書評ブログ

『外資系1年目の教科書』

「コロナ禍によって、企業に勤める人たちの考え方や価値観は大きく変わりました。これまで常識とされていたことがもはや常識ではなくなったことに、驚いている人もいるかもしれません。」と述べて、「私たちは時代を逆戻りすることはできません。変わりゆく波をどのように捉えていくのか、自分なりの方法を得る以外には、前に進むことはできないのです。」と提唱している本があります。

 

 

本日紹介するのは、東京都文京区生まれ、立教大学卒業後、外資系企業に就職、ロータリー財団奨学金にて米国へMBA留学し、米国ロチェスター大学大学院経営学修士(MBA)、帰国後アップル日本法人に入社、その後日本HPにマネージャーとして転職、36歳で最年少女性部長に昇格、さらに日本オラクル、デル・テクノロジーズ、日本マイクロソフトなど外資系ITベンダー7社で25年にわたり要職を歴任、リコーITソリューションズ取締役などを経て、大病の早期発見をきっかけに、人生は一度きりと考え独立、現在は株式会社MCJ社外取締役、U・アカデミー代表、全米NLP協会認定トレーナー&ビジネスコーチ、コンサルタント山口畝誉さんが書いた、こちらの書籍です。

 

山口畝誉『外資系1年目の教科書』(総合法令出版)

 

 

この本は、著者の山口畝誉さんがグローバルIT業界で培ってきたこと、さらにキャリアのエキスパート、ビジネスコーチとしての経験を通して学んできたことをまとめ、「VUCA時代」にどこでも活躍できる、どのような状況下でも生き残れる ”身に付けておくべき超実践的なスキル” を、「外資系1年目の教科書」と銘打って紹介している書です。

 

 

本書は以下の6部構成から成っています。

 

1.不透明・不確実な未来で「生き残る人材」を目指す

2.真っ先に身に付けておきたい必須スキル

3.思考の仕方とマインドセット

4.仕事の進め方とスキル~ポータブルスキルを磨きアップデートし続ける~

5.これからのキャリア理論~身を置く環境と関わる人がキャリアにも影響を与える~

6.トレーニングとワーク~キャリア戦略のグローバル化~

 

 

この本の冒頭で著者は、「本書は、決して外資系企業に就職しようとしている方向けの書籍ではありません。全ての企業で働くビジネスパーソンに向けたものです。」と述べています。

 

なぜなら、「これから終身雇用やメンバーシップ型に代表される日本の雇用システムは淘汰され、日本企業は、多かれ少なかれ否応なく外資型の体制へと変わっていく」からです。

 

 

本書の前半では、「不透明・不確実な未来で生き残る人材を目指す」および真っ先に身に付けておきたい必須スキル」について、著者の経験・見解を説明しています。主なポイントは以下の通り。

 

◆ 先行きが不透明で将来予測が困難なVUCA時代を楽しむ

◆テクノロジーが進化して今までの常識は非常識に

◆ VUCA時代に生き残るのは、環境変化に合わせて自分をアップデートすること

◆ VUCA時代のリーダーシップでは、全体を把握して柔軟に思考する力が大切

 

◆ 多様性の中でのコミュニケーションは、①傾聴力、②共感力、③巻き込み力、④ロジカルに伝える力、⑤自己開示と素直さが重要

◆ プレゼンスキルは、①目的の明確化、②聴き手が主役、③PREPの組み立て、④聞き手に合わせたスタイル、⑤メラビアンの法則を重視

◆ スピード感と付加価値、生産性、費用対効果を念頭に

◆ 思考力では、ロジカルシンキング、クリティカルシンキング、クリエイティブシンキングを磨く

 

 

この本の中盤では、「思考の仕方とマインドセット」および仕事の進め方とスキル~ポータブルスキルを磨きアップデートし続ける~」について、次のポイントを解説しています。

 

◆ 成長マインドセットを持つ

◆ オプション思考と変革志向

◆ 自分を常にアップデートし続ける

◆バランスホールや4Lでバランスを保つ人生を

 

◆ 前野隆司教授の「幸せの四つの因子」(➀やってみよう、②ありがとう、③なんとかなる、④ありのままに)を心がける

◆ 人との適度な距離感を保つ

◆ 内省(リフレクション)する時間を持って自分の価値観を知る

◆ 相手の価値観を尊重する

 

◆ はじめから完璧を目指さず、60%で進める

◆ トライ&エラーで、PDCAやOODAを高速で回す

◆ 専門性+オールラウンドな力を持つ「T型人材」を目指す

◆ 周りへの感謝を持って進める

 

◆ 自分やいろんな人のいいとこ取りをするモデリング

◆ 瞬発力、スピード感と柔軟性

◆ 変化を前提とした適応力

◆ 心を鍛えるレジリエンス

 

 

本書の後半では、「これからのキャリア理論~身を置く環境と関わる人がキャリアにも影響を与える~」およびトレーニングとワーク~キャリア戦略のグローバル化~」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。

 

◆ 社会環境の変化に合わせて変幻自在に自分が変身するプロティアンキャリア

◆ 核になるアイデンティティとアダプタビリティ

◆ 目標にチャレンジする心理的成功を

 

◆ プランド・ハップンスタンス理論で、キャリア構築の偶然の機会をものにする

◆ 計画された偶発性には、①好奇心、②持続性、③楽観性、④柔軟性、⑤冒険心

◆ 意味づけするナラティブなキャリア、キャリアストーリー

 

◆ ニュー・ハイアー・トレーニングで早く適応

◆ レディネス・トレーニングで即戦力に

◆ マネジメント・エッセンシャルでリーダーシップとチーム・ビルディングを

◆ リーダーシップ研修で相手のタイプに合わせたコミュニケーション

◆ 自己投資でコミュニケーション・トレーニングのNLP

 

 

この本の締めくくりとして著者は、「現在心掛けているのは、ワーク・ライフ・インテグレーションです。そして、さまざまな役割を担いながら、それらを統合し、変幻自在なキャリア、プロティアン・キャリアを体現しています。」と述べています。

 

 

さらに、「私たちはデジタル化によってもたらされた大きな変化の波の中で、長いキャリアを歩んでいくことになります。そして2022年の今は、VUCAと言われる時代、誰もがリーダーシップを発揮する時代です。」と続けています。

 

 

あなたも本書を読んで、激変する環境で先行きが不透明な時代に、自らが人生のシーダーシップを発揮していきませんか。

 

 

2022年8月22日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第254回】外資系1年目の教科書にて紹介しています。

 

 

 

ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。

 

 

では、今日もハッピーな1日を!【2859日目】