書評ブログ

『無理ゲー社会』

「社会的・経済的の成功し、評判と性愛を獲得する」という困難なゲーム(無理ゲー)をたったひとりで攻略しなければならない、と述べている本があります。

 

 

本日紹介するのは、1959年生まれ、2002年国際金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビューし、数々の著書でベストセラーを連発している作家橘玲さんが書いた、こちらの書籍です。

 

橘玲『無理ゲー社会』(小学館新書)

 

 

この本は、競争の結果は受け入れるとしても、自分がその競争をさせられるのは理不尽だと考えるひとが声を上げはじめる中で、「理不尽なゲーム」の構造を解き明かす試みの書です。

 

 

本書は以下の7部構成から成っています。

 

1.はじめに 「苦しまずに自殺する権利」を求める若者たち

2.「自分らしく生きる」という呪い

3.知能格差社会

4.経済格差と性愛格差

5.ユートピアを探して

6.エピローグ 「評判格差社会」という無理ゲー

7.あとがき 才能ある者にとってはユートピア。それ以外にとってはディストピア

 

 

この本の冒頭で著者は、「わたしたちは、すべてのひとが自分らしく生きるべきだとするリベラルな社会に暮らすことになった。」と述べています。

 

 

本書の前半では、「自分らしく生きるという呪い」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。

 

◆ 私たちの「つながり」は、愛情空間・友情空間・貨幣空間の三層に分かれる

◆ 友情空間が貨幣空間にアウトソースされ、愛情空間が肥大化すれば、友達の消滅に

◆ ヴァーチャルな評判でつながる世界

◆ リベラル化で、①世界の複雑化、②中間共同体が解体、③自己責任が強調

◆「自分さがし」という新宗教

 

 

この本の中盤では、「知能格差社会」および経済格差と性愛格差」について考察しています。主なポイントは次の通りで、参考文献も挙げています。

 

◆ メリトクラシー(能力主義)のディストピア

◆「学歴・資格・経験(実績)」で評価する社会(教育神話)

◆ 知能と努力をセットにした「メリット」による評価が公正な社会を作る

◆ 絶望に追い込まれた人たちはドラッグ、アルコール、自殺で生命を縮める「絶望死」

 

 

◆ 文章が読めない、数的思考力がない、パソコン仕事ができない人は高比率で存在

◆ ヒトの行動特性はすべて遺伝的

◆ 同じ家族で育てられた影響は遺伝子の影響より小さい

◆ 複雑なヒトの行動特性のばらつきのかなりの部分は遺伝子や家族で説明できない

 

◆「頑張れない」を許さない残酷な社会

◆ 教育以外の「非共有環境」(=友だちとのつき合い)が強く影響

◆ 平均付近のほとんどのひとにとっては、「氏(遺伝)は半分、育ち(非共有環境)が半分」

◆ 親や教師が子どもに与える影響(教育の影響)は限定的

 

◆ 世界中で平均寿命が延びているのに、アメリカの白人労働者階級だけ平均寿命が短くなっている

◆ 原因は、失業によるドラッグ、アルコール、自殺による「絶望死」

◆ 非大卒は大卒の2倍も死んでいる

◆ 白人労働者階級を苦しめている「全面的な人生の崩壊」

 

◆ 自己責任論で「黒人化」するプアホワイト

◆ 知識社会が知能(IQ)によって分断されている

◆ アメリカ社会、日本社会とも「大卒/非大卒」で分断されている

◆  知識社会の高度化で、大卒・高学歴者層の収入も上がらなくなってきた

 

◆ 貧乏な男はモデない現実

◆ 女が自立すると非モテが増える

◆ 非モテなど何らかの鬱屈を抱えている「大きく黒い犬」「人間廃棄物」

◆「無理ゲー」から解放されたい

 

 

本書の後半では、「ユートピアを探して」をテーマに、以下のポイントを解説しています。

 

◆ 資本主義は夢をかなえるタイムマシン

◆「富のベルカーブ」が崩れていく

◆ 後期近代というロングテールの完成

◆ 平等な世界をもたらす四騎士(戦争・革命・統治崩壊・疫病)

 

◆ 億万長者がどこにでもいる世界(米国15.2%、英国9.3%、日本7.4%)

◆「苦しまずに自殺する権利」を求める

◆「ひきこもり」による「8050問題」と「孤独死」

◆ 日本社会にとって、高齢者批判は最大のタブー

 

◆ ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)の欠陥

◆ MMT(現代貨幣理論)は通貨の「主権」による

◆ 超富裕税(資産課税)の魅力

◆ デジタル通貨を使った「負の所得税」

 

◆ 合理的な選択に誘導する「ナッジ」

◆ 社会を合理的に設計する「メカニカル・デザイン」

◆ あらゆるモノが「保有する価値」から「使用する価値」に

◆ 課税されるのはモノで、「人のつながり」は非課税

 

 

 

この本の締めくくりとして著者は、ディアマンディスが提唱する以下の「5つの大変動」が始まるという説を紹介しています。

 

◆ 気候変動による7億人の移住

◆ 都市への大規模な移住

◆ ヴァーチャル世界(仮想現実・拡張現実)への移住

◆ 宇宙への移住

◆「個人の意識」のクラウドへの移行

 

 

ディアマンディス「加速主義(テクノロジー至上主義)」によれば、すべての社会問題は「エクスポネンシャルな技術」によって解決される、としています。

 

だとすると、教育などよりも「脳深部刺激法」などのようなブレイン・コンピュータ・インターフェイス(BCI)によって、脳とインターネットを接続し、いずれは機械生命体ボーグのようになっていくかも知れません。

 

 

あなたも本書を読んで、人生の攻略難易度が上がった「無理ゲー社会」を生き抜く方法を学び、実践してみませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2805日目】