書評ブログ

『老後の住まい:老後の自立は小さい家から』

「老後をどこで暮らそうかというのは、今の私の一番の関心事だ。それというのも、ここ数年、両親を遠距離介護し、親世代が不本意に住み替えせざるを得ない現実を多く見ているからだ。」と述べている本があります。

 

本日紹介するのは、1956年静岡県生まれ、大学卒業後、会社員、自営業を経て化粧品通販会社経理・総務を担当し、取締役を務め、2008年に退社してFP資格を取り、有限会社シグネットにてFP活動をしている長野郁子さんが書いた、こちらの書籍です。

 

長野郁子『老後の住まい:老後の自立は小さい家から』(有限会社シグネット)

 

この本は、どんな結論であっても自分で集めた情報で自分自身が結論を出し、老後の生活は行き当たりばったりの人任せではなく、最後まで自分の人生は自分で決める気概を持つためのノウハウを提示している本です。

 

本書は以下の11部構成から成っています。

1.老後の住み替え

2.老後に広い家は要らない

3.〝田舎暮らし〟の現実

4.〝海外移住〟の虚実

5.〝住み慣れた家〟は本当に住みやすいか

 

6.理想の住まいは「小さいお家」

7.小さいお家の居心地

8.小さい家でもトイレは2つ

9.小さい家の窓の外

10.小さい家のお値段

11.住み替えで老後資金確保

 

この本の冒頭で著者は、「段階別老後のポイント」として、次の3点を挙げています。

①親の介護で老後を学ぶープレ老後期(50~60代)

②自立できる老後期を楽しく充実させるー自立期の老後(65歳~85歳)

③支援が必要で「機嫌良く暮らせる」ところー介護期の老後(85歳~)

 

上記の中で、本当に長くて肝心なのは、②自立期の老後で、「この長く自由な時間を楽しく充実して暮らすか、それとも不満だらけで漫然と暮らすかは老後期の大問題。それに大きくかかわるのが住まいのあり方だ。」と著者は言います。

 

本書の前半では、「老後の住み替えについて以下のポイントを説明しています。

◆ 老後の理想の住まいとして挙がる4つ

①広い家

②田舎暮らし

③海外移住

④住み慣れた家

 

この本の中盤では、「老後に広い家は要らない」「〝田舎暮らし〟の現実」「海外移住〟の虚実」および「〝住み慣れた家〟は本当に住みやすいか」について解説しています。主なポイントは次の通りです。

◆ 広い家:人手と資金がかかる(動線が長い、掃除や管理、不要な荷物、寒い、高熱費・固定資産税、初期費用、貸しにい、売りにくい

◆ 田舎暮らし:草取り、雪下ろし、冠婚葬祭、自動車がネック

◆ 海外移住:現地人との交流、語学力の壁、治安、衛生面がネック

◆ 住み慣れた家:遠さと広さがネック

◆「撤退できる金銭的余力」を残してチャレンジするのはいい

 

本書の後半では、「理想の住まいは小さいお家」「小さいお家の居心地」「小さい家でもトイレは2つ」「小さい家の窓の外」「小さい家のお値段」および「住み替えで老後資金確保」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 1人なら1LDK(20~30m2)、2人なら 50~65m2 くらいの「小さな家」が理想

◆ 小さな家のメリット:何にでも手が届く、掃除や管理が楽、荷物が減る、光熱費が安い、人の手を借りやすい、買っても借りても安い、貸しやすい・売りやすい、相続しやすい

◆ ヒヤシンハウス(さいたま市南区別所沼)とル・コルジュジェの小さな家(レマン湖)

◆ フラット床、引き戸、断熱、寝室のトイレ

◆ 世間とつながっている窓(自然・緑が豊か)

 

◆ 3m:窓の外に木や緑

◆ 500m:基本的生活基盤(スーパー、コンビニ、金融機関、かかりつけ医、公園、公民館、図書館、書店、銭湯、喫茶店、定食屋、レストラン、パン屋、ゲームセンター、駅、バス停)

◆ 1500m:週に1~2回行く場所(広い公園、イベント開催の公共施設、プール・スポーツセンター、大きな図書館、大型スーパーやショッピングセンター、中規模病院)
→ 徒歩で30分またはタクシーでワンメーターの距離

◆ 小さい家の値段は、中古マンションで 700万円~1500万円(2015年時点の首都圏)

 

◆ 子育て世帯と高齢者世帯の「混在型住宅」

◆ UR賃貸(旧公団)の建て替え物件

◆ 住み替えで老後資金確保

◆ 都心からアクセスが良く都会的暮らしができ、自然豊かな「トカイナカ」

 

この本の締めくくりとして著者は、「私たちの望むものは自立した自由な老後であり、そのための住まいは、歩いて生活できる場所に建ち、猫と暮らせて、つまづく段差がなく、暖かくて、掃除がしやすくて、ベッド近くにトイレがあって、ヘルパーさんに来てもらいやすく、ギリギリまで機嫌良く自活できる住まいでありたい。」と述べています。

 

あなたもこの本を読んで、「老後の住まい」のポイントを学び、実践に活かしてみませんか。

 

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では、今日もハッピーな1日を!【3564日目】