象を変える
3.圧倒的なライバルの姿を見せる
さらに本書の後半では、マッキンゼーの組織の特徴である、人を諦めない、チームとしての生産性向上、業務の生産性向上に直結する研修、資料の作り方、会議の進め方について、具体的に紹介されています。
詳しくは敢えて書きませんので、興味ある方はぜひ、本書を手に取ってお読みください。
本書の最後には、締め括りとして、著者のマッキンゼー同期入社である安宅和人さんが書いた『イシューからはじめよ』(英治出版)を紹介しています。
この本を採り上げることによって、それは、「何が問題なのか」という、起点の正しい理解が、何よりも重要だということです、と著者は説明しています。
本書の結論として著者は、人口減少はチャンスである、そして、「働き方改革」の最大の目的は、「生産性を上げること」である、と述べています。
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では、今日もハッピーな1日を