書評ブログ

『モダンエルダー 40代以上が「職場の賢者」を目指すこれからの働き方』

エアビーアンドビー創業者に招かれ、20歳以上年下の経営陣に「知恵と経験」で頼りにされ、会社を急成長させた著者が、40代以上の人に対して「職場の賢者」「メンターン」という働き方を推奨している本があります。

 

 

本日紹介するのは、1960年米国カリフォルニア州生まれ、スタンフォード大学でMBAを取得、26歳でジョワ・ド・ヴィーブル・ホスピタリティを創業し、24年間にわたってCEOを務め、世界2位のブティックホテル・チェーンに育てた後、52歳でエアビーアンドビー社の誘いを受け、グローバル・ホスピタリティ&ストラテジー部門責任者に就任して、同社の躍進を支えたチップ・コンリーさんが書いた、こちらの書籍です。

 

チップ・コンリー『モダンエルダー 40代以上が「職場の賢者」を目指すこれからの働き方』(日経BP社)

 

 

この本は、「どうしたらモダンエルダーになれるか?」という問いに応えるために書かれた書です。

 

 

本書は以下の10部構成から成っています。

 

1.ビンテージの価値は上がり続ける

2.私は「メンターン」?

3.新しい人生設計

4.レッスン1: 進化する

5.レッスン2: 学習する

 

6.レッスン3: コラボレーションする

7.レッスン4: 相談に乗る

8.引退の代わりに、キャリアの立て直しを

9.経験がもたらす配当-職場の年長者を活かす

10.賢者の時代

 

 

この本の冒頭で著者は、「陳腐化のスピードがますます加速する時代に、専門知識のない年長者の世代には価値がなくなるのではなく、特定分野の狭い考えを全体像として見る力によってむしろ価値が上がるはずだ。」と述べています。

 

 

本書の前半では、「ビンテージの価値は上がり続ける」「私は『メンターン』?」および新しい人生設計」について解説しています。主なポイントは以下の通りです。

 

◆ 年齢とともに知恵を集めるスキルが身につく

◆ 職場での賢さとは、多岐にわたる情報を素早く取り込んで物事の核心を掴み、全体を俯瞰したり組織的に考えたりする能力

◆ モダンエルダーは、①優れた判断力、②本物の洞察、③心の知能指数(EQ)、④俯瞰的な思考力、⑤奉仕の心、という知恵を持つ

◆ モダンエルダーになるのは、①進化し、②学び、③協力し、④助言すること

◆ 人生の半ばに「中年の危機」ではなく、「中年の目覚め」がある

 

◆ 自分のアイデンティティが大きく変化している最中に感じる「リミナルティ」

◆ 自信を無くした時はロールモデルを探そう

◆ 良き「教師と生徒」になる

◆ 知恵と天才は対立する必要はなく、両立する

 

◆ 先進国では65歳人口の9割が誕生日をほぼ健康な状態で迎えている

◆ 昔ながらの3段階の人生設計(教育・仕事・引退)は変わってきた

◆「ベレニアル」とは、年齢にかかわらず、世界で何が起きているかを知っていて、今のテクノロジーに通じ、すべての年代に友達のいる、生き生きと今を過ごす人たち

◆ モダンエルダーは翻訳の名人

◆「WAHVE(自宅勤務の年長専門職)」という働き方

 

◆ 自らのアイデンティティを進化させたり作り直したりする

◆ 古い世界と新しい世界の境界で新しい居場所を作るには初心者の気持ちになる

◆ 年齢の偏見から自由になる

◆ 年齢を重ねることを前向きにとらえている人は、7年半長生きする

 

 

この本の中盤では、「レッスン1: 進化する」「レッスン2: 学習する」「レッスン3: コラボレーションする」および「レッスン4: 相談に乗る」について、次のポイントを説明しています。

 

◆ 中年になってアイデンティティを変えることで、すべてが好転する

◆ 古い自分から抜け出して進化し、自らの魂と結びついた、ギリギリにそぎ落された信条に沿って自分を再構成する

◆ 自分の評判を把握する、 思いやりとユーモアを忘れない

◆ 今ここに集中する

◆ アイデンティティを刷新するのは、①アイデンティティ・ダイエット、②自分の評判を再定義する、③知恵をリセット:インターンになる

 

◆ 知識を得たいなら毎日何かを取り入れなさい、知恵を得たいなら毎日何かを捨てなさい

◆ 脳神経細胞は良く使うことで筋肉のように機能を維持し、人生の後半になっても十分な認知能力を発揮できる

◆ 新しいスキルを習得するのに遅すぎることはない

◆ 好奇心のままに好きなテーマを研究すること

◆ ドラッカーのように、さまざまな分野の能力を身につけた「シリアルマスター」になれば、思考の柔軟性を保ち、新しいことや予期せぬ変化に対応できる

 

◆ 年を取ったからこそ「なぜ」と聞ける、的確な問いで冒険を呼び込む

◆ 率直な意見交換の文化と心理的安全性、質問の最終目標は合意の形成

◆ 好奇心を呼び覚ます

◆ 事業について深堀りする

◆ 触媒的な質問をする

 

◆ モダンエルダーは気象予報士

◆ EQとDQを交換する

◆ 心理的安全を確保する

◆ コラボレーションを文化の一部にする

◆ 暗黙の交換条件について考える

 

◆ 相談に乗り、人脈とノウハウを提供

◆ 秘密を守り、自信を与える

◆ 自分が提供できる価値の本質に気づく

◆ 移り変わりの速い環境で素早く戦略的意思決定を行えるように支援する

 

 

本書の後半では、「引退の代わりに、キャリアの立て直しを」「経験がもたらす配当-職場の年長者を活かす」および賢者の時代」というテーマで考察しています。主なポイントは以下の通り。

 

◆ 人生の半ばに新たな10年、「吹き抜け」のような期間が加わる

◆ 働いている間は健康に気を使う動機付けが強くなる

◆ 50歳を過ぎてから働く業界や職種を変えるには、中年期に期待値を再設定し、新たな筋肉をつける

◆「キャリアのアンコール期間」を成功させるために、自分のスキルをリフレッシュし、再発明する

 

◆ スキルを進化させる、好奇心の種を撒く

◆ コラボレーションを促進する

◆ 教え、導き、相談に乗る

◆ 社会を変える仕事をする

 

◆ 起業家になる

◆ 海外移住を計画する

◆ キャリアを再起動するには「しなやかマインドセット」

◆ キャリアを立て直すとは、人とつながり直すこと

 

◆ 年長者フレンドリーな会社とは、①データを使う、②年齢別の従業員リソースグループ、③ベストプラクティスを導入、④CEOから年齢多様性の重要性を発信

◆ ⑤メンタリングと逆メンタリング、⑥経済的に安定した老後が送れるサポート、⑦年長者の採用プログラム、⑧生産性の定義見直し、モダンエルダー向け20%ルール、⑨高齢化する職場に合った制度、⑩社員と顧客のための長期戦略

◆ 賢いものが生き残る

◆ モダンエルダーであることは、互恵的であること

 

 

この本の巻末にて翻訳者外村仁さんは、「人生の前半で多くの失敗を経験した人は、環境の最適化能力も上がっているので、判断力も向上する。」モダンエルダーの追加の知恵を述べています。

 

 

さらに、「点と点を結びつける力」というモダンエルダーの能力は素晴らしいと再評価できる、としています。

 

 

そして、スタンフォード長寿センターの調査では、人生の幸せのU字カーブでは、45歳から50歳あたりで最低値になる傾向があり、これは国や文化によらず共通に見られるそうです。

 

 

つまり、幸せのU字カーブのボトムから数年経てば、そこを抜けられるわけで、過去の習慣から離れ、上手に「モダンエルダー」に変化していくためには本書で記してきたようなコツがいる、ということです。

 

 

「モダンエルダー」という働き方は、私が提唱している「定年ひとり起業」とまさに同じコンセプトで、人生100年時代の幸せなライフスタイルとしてぜひ目指したい働き方です。

 

 

あなたもこの本を読んで、「職場の賢者」を目指すこれからの働き方である「モダンエルダー」になってみませんか。

 

 

2022年3月25日に「大杉潤のYouTubeビジネススクール」【第218回】モダンエルダーにて紹介しています。

 

 

 

ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。

 

 

では、今日もハッピーな1日を!【2711日目】