「人と同じ情報源を元に、人と同じような発想をしていては、仕事で差別化することは今後ますます難しくなり、より若い人やAIに置き換えられてしまう可能性が高くなる。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、東京大学工学部卒業後、日本航空に入社、在職中に慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)入社、同社のパートナー、シニア・ヴァイス・プレジデントを経て、2000年から2004年までBCG日本代表を務め、2006年早稲田大学教授に就任、早稲田大学ビジネススクールでは競争戦略やリーダーシップを教えるかたわら、エグゼクティブ・プログラムに力を入れ、現在は早稲田大学名誉教授の内田和成さんが書いた、こちらの書籍です。
内田和成『アウトプット思考 1の情報から10の答えを導き出すプロの技術』(PHP研究所)
この本は、肌感覚ともいえるアナログ情報を活用して、他人に先駆けて世の中の変化に対応したり、新しいものを生み出すことに力点を置いた知的生産術を提唱している書です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.「インプット」では差がつかない時代
2.「アウトプット」から始める情報術ー最速で成果にたどり着くために
3.自分の「立ち位置」を意識することが、差別化の第一歩
4.知的生産の秘蔵のノウハウ「20の引き出し」
5.もっともラクな差別化戦略「デジタルとアナログの使い分け」
6.【私の情報源①】コンサルタントが最も重視する「現場情報」の集め方
7.【私の情報源②】新聞・雑誌、テレビ、ネット・・・各種メディアとのつきあい方
この本の冒頭で著者は、「いくら多くの情報を集めても、その情報が誰でも手に入るものであれば、差別化するのは難しい。」「これが『インプットから入る』アプローチの弱点だ。」と述べています。
本書の前半では、「インプットでは差がつかない時代」および「アウトプットから始める情報術ー最速で成果にたどり着くために」について、以下のポイントを説明しています。
◆ 情報通では「差別化」できない時代に
◆ 網羅思考のワナ、下調べではなく「考える」時間を増やすべき
◆ アウトプットから入るアプローチ
◆「目的を達成すること」が仕事、そのための手段が「作業」
◆ 情報は整理するな、覚えるな、検索するな
◆ 情報の3つの目的:①意思決定、②アイデアの元、③コミュニケーション手段
◆ 膨大な情報の中から、何が「エントロピーを減少させる情報」か
◆ 優れたリーダーは、3割の情報で意思決定する
◆ 情報格差を見える化すれば、会話がスムーズになる
◆ 議論が紛糾したら、あえて「土台に戻ってみる」
◆「時間差アプローチ」でアイデアをと尖らせていく
◆ 情報に飛びつくのではなく、「その先に何があるのか」を考える人が成功する
◆ 情報を「ミクロ」「マクロ」「掘り下げ」の3つの視点で考える
この本の中盤では、「自分の立ち位置を意識することが、差別化の第一歩」「知的生産の秘蔵のノウハウ20の引き出し」および「もっともラクな差別化戦略 デジタルとアナログの使い分け」について解説しています。主なポイントは次の通り。
◆ プロフェッショナルは常に「役割期待」(ポジション)を意識する
◆「どうしたら周りの人と差別化できるか」というパーソナルブランディング
◆ 世の中に「正しい答え」などない
◆ 仮説をもって自分のスタンスを明確にする
◆「20の引き出し」がスパークを生む(脳内の仮想の引き出し)
◆ 仮説思考、論点思考、右脳思考、ビジネスモデル(プラットフォーム)
◆ ゲームチェンジ、リーダーシップ、パラダイムシフト、コーポレートガバナンス
◆ 経営者育成、運(勘)、社外取締役、シェアリングエコノミー、イノベーション
◆ 自動運転、EV、イスラエル、MaaS、ブロックチェーン、GAFA、AI
◆ パワフルな事例を自由に引き出す
◆「20の引き出し」はゆるい情報整理法
◆ 情報の流れの中に、デジタルだけでなく、アナログを入れる
◆ 素人が一番勝ちやすいのは、「情報を足で稼ぐ」こと
◆ 情報発信は「受け手意識」が大切
本書の後半では、「【私の情報源①】コンサルタントが最も重視する現場情報の集め方」および「【私の情報源②】新聞・雑誌、テレビ、ネット・・・各種メディアとのつきあい方」について紹介・説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 圧倒的にパワフルな現場の「一次情報」
◆ 膨大な資料を短時間で読み解く「仮説」と「異常値」
◆ 資料の読み方も「ポジション」で決まる
◆ トリプルタスクで会話する
◆ 自分だけの情報源「人脈ネットワーク」
◆ 専門家とのコネクション
◆ 紙媒体のメリットは「アイデアの元になる情報」を引き出しに入れやすいこと
◆「アウトプットから始める読書」で最短で情報を手に入れる
◆ 雑誌・テレビから「1.5次情報」を得る
◆「寄り道ができる」ことが新聞の最大メリット
◆ ネットで広まった情報が正しいとは限らない
◆ キャッチアップより、「自分の土俵を作る」こと
◆ 問題意識があれば、無駄な時間は皆無になる
この本の締めくくりとして著者は、「情報収集の道具は変わりましたが、情報源は相変わらず一緒で、いかに人と違うものの見方ができるか、あるいは新しいことを生み出せるかに注力しています。」と述べています。
あなたも本書を読んで、1の情報から10の答えを導き出すプロの技術である「アウトプット思考」を学び、実践してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3200日目】