ベストセラー作家が80歳にして突然、老人性うつ病にかかり、それを克服する過程や、「人間老いれば、病気もするし苦悩する」ことを自らの老いの生き方として公開している本が刊行されました。
本日紹介するのは、1933年埼玉県熊谷市生まれ、青山学院大学卒業、10年のホテルマン生活を経て作家になり、1969年『高層の死角』で江戸川乱歩賞、1973年『腐蝕の構造』で日本推理作家協会賞を受賞して、推理小説、時代小説、ノンフィクションまで幅広く活躍する文壇を代表する作家の森村誠一さんが書いた、こちらの書籍です。
森村誠一『老いる意味 うつ、勇気、夢』(中公新書ラクレ)
この本は、米寿を迎えた著者が、50代からの職業病の腰痛や80代になって襲われた老人性うつ病との闘いや、「老いる意味」と人生100年時代になって夢を追い続けるエネルギーなどについて記している書です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.はじめに 長く生きて思うこと
2.私の老人性うつ病との闘い
3.老人は、余生に寄り添う
4.老人は、死に寄り添う
5.老人は、健康に寄り添う
6.老人は、明日に向かって夢を見る
7.おわりに 老いる意味
この本の冒頭で著者は、80歳になって突如、襲われた老人性うつ病について、そのきっかけ、苦しみ、および克服した経緯を公開しています。主な様子は以下の通り。
◆ 朝がどんよりと濁っている
◆ 言葉が、文章が、汚れ切っていた
◆ 書けなくなった作家は「化石」
◆ うつ状態を克服するには、➀楽しいものを探す、②のんびりする、③美味しいものを食べてゆっくり寝る、④趣味をみつける
◆ 食べられるようになって体力が回復
◆ 戦う意志を持ち、言葉との格闘や触れ合いを始める
◆ 詩と小説の融合という新たな試み「終点のない夢」
◆ 老人性うつ病と認知症は境が曖昧
本書の前半では、「余生に寄り添う」ことについて、次のポイントが紹介されています。
◆「老い」は気力、体力の衰えと身体の変化(眉毛が伸びるなど)
◆ 未来に目を向ければ、今がいちばん若い
◆ 人生は三つの期(➀仕込みの時代、②現役時代、③老後)に分かれる
◆ 人生は天気と同じ、台風に襲われても通り過ぎていく
◆ 老後は「人生の決算期」
◆ 老後は量より質(=「クオリティ・オブ・ライフ」)
◆ 余生にまで倹約を続けることはない
◆「条件付き健康」でよしとする
この本の中盤では、「死に寄り添う」ことについて考察しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 男は妻に依存していることが多い
◆ 今の世の中では「孤独死」が増えている
◆ 死んだことすら知られない「孤立死」
◆「仕事の定年」と「人生の定年」は違う
本書の後半で著者は、「健康に寄り添う」ことについて、以下の通りポイントを整理しています。
◆ 散歩コースに医院を入れる
◆ 予定がなくなってもスケジュール表を
◆「自分のバイオリズム」をつかむ
◆ 自律神経のメカニズムを知り、就寝時間を考える
この本の締めくくりとして、「明日に向かって夢を見る」ことについて、著者は次のポイントを語っています。
◆ 第二のスタートは、人生をリセットするチャンス
◆ 老いを加速させるかは、自分次第
◆ 写真+俳句=「写真俳句」は楽しい
◆ 誰かの役に立つことは、心の筋肉を動かす
あなたも本書を読んで、人生100年時代に「老いる意味」について考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2573日目】