「日本も欧米同様の格差社会になったと言われてかなり経つが、格差社会ではスタート時点で大きな差がつく。」「周回遅れでスタートする者が先行する人に追い付き、追い越すというのは容易ではない。修正できず、這い上がれずに貧困が固定化され、努力や志だけではどうにもならない人たちが増えているのに、無視されている。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1961年生まれ、都立中野工業高校卒でルポライターとして取材活動を続けながら、現在は不動産管理会社に勤務。 2003年よりホームレス支援者、NPO関係者との交流を持ち、長引く不況の現実や深刻な格差社会の現状を知り、声なき彼らの代弁者たらんと取材活動を行っている増田明利さんが書いた、こちらの書籍です。
増田明利『お金がありません 17人のリアル貧困生活』(彩図社文庫)
この本は、ワーキングプアや貧困層と言われる人たち、それに近いところにいる人たち17人に取材し、リアル貧困生活を語ってもらった本です。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.せめて人並みに暮らしたい
2.貧乏暇なし
3.終わらない節約生活
4.生きるためには金が要る
この本の冒頭で著者は、「貧困の入り口はそこかしこにある。貧困に陥った原因は何か、今はどんな暮らしをしているのか、どんな問題に直面しているのかを直視してほしい。もしかしたらあなたの身に降りかかるかもしれないのだから。」と述べています。
本書の前半では、「せめて人並みに暮らしたい」ついて以下のポイントを説明しています。
◆ 派遣の貧格(33歳・アルバイト掛け持ち)
◆ 終わらないヤドカリ生活(35歳・警備員)
◆ 自営業者の苦闘(47歳・精肉加工センター作業員)
◆ 脱法ハウスで迎えた正月(28歳・日雇い派遣)
◆ リストラで婚約破棄の憂き目(29歳・不動産管理会社)
この本の中盤では、「貧乏暇なし」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ これでも宅配ドライバーやりますか(53歳・宅配ドライバー)
◆ 廃業するのは時間の問題(58歳・クリーニング店経営兼パートタイマー)
◆ 山崎哲郎49歳のお正月(49歳・給食サービス会社調理師)
◆ 社長から日給8400円の用務員に(60歳・不動産・設備管理会社勤務)
◆ コラム1:貧困にあえぐ4人の座談会 貧乏最前線
本書の後半では、「終わらない節約生活」および「生きるためには金が要る」ついて説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 25歳のうつ病女子(25歳・パチンコ景品交換所窓口業務)
◆ 正社員なのに生活苦(27歳・設備工事会社技能職)
◆ コロナでリストラされました(29歳・派遣社員)
◆ トリプルワークでもギリギリの暮らし(42歳・アルバイト、派遣など)
◆ 元ブティックオーナーの坂道人生(44歳・清掃作業員)
◆ いつか団地を出ていく日(40歳・ドラッグストア販売員)
◆ 医療費が重たくて(55歳・建設資材会社勤務)
◆ 68歳、それでも働く理由(68歳・クリーニング取次店受付)
◆ コラム2:生活再建のためのサポート 諸々の支援制度
この本の締めくくりとして著者は、「日本では貧困になるのは悪い行いのせいだと思われている」「人並みの生活ができないのは当人が努力しなかったから、真面目に働かなかったから、飽きっぽくて我慢しなかったからだと見下す傾向がある。」と述べています。
あなたも本書を読んで、貧困のリアルを知り、貧困の入口はすぐそこに潜んでいることに気づいてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3518日目】