小池都政が掲げる「東京大改革」について、より広範囲に捉えた真の改革を論じた本があります。
本日紹介するのは、東京都庁企画審議室などに16年勤務した後、大学教授に転身して、現在は中央大学教授の佐々木信夫さんが書いた、こちらの新刊新書です。
佐々木信夫『老いる東京』(角川新書)
この本は、小池都知事が掲げる「都政の見える化」だけではなく、以下の3つの「東京大改革」を提唱している書です。
◆ 都政の体質改善
◆ 都政本来の政策推進
◆ 東京の都市内分離
本書は以下の8部構成から成っています。
1.なぜ「第3の東京論」なのか
2.人口減少による構造的な問題
3.東京の構造をどう変えるのか
4.老いる東京「少子高齢化」の罠
5.東京の働き方改革、人間福祉
6.劣化する東京の「都市インフラ」
7.ニュータウンの落日、再生
8.これからの日本をどうする
本書の冒頭で著者は、これまで論じられてきた2つの東京論、すなわち、①国際社会における東京の地位低下、②国内社会における東京一極集中、とは違った「第3の東京問題」を指摘しています。
それは、東京の内部構造に大きな変化が起きていることに焦点を当てたもので、「老いる東京」、「劣化する東京」を問題視する見方です。
都市自治体にはつねに、経済優先か生活優先かという課題があり、2020年の東京オリンピック開催に向けて現在は、経済優先に傾きつつある東京ですが、「老いる東京」の面への無防備が一気に問題として噴出してきている、と本書では述べています。
人口減少と少子高齢化が進む日本では、現在10歳の子供たちの半数は100歳以上まで生きる「人生100年時代」が到来しています。
そうした中で、最も人口の多い東京の「生活都市」の面を重視しないと、1300万人が暮らす東京が成り立たなくなる可能性が高い、と著者は言います。
つまり、医療、介護、福祉、教育、文化、暮らしなど生活者重視の視点で東京を見直さなければならない、と本書では述べています。
以上の問題意識をもって本書で提言している以下のメッセージは重く受け止める必要があるでしょう。
◆ 74歳までを「現役」と見る
◆ 建設から50年以上経つ道路、橋、トンネルなどの都市インフラを再整備する
◆ 生活者優先、ソフト重視の温かみある都市づくり
◆ 首都直下地震に備える対策
◆ 都市景観を重視した都市政策
◆ AI(人工知能)活用によるサービスの拡充
◆ 都心区でもコンパクトシティ
◆ 定年延長と働き方改革
◆ 歩道橋ゼロ社会の実現
◆ 廃校・廃施設の再利用
◆ 西多摩のリゾート化
さらに本書の最後では、「東京特別州」構想が紹介されています。主要国で大都市制度がないのは日本だけだ、と著者は指摘していて、全国的な「州制度改革」へ向けてイメージを持つことが重要、ということです。
この本では、国鉄改革の例を挙げて、慢性赤字の国鉄を思い切って「7つの民間会社」に分割して再生した手法を参考にすべきだ、としています。
あなたも本書を読んで、「老いる東京」の問題を改めて考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を