「マネーが向かうのは、新興国かアメリカか日本か?」と問いかけ、「世界最適化モデル」から「個別市場立脚モデル」へと提唱している本があります。
本日紹介するのは、元マッキンゼー日本支社長で、ビジネス・ブレークスルー代表の大前研一さんが書いた。こちらの書籍です。
大前研一『マネーはこれからどこへ向かうか 「グローバル経済 VS 国家主義」がもたらす危機』(KADOKAWA)
この本は、トランプ大統領の就任やイギリスのEU離脱に象徴される、分断される世界、分断されるアメリカ(Divided States of America)の要因や、今後の世界経済およびマネーの流れについて考察しています。
本書は以下の8部構成から成っています。
1.分断される世界、リスク要因は金融から政治へ
2.人とマネーはどこへ向かうのか
3.政治が経済危機を呼ぶ
4.「Gゼロ」の世界経済はこれからどうなるのか?
5.アメリカは「衰退」したのか?
6.欧州に燻る経済危機の火種
7.世界最適化できない日本経済と企業
8.シリコンバレーに学び、ハイパーインフレに備えよ
この本の冒頭で著者は、人と資本は今や新興国ではなく、アメリカ・ベイエリアに集中している、と指摘しています。そして、それはかつてのシリコンバレーから今や近郊の都市サンフランシスコに中心が移りつつある、と言います。
とくにマネーの多くは、アメリカのユニコーン企業(想定時価総額1000億円以上の未上場ベンジャー企業)に流れている、と指摘しています。
この地域では、I o T、AI(人工知能)、FinTech、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、ビッグデータなどのに関連した技術、産業、ビジネスが集中しているのです。
そして、I o T や AI などのコア技術、スキルは若い世代、新しい企業が持っている場合が多いのですが、こうした技術が「〇〇テック」という名前で、データを持つ古い企業とコラボして、新たな事業領域が生まれています。
例えば、農業(AgTech)、自動車(AutoTech)、金融(FinTech)、医療(MedTech)などで、さらに業務レベルでは、人材(HRTech)、広告(ADTech)、法務(RegalTech)などです。
本書の中盤以降では、トランプ大統領をはじめ、ポピュリズムがやがてインフレや混乱を招いて大きな代償を払うことになる、と警告しています。
著者の大前さんはかつて、『ボーダレスワールド』(プレジデント社)の中で、「世界最適化モデル」を提唱し、事実世界はその通り動いてきた、と述べています。
世界最適化モデルとは、企業が最も良くて安い国で材料を買い、最も賃金が低い労働者がいる最適地で加工し、高く売れるマーケットに売る、という経営モデルです。
まさにグローバリズムですが、アメリカ・ファーストの政策を掲げるトランプ大統領の登場で、世界経済に大きな変化が起こりつつあります。
著者の大前さんは、「知性がなければ民主主義は崩壊する」と訴えていて、日本の政治家では中曽根康弘元首相を除いては、そうした知性を持つトップはいない、と指摘しています。
マレーシアのマハティール元首相、台湾の李登輝元総統など、大前さんがアドバイザーを務めたトップを除き、殆ど全てのリーダーを批判しています。
本書の後半では、注目すべき新しい概念や動きとして、以下のキーワードが紹介されています。詳細の説明はここでは敢えて書きませんので、興味ある方はぜひ、この本をお読みください。
◆ 「Gゼロ」の世界経済
◆ トランプ大統領の「ビジネス・ディール」思考
◆ Divided States of America は、Coast(湾岸・沿海部)とInland(内陸部)の分断
◆ IR整備推進法(カジノ解禁法)の成立
◆ 世界最適化モデルから個別市場最適化モデルへ
◆ デジタル・ディストラプション(破壊)
あなたも本書を読んで、著者の大前さんが薦める「勉強して副業する」あるいは「定年後にキャッシュを生み出せるような人になる」ことを、会社員をやりながら目指してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を