書評ブログ

『世界のビジネスエリートを魅了する 教養としての着物』

「今、世界では日本の伝統衣装、着物への関心がこれまでになく高まっています。」「着て楽しむだけでなく、着物をより深く学び自分のファッションに取り入れる着物のファンも世界で増えています。」と述べている本があります。

 

 

本日紹介するのは、法政大学社会学部、一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了後、環境創造企業 株式会社エステムでの営業企画部勤務を経て、星野リゾートに入社、東日本大震災で大打撃を受けながら、担当した北海道のリゾート トマムの業績回復と会社の急成長を目の当たりにしてビジョン・戦略・行動力があれば現実を変えられることを実感、自分を変えた着物の真の魅力を伝え、着物文化を次世代に受け継ぎたいと、2015年日本初の和装イメージコンサルタントとしてダブルワークで起業、現在は全国から個性豊かな受講生が集まる、着物を着こなすための「和創塾~きもので魅せる もうひとりの自分~」を主宰する上杉惠理子さんが書いた、こちらの書籍です。

 

上杉惠理子『世界のビジネスエリートを魅了する 教養としての着物』(自由国民社)

 

 

この本は、ビジネスパーソンが外国人とのコミュニケーションを豊かにし、教養として仕事や日常に活かすために、着物の知識をまとめた着物の入門書です。

 

 

本書は以下の8部構成から成っています。

 

1.世界中の人を魅了する着物・Kimono

2.外国人が知りたい日本の文化 着物への質問

3.これだけは知っておきたい日本の伝統文化「着物」

4.なぜ今、着物が注目されるのか?

5.ビジネスや日常に活かしたい着物に学ぶ和の知恵と感性

6.知っていると一目置かれる 着物を作る産地と伝統技術

7.知っていると自信が持てる 着物を着て楽しむための知識

8.「和」に出会える、着物専門店

 

 

この本の冒頭で著者は、「本書では多くの先人達から学んだことや、クライアントや私自身が学び実践してきたことを、『教養としての着物』という視点からお伝えしていきます。」「日本の和の文化は、世界でもユニークで豊かな文化であり、着物は和の文化でも象徴的な存在です。」と述べています。

 

 

本書の前半では、「外国人が知りたい日本の文化 着物への質問」およびこれだけは知っておきたい日本の伝統文化 着物」について、以下のポイントを説明しています。

 

◆ 着物や帯の9割は絹=シルク、残り1割がウール、木綿、麻、ポリエステル

◆ 着物は日本の高温多湿な夏に快適に着られるよう通気性抜群の構造

◆ 着物には日常生活できる「普段着の着物」もある

◆ 浴衣は着物に近づき、夏のファッションの選択肢の一つに

◆ 着物の袖が長い理由は、①夏を快適に過ごす、②ステイタス

 

◆ 着物の起源は約1000年前の平安時代、十二単の下着

◆「服用」「服薬」草木染めの着物

◆ 徳島県阿波の「藍」、山形県の「紅花」

◆ 宮崎友禅斎が始めた「友禅染」は絵画のよう

 

◆ 男性の着物は見えないところにおしゃれ(額裏など裏勝りの美学)

◆ 着物1枚に蚕の繭は約2700個

◆ 輸出大国だった日本の純国産絹糸は2%以下に

◆ 着物は今、日常着、フォーマルとも違う自分らしさを表現するファッションに

 

 

この本の中盤では、「なぜ今、着物が注目されるのか?」「ビジネスや日常に活かしたい着物に学ぶ和の知恵と感性」および「知っていると一目置かれる 着物を作る産地と伝統技術」について考察しています。主なポイントは次の通り。

 

◆ 親子3代にわたって着られるサイステイナブルな着物

◆ 着物は着る人に集まってくる

◆ 着物1枚に帯3枚

◆ 着物:帯は1:9で面積比が大きく、大胆な組み合わせが可能

 

◆ 着物を着ると腰が楽、夏こそ着物

◆ 帯をまくお腹以外は布と皮膚の間に空間があるのが着物

◆ 洋服のアイテムと組み合わせて個性的な着方もできる着物

◆ 時代の流行モードを取り入れてゆっくり変化してきた着物の強さ

 

◆ 着物の絵柄は季節を先取りして着るのは、本物の自然への愛と尊敬の念

◆ 着物は白で礼を尽くす、白は頭蓋骨の白骨化から

◆ フォーマルな着物のキーワード「重ねる」は、佳きことが重なりますように

◆「白」「重ねる」に加えて、「家紋」がフォーマル着物のキーワード

◆「神は細部に宿る」ため、普段から小物を身に着けるのが着物の奥深さ

 

◆ 原型を残す「結城紬」は、ユネスコの無形文化遺産に登録

◆「大島紬」はオーダーメイドスーツのようなもの

◆「越後上部」は手で麻糸を作る麻の着物で雪の湿度が糸の乾燥を防ぐ

◆ 帯の一大産地は京都の「西陣」

 

 

本書の後半では、「知っていると自信が持てる 着物を着て楽しむための知識」および和に出会える、着物専門店」について解説しています。主なポイントは以下の通りです。

 

◆ 着物、帯以外に基本着付けに必要なものは、長襦袢、肌襦袢と裾よけ、ステテコ、腰紐、伊達締め、コーリンベルト、衿どめ、衿芯、足袋、帯板、帯枕、帯揚げと帯締め、草履または下駄、アウターなど

◆ 着付けで外してはいけないポイントは、左右の衿合わせで男女とも右前

◆ 男性着物のTPOは、①着流しスタイル、②羽織スタイル、③羽織袴スタイル

◆ 女性着物のTPOは、①カジュアル、②デイリー、③ソーシャル、④セミフォーマル、⑤フォーマル(詳細は本書参照)

 

◆ 男性着物はスーツ、帯はネクタイと考える

◆ 女性のコーディネートは、4つのイメージ(①トラディショナル、②エレガント、③ロマンティック、④ドラマティック)

◆ トラディショナルは「白」、エレガントは「煌びやか」、③ロマンティックは「丸」、ドラマティックは「洋服ミックス」がキーワード

◆ 着物の手入れは難しくない、普段着の絹は干すだけ

 

◆ ホンモノの伝統技術と出会う「銀座もとじ」

◆ ドラマに登場するドレスのような着物「浅草はんなり」

◆ 最高級洗えるきもの専門店「きもの英」

◆ 普段着の木綿着物専門店「染織こだま」

 

◆ 個性派アイテムが揃う「ゆめこもん」

◆ 和装履物専門店「辻屋本店」

◆ 創業155年の足袋専門店「向島めうがや」

 

 

なお、この本の姉妹本とも言える『世界のビジネスエリートが知っている 教養としての茶道』(竹田理絵著・自由国民社)もぜひ併読されることをお薦めします。

 

 

また、著者の上杉恵理子さんのデビュー作『弱者でも勝てるモノの売り方 お金をかけずに売上を上げるマーケティング入門』(ぱる出版)マーケティングの入門書として最適な本なので推薦します。

 

 

この本の締めくくりとして著者は、「着物には日本の自然風土で生きる知恵がきっしり詰まっていることを学びました。」「これらの知見や技術を得るまでにどれほどの人達の試行錯誤があったのでしょうか。」と述べています。

 

そして、「『教養としての着物』は、着物を通じて得られる先人達からのギフトがどれほど豊かなものか、一人でも多くの方に繋ぎたいと思い書きました。」と続けています。

 

 

あなたも本書を読んで、着物に込められた知恵や感性を活かし、仕事を発展させ、人生をより豊かに過ごしてみませんか。

 

 

2022年9月17日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第260回】教養としての着物にて紹介しています。

 

 

 

ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。

 

 

では、今日もハッピーな1日を!【2886日目】