「ビジネスパーソンとして求められているのは、ただ仕事ができるだけではなく、人間的な幅や厚みを身につけ、豊かな心を持った教養のある人です。」と述べて、書道、華道、香道、着物、建築、和食など、日本の美意識が全ては言った総合伝統文化である「茶道」の入門から奥深さまで解説している本があります。
本日紹介するのは、和の教養や精神を身につけて、世界で活躍したいビジネスパーソンに対して、日本の伝統文化や茶道、和の作法で支援するグローバル茶道家で、株式会社茶禅 代表取締役、一般社団法人国際伝統文化協会 理事長、日本伝統文化マナー講師、茶道裏千家 教授の竹田理絵さんが書いた、こちらの書籍です。
竹田理絵『世界のビジネスエリートが知っている 教養としての茶道』(自由国民社)
この本は、およそ500年脈々として続いている茶道を学ぶことにより日本人として日本の伝統文化についての教養を身につけ、国際人として真の自信を持つことができるようになる書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.外国人が知りたい日本の文化・世界が憧れる日本のおもてなし
2.なぜエリートは茶道の虜になるのか
3.これだけは知っておきたい日本の伝統文化「茶道」
4.ビジネスや日常に活かしたい千利休七つの教え
5.知っていると一目置かれる、日本人としての品格
6.知っていると自信が持てるお茶会の作法ー楽しむための知識ー
この本の冒頭で著者は、外国人のお客様が日本にいらして一番感動するのは、「日本のおもてなしの心」だ、と述べています。
そして、この「おもてなし」ですが、究極のおもてなしは「茶道」にあり、と言われているそうです。
それは、茶道ではお客様をおもてなしする際に、何日も前からお客様を想いながら、お茶室の内外を整え、道具の取り合わせに心を配り、お菓子を選び、お花を入れ、打ち水をして、心を込めて丹念に準備するから、と著者は説明しています。
本書の前半では、「世界が憧れる日本の文化とおもてなし」および「なぜエリートは茶道の虜になるのか」について解説しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 茶道はお抹茶で、のどの渇きだけでなく、一緒に心の渇きも潤す
◆ 茶道では「一座建立」で主・客が一体となって座を盛り上げる
◆ 戦国時代に千利休が広めた茶道は、男性の必須ビジネスツールだった
◆ 茶道の基本精神は「和敬清寂」(=和やかな、敬い合う、清らかな、動じない心)
◆ 茶道は禅宗と深く関わり、「わび・さび」という精神文化を生み出す
◆「その日1日1日を大切に生きること」が茶道の精神
◆「一期一会」は、人との出会いを一生に一度きりのものと思い、相手に最善を尽くす
◆ 茶道は五感を使って楽しんでいただく
◆ 茶道や禅が目指すのは、余計なものを捨て、シンプルに生きること
◆ 戦国武将は、明日をも知れぬ身を、茶の湯で己と向き合い、心を整えた
◆ 戦国武将にとって、茶の湯が教養であり、ステータスシンボルだった
◆ 松下幸之助は42歳でお茶の心と出会い、「素直な心」、無になる時間を大切にした
◆ ジョブズがアップルの基本精神に入れた禅や茶道の「フォーカスとシンプルさ」
この本の中盤では、「これだけは知っておきたい『茶道』」および「千利休の七つの教え」について、次のポイントを紹介・説明しています。
◆ 千利休は60歳になって秀吉に仕え、70歳で切腹してわび茶の信念を貫いた
◆ 表千家と裏千家は、利休のひ孫から分岐した流派
◆ 茶道の精神は「和敬静寂」の中に凝縮されている
◆「侘び・寂び」は足りないことを美しさとして見出すこと
◆「一期一会」とは、二度とないこの瞬間を大切にすること
◆「利休七則」とは、千利休が残した茶の湯の七つの心得
◆ 茶は服のよきように点て(気配りの大切さ)
◆ 炭は湯の沸くように置き(準備の大切さ)
◆ 花は野にあるように生け(自然体でいること)
◆ 夏は涼しく冬暖かに(相手を思いやる心)
◆ 刻限は早めに(時間に余裕を持つ、気持ちにゆとりを持つ)
◆ 降らずとも傘の用意(不慮の事態に備える)
◆ 相客に心せよ(お互いに尊重し合う)
本書の後半では、「日本人としての品格」および「お茶会の作法」について考察しています。著者が挙げる主なポイントは以下の通り。
◆ お茶室には様々な日本文化が凝縮されている
◆「茶禅一味」と言われるように、茶道と禅は密接な関係
◆ マインドフルネスとは、「今、この瞬間」に注意を向けた心の在り方
◆ 書道、華道、香道、着物、懐石、日本建築、焼物・漆器は茶室(茶道)にある
◆ お茶会では白い靴下を
◆ お茶室は神社と同じ、心身を清めてから入る神聖な場所
◆ お菓子を先に食べ、お茶碗を回す理由
◆ 美味しいお抹茶の点て方
この本の締めくくりとして著者は、千利休の「渇きを医するに止まる」という言葉を紹介し、お茶が単に喉の渇きを癒やすだけでなく、心の渇きも癒やすのだ、と言う意味を説明しています。
私自身が「茶道」の精神に触れたのは、会社員時代に休暇や転職の合間にハワイに行ったときに、裏千家が経営するワイキキの「ブレーカーズ」というホテルに宿泊したことです。あまりに気に入って、2回連続でハワイの宿に選びました。
http://www.breakers-hawaii.jp/facilities.php
ホテル敷地内に裏千家の茶室「汎洋庵」があり、見学ができます。また当時は早朝にプールサイドで無料のコーヒーがふるまわれ、「おもてなしの心」を実感し、とても居心地がいいホテルでした。
https://www.breakers-hawaii.com/
この竹田理絵さんの本は、「茶道」の奥深さや魅力が分かりやすく書かれており、禅やマインドフルネスとの共通点など、とても勉強になります。
あなたも本書を読んで、茶道500年の歴史と「教養としての茶道」を学び、グローバル社会で通用する実力を養いませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2592日目】