書評ブログ

『老後論 この期に及んでまだ幸せになりたいか?』

「自分の人生には限りがあることを知るから、世の中のことが今まで以上に味わい深く感じられるようになるのだ。これが老いたことで得られる感性だ。」と述べている本があります。

 

 

本日紹介するのは、1949年東京・築地生まれ、早稲田実業高等部を経て、日本大学経済学部を卒業、「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」などのテレビ番組の企画・総合演出を担当し、現在は演出業のほか、プロデューサー、タレントとしてマルチに活動しながら、慶應義塾大学大学院政策メディア研究科に在籍しているテリー伊藤さんが書いた、こちらの書籍です。

 

テリー伊藤『老後論 この期に及んでまだ幸せになりたいか?』(竹書房)

 

 

この本は、団塊の世代である著者が、70歳になって「老後の人生はこう生きるべきだ」という「老後論」を、さまざまな同世代の友人の生き方を紹介しながら、語っている書です。

 

 

本書は以下の5部構成から成っています。

 

1.老人のアドバンテージは何か?

2.「第二の人生」なんて作らなくていい

3.「孤独」や「死」なんて当たり前

4.老いれば心は成熟するのか?

5.団塊の世代よ、「逃げ切ろう」なんて甘い!

 

 

この本の冒頭で著者は、「私がどうしてこの本を出そうと決意したのか。それはみなさんもよくご存じのある3人の方との出来事がきっかけとなり、出版意欲を大きく揺さぶられたからです。その3人とは、長嶋茂雄、大林宣彦、石原慎太郎です。」と述べています。

 

 

本書の前半では、「老人のアドバンテージは何か?」および「第二の人生なんて作らなくていい」について、以下のポイントを説明しています。

 

◆ 老いて消えるものだけではなく、研ぎ澄まされた感性である「乙女力」は残る

◆ 慶応義塾大学大学院の修士論文テーマは「老人の中の乙女力」

◆ 100点を取ろうとしない、政治家として60点・妻として60点、母親として60点でも足せば180点になる

◆ 人生のマンネリは誉め言葉、同じ日常を繰り返せるのは持久力がある証拠

 

◆ YouTubeチャンネルは登録者数や再生回数より、発信することに意味がある

◆ 人生、手を抜くことも大事、ここぞという時に全力でできる

◆ 失敗しても気持ちを素早くリセットする「リセット力」は年齢と経験を重ねることで得られる

◆「老後も人生も幸せに」は欲をかき過ぎではないか

 

◆ リタイア後に人生をリセットするな

◆ 第二、第三、第四の人生を早い時期から同時にスタートさせておけば、退職後の仕事も困らない

◆ 普通に考えると、70歳を超えた人間の出番はない

◆ どんな居場所であっても、求められているものがあるなら幸せだ

 

◆ 今まで仕事していた場所より光が当たらない場所に行って軽やかに仕事する

◆ 団塊の世代は、戦争の尾っぽをひきずった人生を送ってきた

◆ 同世代のライバル(リチャード・ギア)を見つける

◆ 自分の強みを知れば、自己演出の達人になれる

 

 

この本の中盤では、「孤独や死なんて当たり前」および老いれば心は成熟するのか?」について考察しています。主なポイントは次の通りです。

 

◆ 孤独死なんて当たり前

◆「終活」ってシケてないか?

◆ 若いうちから「老い」を先取りしておく

◆ 真面目に生きる人、他人に尽くしている人は、死を恐れない

 

◆ いい人ゆえに人生を後悔する、「早くクタバレ!」と言われる生き方を

◆ 悪評は存在感の証明だ

◆ ノスタルジーに積極的に浸る、YouTubeは老後の娯楽に最適

◆ 幸せでないから怒ってキレてしまう

◆ 寂しさは喜びを深く感じとるスパイスになる

 

 

本書の終盤では、「団塊の世代よ、逃げ切ろうなんて甘い!」をテーマに、強烈な個性を持つ団塊世代人を紹介しながら、著者の感性や考え方を披露しています。主なポイント紹介した人たちは以下の通り。

 

◆ 団塊の世代は新しい日本人像の第1期生

◆ 団塊の世代は混沌とした文化の中で生きてきた

◆ マジョリティの生き方から脱却した蛭子能収

◆ 軟体動物のような高田純次

 

◆ 舘ひろしの丁度いい不良体質

◆ 敵を作ることを恐れない泉ピン子

◆高田文夫の賢いセレクトショップ法

◆ 大橋巨泉事務所にいた小倉智昭の余生に注目

 

◆ 江夏豊の老後、星野仙一の格好よさ

◆ 鈴木宗男はドン・キホーテ、鳩山兄弟が受け入れられない世の中

◆ 若い頃からブレない武田鉄矢

◆ 泉谷しげるの乙女力、井上陽水の傘

 

◆ 常にベストを尽くす沢田研二

◆ 西田敏行の原点

◆ 一番の恩人の稲川淳二

◆ ほんとうは怖い? ビートたけし

 

 

この本の締めくくりとして著者は、「読者の皆さまもそれぞれ悩みを抱えていると思いますが、乗り越えていくのも生きる醍醐味ではないでしょうか。これからの人生を、悩みエンジョイしていきましょう。」と述べています。

 

 

あなたも本書を読んで、「老後の人生をどう生きるべきか」を考えてみませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2866日目】