書評ブログ

『老後の年表』

「何歳頃にどんなトラブルに巻き込まれやすいのかを知っておけば、事前に対策が立てられます。」「本書ではトラブルだけでなく、その解決策も懇切丁寧に解説しました。」と述べている本があります。

 

 

本日紹介するのは、1972年生まれ、オランダ、スペイン、北海道ニセコなどを転々とし、様々な地域で暮らすことで、老後の生活スタイルについて各地で経験を積み、現在は老後問題解決コンサルタントとして活躍している横手彰太さんが書いた、こちらの書籍です。

 

横手彰太『老後の年表 人生後半50年でいつ、何が起きるの…? で、私はどうすればいいの??』(かんき出版)

 

 

この本は、北は北海道から南は沖縄まで1000人以上型相談を受け、250組以上の家族会議にも参加してきた著者が、現場での経験を総動員しつつ、研究データなども活用して、老後に起きることとその解決策を極力盛り込んで解説している書です。

 

 

本書は以下の2部構成から成っています。

 

1.老後の年表

2.老後の生活が豊かになる3つの視点

 

 

この本の冒頭で著者は、「老後というと日本では、どうしても暗いイメージがつきまといますが、欧米諸国では決して暗いものではありません。」と述べています。

 

 

著者の横手彰太さんは、小学生の頃、オランダに5年間、大学時代にはスペインに1年間留学イタリアやイギリスで働いた経験もあり、そこで感じたのは「日本に比べ圧倒的に家族の絆が強いということ」だそうです。

 

 

家族間の行き来が多く、クリスマスや夏休みに家族や親戚と過ごすことが珍しくなく、この海外在住で外国人から老後の生き方や考え方を多く学んだ、と言います。

 

 

本書で提示している50歳から100歳までの「老後の年表」は、主に以下の項目です。

 

◆ 50歳: 親の介護で「介護うつ」と「介護離職」が忍び寄る

◆ 51歳: 更年期障害で、妻の長年の怒りが爆発

◆ 53歳: 親が亡くなり、遺産相続の争い勃発

◆ 55歳: 役職定年。働き盛りに給与もやりがいもカット

◆ 56歳: 熟年離婚予備軍に仲間入り

 

◆ 60歳: 年収は半分、仕事は新人レベルに逆戻り

◆ 61歳: 「親の死」より「定年退職」のショックからのうつ病

◆ 62歳: 銀行の勧めで財産が「半凍結」状態に

◆ 63歳: 初孫誕生で心の資産拡大

◆ 65歳: 長生きしたけりゃ、年金はまだもらうな!?

 

◆ 66歳: がんの発症率急増

◆ 70歳: 平均的な資産保有額だと10年で枯渇

◆ 72歳: わが子がニートに。娘は離婚出戻り

◆ 75歳: 病気、要介護、認知症になる割合が倍増

◆ 77歳: 資金作りのために自宅を安く売却。子ども夫婦との暮らしもうまくいかず・・

 

◆ 79歳: 介護施設入居が突然やってくる。施設選びで想像以上の出費

◆ 80歳: 「私は騙されない」が一番騙される

◆ 82歳: 認知症でまさかの財産凍結

◆ 90歳: 入院してそのまま寝たきりに

◆ 100歳: 長寿の秘訣は生活習慣が9割

 

 

この本の後半では、「自分はどうなると一番幸せか?」と問いかけ、具体的な解決策を発動させる前に、まず「自分自身の価値観を決めること」を提唱しています。

 

 

つまり、「人生の中で一番優先順位の高いこと」「自分らしさを最も象徴すること」を明らかにし、自分ファーストで行くことです。

 

 

続いて、これからの生活をより豊かなものにするための価値観を見つける方法として、以下の3つの視点を持つことを提示しています。

 

1.収入

2.家族

3.幸福度

 

 

1つ目の「収入」に関しては、「労働収入」をできるだけ長く確保し、「年金収入」は受給時期を先延ばしし、家賃収入などの「不労収入」を確保すること、と著者は言います。

 

 

2つ目の「家族」については、自分自身の心身を安定させ、配偶者を優先して考える「夫婦ファースト」がいい、としています。

 

 

3つ目の「幸福度」は、収入や資産を増やすことと、幸福であると実感できる一日を増やすことのバランスが大事だ、と著者は説明しています。

 

 

そして、幸せホルモンを上手に出す秘訣として、次のことを挙げています。

 

◆ 家族と過ごす時間に幸せを感じ、セロトニンで心身を健康に【心身の健康】

◆ 不安や恐怖を和らげるオキシトシンで、意図的に他人とつながる【愛情・つながり】

◆ ドーパミンでやる気を出してプチ成功を常に積む【成功・達成】

 

 

本書で挙げている「収入」「家族」「幸福度」という3つの視点は、新刊の拙著『定年ひとり起業』(自由国民社)で私、大杉潤が提唱している「定年ひとり起業」を軸にした老後マネープラン、妻が社長のファミリーカンパニー(合同会社)、幸福学をベースにした人生設計同じコンセプトであり、心から共感します。

 

 

2021年3月13日付ブログに掲載された書評記事はこちら。

https://jun-ohsugi.com/column/teinenhitorikigyou/

 

 

本書の最後で著者は、「人生前半戦で味わってきた苦難の経験が、人生後半戦を戦っていく際に役立つ」と述べています。

 

 

さらにもう一つ、「平凡な毎日こそ最高の人生である」ということ。あなたもリスク回避の秘密兵器「老後の年表」で、問題を先回りして事前に防いでみませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2527日目】