書評ブログ

『ルポ 超高級老人ホーム』

「『超高級』と呼ばれる老人ホームは分厚いベールに包まれ、その実態を垣間見る機会は少ない。それは超富裕層のみが入居するラグジュアリーな施設の絶対数が少ないことや、そうした施設の利用者が、多くの人にとってあまり身近にいないことも一因だ。」と述べている本があります。

 

本日紹介するのは、1973年生まれ、大学卒業後、大手電機メーカー出版社などを経て2006年から「週刊文春」の記者になり、現在はフリーランスのノンフィクションライターとして、週刊誌や月刊誌などで社会ニュースルポルタージュなどの記事を執筆している甚野博則さんが書いた、こちらの書籍です。

 

甚野博則『ルポ 超高級老人ホーム』(ダイヤモンド社)

 

この本は、高級老人ホームの実態に迫るべく、全国の施設を訪ね歩き、実際に多くの入居者やスタッフの話を聞いて、アポイントによる取材のほか潜入取材業務体験を行うなど複数の角度から高級老人ホームの実態を眺めて記録したルポルタージュです。

 

本書は以下の5部構成から成っています。

1. 選ばれた者だけの「終の棲家」、超高級老人ホーム

2.「入居者カースト」でマウンティングし合う高齢者たち

3.「死に場所」さえステータス化する富裕層の執着

4.老人は二度死ぬ。悪徳施設への潜入取材

5.桃源郷は夢のまた夢。「世俗」に還る人々

 

この本の冒頭で著者は、「超高級老人ホームとは一体どんな場所で、どんな者が暮らしているのか。その答えを見つけるため、選ばれし者だけの『終の棲家』に足を踏み入れた。」と述べています。

 

本書の前半では、「選ばれた者だけの終の棲家、超高級老人ホーム」ついて以下のポイントを説明しています。

◆ まるで「丘の上の豪華客船・飛鳥」のようなサクラビア成城

◆ 優越感を具現化した設備の数々

◆ 高級と虚飾を見誤る

◆「選ばれし人生に ふさわしい住まいを」

 

この本の中盤では、「入居者カーストでマウンティングし合う高齢者たちおよび「死に場所さえステータス化する富裕層の執着」について解説しています。主なポイントは次の通りです。

◆ 中銀グループが登録メンバーに提供するライフケアサービス

◆ 様々な問題を解決してきた理事会の存在感

◆ 入居者審査にも関わる理事会

◆ 介護付きの中銀ケアホテルへ移る入居者

◆ 人気のカラオケと麻雀の同好会

 

◆ 2044年3月に施設を修了する予定の超高級老人ホーム「聖路加レジデンス」

◆ 米国リタイアメントコミュニティをモデルにした「サンシティ銀座EAST」

◆ ハード面だけでなくソフト面のサービスを売りにする超高級施設

◆ 関西セレブが大集合する住友林業グループの「エレガーノ西宮」

 

本書の後半では、「老人は二度死ぬ。悪徳施設への潜入取材および「桃源郷は夢のまた夢。世俗に還る人々」ついて説明しています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 疑惑の施設へ潜入取材

◆ 元職員の評判や人が足りない実態

◆ 福岡県の「アンペレーナ百道」で業務体験

◆ 老人ホームに友人はいらない

 

この本の締めくくりとして著者は、超高級老人ホームに住む高齢者に共通するのは資産を持っていること、そして試練を乗り越えた強さや、経験に富んだ教訓があることだ、と述べています。

 

あなたも本書を読んで、超高級老人ホームの実態を知り、自らの終の棲家について考えるヒントにしてみませんか。

 

介護業界の実態については、著者の前著『実録ルポ 介護の裏』(文春新書)を併せて読めば、さらに理解が深まります。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【3500日目】