「日本の高齢化社会の課題解決は、世界も注目している。先進国も新興国も日本をお手本にしようとしているのだ。」と述べて、新たな視点で、シニア世代の働き方や、健康を維持するためにはどうしているのかなど、「シニアに焦点をあてながら、これからの日本の高齢化社会を見つめる必要がある」と提唱している本があります。
本日紹介するのは、1962年徳島県生まれ、神戸大学工学部建築学科卒業後、不動建設株式会社に入社、IT会社2社を経て、1993年に株式会社ブレインワークスを創業、中小企業の経営お助けマンを軸に、経営戦略、IT活用、事業創造などを専門として活動している株式会社ブレインワークス代表取締役、一級建築士の近藤昇さんと、名古屋大学工学研究科を卒業後、1976年に東レ株式会社に入社してプラントの保全や技術開発に従事、工業計測器メーカーを経て、2016年より、株式会社ブレインワークスにて「ジニアジャンプ・ドットコム オンライン大学」設立の活動に従事している近藤誠二さんが書いた、こちらの新刊書籍です。
近藤昇・近藤誠二『もし波平が85歳になったら?』(カナリア・コミュニケーションズ)
この本は、70歳、80歳になっても元気で活躍されているシニア世代の皆さま14名を紹介しながら、デジタル偏重社会ゆえに、日本から失われていくアナログ社会で培ったシニアの「人間力」を活かした活躍の場について考察している書です。
本書は以下の3部構成から成っています。
1.シニアライフファースト社会の創造
2.人生100年時代を生きる
3.現役シニアとシニア予備軍のための新たな活動~生涯現役として、高齢化社会にいかに貢献するか~
この本の冒頭には、「プロローグ」として、高齢者(65歳)になってから20年経った85歳を「シニア成人」と定義し、2022年5月30日にスタートしたデジタル庁の新しい取り組み「デジタル推進委員」のアンバサダーに就任した牧 壮さんと著者の近藤昇さんとの対談が掲載されています。主なポイントは次の通り。
◆ シニアはインターネットでひととつながることが大切
◆ シニアの場合、どうやってネットを始めるか、どうやって挫折をなくすかの2点がポイント
◆ シニア(65歳)になって20年の85歳は「シニア成人」で大人のシニア
◆ やりたいと思う意思と意欲と体力があれば、夢が実現できる
◆ シニア専門ショップ、シニア専門窓口が必要
この本の前半では、「シニアライフファースト社会の創造」について、以下のポイントを解説しています。
◆ シニアライフファースト社会推進コンソーシアム(LINFIT:リンフイット)の立ち上げ
◆ アクティブシニアはもっと情報発信、自己表現を
◆ 元気なシニアの特徴は、①好奇心旺盛、②人とつながる意識、③貢献意識、④肉を食べる、⑤頑固=こだわり
◆ 未来の記憶の箱(シニアの夢)が大きい人は、人生が豊かである
◆ シニアが起業する時代、消極的な独立でもOK(無収入の時期を恐れない)
◆ シニア起業に失敗は付き物、人生の致命傷にならない失敗を
◆ いきなり転職や起業ではなく、副業などもうひとつの仕事にチャレンジ
◆ シニアの世界は多様で、まず「見える化」と「教育」が必要
◆ 後世への伝承と「生涯現役ノート」
◆「アクティブシニア」とは、何歳になっても元気で積極的なチャレンジを続けるシニア
◆ ガンジーの明言「明日死ぬと思って生きなさい、永遠に生きると思って学びなさい」
◆「健康寿命」より大事な「貢献寿命」
◆ 高齢化社会はイノベーションの宝庫
◆ ジェロントロジー(老年学)とジェロンテクノロジー
◆ シニアのQOLを上げるMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)とコンパクトシティ構想
◆ 定年78歳の社会から、さらに定年86歳の社会(85歳は現役)に
この本の中盤では、「人生100年時代を生きる」をテーマとして、以下の14名の「アクテイブシニア」(現役として元気にチャレンジ・活躍するシニア)を紹介しています。
◆ 鈴木房江(85歳・さくら着物工房 主宰)
◆ 知久信義(84歳・NPO法人イカス(ICAS)常任理事)
◆ 田村セツコ(84歳・イラストレーター)
◆ 黄倉良二(83歳・北竜町農協組合 組合長)
◆ 佐藤元彦(83歳・東北和僑会 理事長)
◆ 藤井敬三(82歳・NPO法人シニア大楽 理事長)
◆ 澤登信子(80歳・株式会社ライフカルチャーセンター 代表取締役)
◆ 大谷ミチ子(76歳・花みずき協同組合 代表理事)
◆ 島藤伸一(75歳・NPO法人吉野川に生きる会 代表理事)
◆ 川添良幸(74歳・名誉教授ドットコム株式会社 代表取締役)
◆ マルコン・シャンドル(73歳・株式会社リニアリティ 代表取締役社長)
◆ 粟田光(73歳・一般社団法人ありがとう 代表)
◆ 三原賀代子(72歳・南あわじ市津井農業委員会 委員長)
◆ 都築冨士男(1940年生・一般財団法人SDGsソーシャルデザイン協会 代表理事)
本書の終盤では、「現役シニアとシニア予備軍のための新たな活動~生涯現役として、高齢化社会にいかに貢献するか~」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 人生100年時代に向かう現在、二毛作、三毛作と言われる働き方が推奨されている
◆ 高齢者の8割が「働きたい」、うち半数は「働けるうちは働きたい」
◆ 7割の企業はシニア雇用に消極的、40~50代からシニアの仕事を考えることが大切
◆ 生涯現役で活躍する方法を学ぶ「シニアジャンプ・ドットコム オンライン大学」
◆ アクティブシニアの選択肢は、①起業・独立、②再雇用、③多文化共生の担い手
◆ 幸福度の高いデジタル化先進国・デンマークのライフスタイル(「ヒュッゲ」)
◆ 働き続けることは、シニア世代の生きるモチベーション
◆ 加齢による自立度のデータと健康状態の変化
この本で提唱していることは、拙著『定年後不安 人生100年時代の生き方』(角川新書)にて私が提唱していた「人生100年時代は少なくとも85歳まで働く、できれば生涯現役で働く」という生き方、そのためには「トリプルキャリア」という幸福学を軸とした人生設計が重要という考え方と共通で、深く感銘を受けました。
さらに、そのための具体的な手法・ノウハウを提示した拙著『定年ひとり起業』(自由国民社)および続編の『定年ひとり起業 マネー編』(自由国民社)とも同じコンセプトの生き方です。
本書の締めくくりとして著者の近藤昇さんは、「なぜ、日本はシニアライフファーストが理想なのか?」と問いかけ、「シンプルに、何歳になってもシニアの方が幸福であってほしい。そうすると、自然と、それに続く人たちも幸せになる。」と述べています。
あなたもこの本を読んで、シニアライフファースト社会が到来する日本で、アクティブシニアとして生涯現役で活動する基盤をしっかり準備して生きませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2858日目】