傘寿を過ぎてやっと、「24時間人生を謳歌する仕事バカ」の楽しさを味わえるようになったと言ってもいい晩成の人間が記した、自分では気づかないうちに強い「個性」や「感性」を身につけ、自らの生き様と考え方をありのままに綴った本があります。
本日紹介するのは、1927年生まれ、東京大学卒業後、3年間、同大学大学院特別研究生、その後、立教大学教授となり、「日本の大学改革」と「日本企業の経営近代化」の推進者として貢献してきた野田一夫さんが書いた、こちらの書籍です。
野田一夫『悔しかったら、歳を取れ!- わが反骨人生』(幻冬舎・ゲーテビジネス新書)
この本は、「(当然だが)『たった1回しかない人生』だと自らに強く言い聞かせつつ、(年齢と状況によって変わることはあっても常に)『明確な人生目標の達成』を心に期して、(納得できない世間的慣習や常識などと妥協せず)、『敢然と自分らしく』生きようではないか!」というアピールの書です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.「和を重んじるな!」と説いて50年-日本経済界のゴッドファーザーは気骨溢れる “ 非常識人 ”
2.独特の個性・感性がはぐくまれた青少年時代
3.彷徨と模索に明け暮れた20~30歳代
4.自信と好奇心の交錯した40~50歳代
5.納得した人生を送れた60~70歳代
6.思索生知の80歳代
7.これからの日本へ10の提言
この本の冒頭で著者は、「大学卒業以来、順調な大学教授としての人生」という “ 客観的略歴 ” とは大きく異なり、 “ 主観的略歴 ” は、“ 少年時代からの一途な夢 ” が敗れて以来、決して順調なものではなかった、と述べています。
著者の野田さんによれば、60歳代になってようやく、自分の人生が納得できるものになってきた、ということです。
そして70歳代半ばになってからは、“ 少年の夢 ” を喪失して以降、ひたすら漠然と望み続けてきた “ 納得できる人生 ” がやっと現実化し、80歳代半ばの今は、「豁然と人生が開けた」と感じて、気分はいつも実に爽快で、肉体までが何か若返ったような独特な活力を感じつつ充実した日々を送っている、と述懐しています。
まさに理想の人生という「生き方」で、私が目指す「生涯現役」の人生そのものです。
本書では、自らの信念を貫き通した著者の野田一夫さんの反骨人生を、その年齢ごとに自ら書き綴った記録ですが、日本の経済発展への大きな貢献、日本を代表する企業経営者への大きな影響など、数々の功績が伝わってきます。
著者が関わってきた経営者をはじめとする著名人や紹介されている実績の主なものは以下の通りです。
◆ 立教大学に「観光学部」を新設
◆ 日本の大学改革として、多摩大学、県立宮城大学、事業構想大学院大学の初代学長
◆ 財団法人日本総合研究所の設立、初代所長、さらに住友グループの株式会社日本総合研究所の設立支援
◆ 高原須美子・元経済企画庁長官が秘書
◆『Japan as No.1』の著者であるエズラ・ヴォーゲル教授は親友
◆ 加藤寛・慶応義塾大学教授との長年の親交
◆ ハーマン・カーン(『超大国日本の挑戦』の著書)との親交
◆ アルフレッド・チャンドラーとの親交(『経営戦略と組織』の著者)との親交
◆ 出光佐三(出光興産)、市村清(リコー)、土光敏夫(IHI)、西山弥太郎(川崎製鉄⇒JFEスチール)、田代茂樹(東レ)との親交
◆ 盛田昭夫・井深大(ソニー)、中山貫(伊勢丹)の師匠
◆ 孫正義(ソフトバンク)、澤田秀雄(HIS)、南部靖之(パソナ)の師匠
◆ ニュービジネス協議会の初代理事長
そのほか、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、ロシアなど世界を駆け巡って、様々な人脈や学び、そしてそれらを日本経済の発展のために紹介してきた功績は測り知れません。
その中でも特筆すべきなのは、経営学の父と呼ばれる、P.F.ドラッカーを日本に紹介し、邦訳の『現代の経営』(自由国民社)の出版を実現したことです。
野田一夫さんは、P.F.ドラッカーとも親交が深く、原著『The Practice of Management』の邦訳タイトルを野田さんに任せる、という約束をすぐに取り付け、1956年に『現代の経営』が日本で出版されました。
そのほか、この本の後半では、著者の野田さんの生き様や様々な実績や人脈が紹介されていて、これだけスケールの大きな「生き方」をしている大学教授はまずいないでしょう。
大学の研究室で仕事をするのではなく、都心の赤坂に個人事務所を構え、秘書を使って世界を股にかけて仕事をしてきた大学教授は、後にも先にも野田さんを置いて出てこないと思われます。
あなたも本書を読んで、数多くの経営者に影響を与え、「日本企業の経営近代化」を推進してきた功労者の反骨人生から、人生のヒントを掴んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!だと自らに