「最近は、管理会社の側から契約更新を拒否される、住民が高齢化して理事のなり手がいないなど、マンションの運営から契約更新を拒否される、住民が高齢化して理事のなり手がいないなど、マンションの運営そのものが立ちゆかない事態があちこちで起き始めている。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、朝日新聞取材班が書いた、こちらの書籍です。
朝日新聞取材班『朽ちるマンション 老いる住民』(朝日新書)
この本は、2021年から22年にかけて、朝日新聞デジタルや朝日新聞紙面で連載した記事をもとに、「マンションという一つの村の困りごとは、実は政治や行政の様々な問題とつながっている。その視点を持つことで、解決に向けた道筋も考え方も変わってくるはずだ。」という思いと共に書籍化したものです。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.管理会社「拒否」の衝撃
2.没交渉の住民
3.高齢化するマンション
4.コミュニティー再生
5.管理組合に迫る危機
この本の冒頭で著者は、「マンションの清掃や資金管理などを委託していた管理会社から管理を断られるケースが、都市部のマンションを中心に増えている。新たな管理会社を探すのも難しく、見つからなければ『管理不全』にも陥りかねない。」と述べています。
本書の前半では、「管理会社拒否の衝撃」について、以下のポイントを説明しています。
◆ マンション管理会社の「管理拒否」の理由は人件費コスト増加と管理費値上げの困難さ
◆ 管理の人材不足は、定年の引き上げ
◆ 住民自らで管理(自主管理)の動きも
◆ 空室放棄のリスク
◆ 大規模修繕コストの不透明さ
◆ 管理で利益が出ないため、大規模修繕で一気に利益を確保する管理会社
◆ 雨漏りでも修繕費がないマンションの「スラム化」の懸念
◆ 改正マンション管理適正化法による「管理計画認定制度」
◆「部分管理」という選択も
この本の中盤では、「没交渉の住民」および「高齢化するマンション」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 年金生活者が多い高齢マンションでは修繕積立金の値上げ困難
◆ 増加するリノベーション物件
◆ 認知症にはマンション暮らしに高いハードル
◆ 住民にできることは「学ぶ」ことが第一歩
◆ 新築マンションの平均価格は過去最高
本書の後半では、「コミュニティー再生」および「管理組合に迫る危機」について考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆ コミュニティ支援の起業、不動産会社もコミュニティづくり
◆ マンション選びでは、管理組合による管理やコミュニティをチェック
◆ コミュニティづくりの注目は「防災」
◆ 高齢化する団地に若者を呼び込む
◆ どうする「機械式駐車場」
◆「棟別会計」の落とし穴
◆ 重すぎる理事の負担
◆ 問題大きくなる前に導入、第三者の力も必要
この本の締めくくりとして著者は、「マンションという住まいそのもの、そして管理の仕組みは、多くの人が永住することを前提につくられてきたのだろうか。」と述べています。
さらに、「住んでいる人たちも年を重ねれば、健康、金銭などの状況は多様化していく。状況が多様であればあるほど、老朽化していく建物を何とかしたくても、合意をとりまとめるのは容易ではなくなっていく。」と続けています。
あなたも本書を読んで、建物も住民も高齢化するマンション問題に向き合い、住まいに迫る危機について考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3019日目】